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コロナの死亡率、抗体検査のデータは正確か? 見極めるポイント4つ

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コロナの死亡率、抗体検査のデータは正確か? 見極めるポイント4つ
Image: Shutterstock

人口全体の感染者の有病率を推定するために、抗体検査を使用した新型コロナウイルスの研究について語られることが増えてきました。

理論的には、抗体検査はその人がすでに新型コロナウイルスに感染していたり、回復したりしたという証拠が検出されます。

すでに症状があっても(もしくは無症状の場合はほとんど症状がないため)検査を受けられないことも多いので、抗体検査はパンデミックの範囲全体を推測するのに役立ちます。

特に、カリフォルニア州サンタクララ郡の有病率の研究では、抗体を持つ人々(つまり感染して回復した人たち)の有病率は公式な推定よりもはるかに高いという結果となり、注目を集めていました。

抗体の研究は、新型コロナウイルスに対する免疫を持っている人を推定したり、感染が再度広まった時にも役立つので、関心を集めています(「集団免疫」の可能性に向けて努力をしている場合は特に)。

研究データには注意が必要

しかし、死亡率が低いとみなしている研究(特にデータの欠陥やバイアスを考慮していないもの)を信用し過ぎると、実際よりも病気の危険性を低く考えることにつながりかねません。

サンタクララ郡の研究では、Facebookの広告で3330人の被験者が集められ、新型コロナウイルスの抗体検査が行われました。その3,330人の被験者のうち、50人が陽性でした。

この数字を元に、サンタクララ郡で新型コロナウイルスに感染して回復した人たちの有病率は、公式の数値の50〜85倍だと研究者は推定しています。この数字を使用し、研究者は新型コロナウイルスの死亡率を0.12〜0.20%の間だと推定しています(通常は1〜3%の間と推定)。

その研究や検査がどのくらい最近のものか、また広範囲で検査が行われていないことなどを考えると、新型コロナウイルスの死亡率を推定するのは難しいです。

しかし、検査率が高かった場合は、全体として死亡率は1〜3%の間になると思われます。

サンタクララ郡の研究結果は驚くべきものでしたが、この喜びたくなる研究をフォローする精密な検査はまだ行われていません。この研究のプレプリント(査読前の論文)が発表された瞬間から、データに関する問題が次々と明らかになりました。

サンタクララ郡の研究は最も注目されましたが、この数週間で論争を巻き起こした抗体検査に関する唯一の研究ではありません。

どれほど信頼に値するかを見極めるために、このような研究を分析する場合、科学者は以下の要因を考慮します。

1. 被験者をどのように募ったか?

サンタクララ郡の研究では、Facebookの広告で被験者を募りました。

研究者は人口統計データのオーバーサンプリングを修正しようとしましたが、それは多くの被験者がこれまでに自分が新型コロナウイルスに罹患したかどうかを知りたいという動機があったからではなく、このサプリング手法だと特定のバイアスがかかるからです。

この要因は、結果を大きく歪ませた可能性があります。

この研究が、3330人のうち陽性は50人だけだったという結果を元に結論を出していることを考慮すると、特にそう考えられます。

その後、サンタクララ郡の研究の被験者の中には、研究者の奥さんのうちの一人が中学校のメーリングリストに、検査を受けることで「(自分が罹患しているのかどうか)恐れることなく仕事に戻れる」という提案と共に送ったメールから、参加した被験者もいたという問題が発覚しました

正しいサンプリングはランダムに行われるものです。

しかし、現実世界では常にそれができるわけではありません。それでも、研究のサンプリング方法と、考えられるバイアスをどのように修正するかに留意することが重要です。

2. 検査はどのくらい正確か?

新型コロナウイルスの抗体検査はまだ開発途中であり、その正確性についてはわかっていないことも多いです。米連邦食品医薬局(FDA)が、米国政府によって審査されていない検査も、企業が販売できるよう規則を緩めているため、このような複雑な状況が生まれています。

検査の正確性に関しては、考慮すべき偽陰性率があります(検査では新型コロナウイルスに対する抗体がないという結果でも、実際には抗体がある場合)。

また同じように、偽陽性率(検査では新型コロナウイルスに対する抗体があるという結果でも、実際には抗体がない場合)もあります。

50人以上の科学者チームによって実施された、14の異なる抗体検査の分析では、一貫して信頼できる結果を出していた検査は3つだけでした。

また、この14の抗体検査のうち、偽陽性を検出しなかったのは1つだけでした。

検査結果が間違っているのに、自分には免役があるという間違った情報を信じて、検査を受けた人たちに間違った安心感を与える可能性があるため、偽陽性は特に問題があります。

もちろん、抗体が新型コロナウイルスに対してどの程度免疫力があるのかというのは、まだわかっていないということに留意することも重要です。

サンタクララ郡の研究で、特に懸念されているのは偽陽性率です。研究者の結論には、偽陽性率に関して説明がありません。

この研究で使用した検査の偽陽性率の信頼区間が0.1%〜1.7%だとすると、この研究の被験者のうち1.5%が陽性だということになり、特に問題です。

理論的には、この研究で陽性だった被験者全員が偽陽性である可能性もあり、その見込についても研究者は説明していません。

たとえ、偽陽性率がかなり低くても、そのようなサンプル数の少ない実験では、わずかな違いによって結果が大きく変わる場合があります。

3. 結果が事実と一致しているか?

サンタクララ郡の研究では、研究結果から死亡率を0.12〜0.20%の間だと推定しています。

しかし、「Undark」が指摘しているように、死亡率がたったの0.12〜0.20%であれば、ニューヨーク市の新型コロナウイルスによる死者数から逆算すると、1250万人が感染していたことになりますが、実際にはニューヨーク市の人口は830万人しかいません。

ニューヨーク市では今でも毎日新しい感染者が増えていること、先月は400万人も新しい人口が流入していないことを考えると、死亡率が0.12〜0.20%の間というのは、事実ではないということになります。

4. この研究は査読(さどく)されているか?

パンデミックの状況は日々変わり、新しい研究結果も常に発表されています。一般的には、このような研究が継続されているのは非常にいいことです。

まだまだ、私たちが知らないことはたくさんあります。つまり、このようなスピードで状況が変わっていること、私たちが喉から手が出るほど情報が欲しいを思っていることを考えると、まだ査読(研究者仲間や同分野の専門家による評価や検証)がされていないプレプリントの研究が、ニュースとして取り上げられているということです。

研究が新しく、まだ査読もされていない場合は、その研究がどのように実施されているのかを、入念にチェックすることが非常に重要です。他の研究者はその研究の方法論や結果についてどのように言っていますか? 研究の限界についてどのように言っていますか?

完璧な研究はありません。ニュース報道に様々な人(研究に参加していない専門家の分析や、その研究の限界について言及できる専門家など)の意見が含まれていない場合、その研究結果が信頼するに足るものかを決めるのは、少し待ったほうがいいという合図なのかもしれません。

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Image: Shutterstock

Source: The New York Times, Science, BuzzFeed News, Undark

Rachel Fairbank - Lifehacker US[原文

訳:的野裕子

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