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話し方がうまくなる。「音読」ではなく「朗読」をする2つのメリット

話し方がうまくなる。「音読」ではなく「朗読」をする2つのメリット
Photo: 印南敦史

話し方が上手くなる! 声まで良くなる! 1日1分朗読』(魚住りえ 著、東洋経済新報社)の著者は、フリーアナウンサー、スピーチレッスンの講師、ラジオ番組のパーソナリティ、ナレーションなどの仕事を幅広くこなしているため、毎日ボイストレーニングをしているそうです。

なかでも、毎日の日課として欠かさず行っているトレーニングが「朗読」だそう。

「朗読」には、「話し上手になる」「ことばがスラスラ出てくる」「語彙が激増する」など多くのメリットがあるもの。

しかしそんななか、著者がとくに強調したい2つの効果が「相手の心を動かす話し方」ができるようになること、そして「声がよくなる」こと。

この2つのメリットは、ビジネスにおいても人間関係においても“最強の武器”“一生ものの宝”になるというのです。

ちなみに「朗読」は「音読」と混同されることが多いものの、両者には明確な違いがあると著者は主張しています。

まず音読は、朗読に至るまでの「過程」のひとつ。そして、「話し方」を劇的に上達させるのが、音読の先にある「朗読」だということ。

そこで著者は本書を通じ、「ただ単に自分だけで『音読』するのではなく、世界を広げて相手に届ける『朗読』をしよう」と提案しているのです。

きょうはそんな本書の第3章「『話し方と声に効く朗読』はどうすればいい?

初心者でも必ず絵切る『基本』と『秘訣』を完全公開!」のなかから、「魚住式朗読ステップ①「朗読」をクローズアップしてみたいと思います。

なぜなら著者は、「朗読する前に、まず黙読を行なってほしい」と訴えているから。なお、ここでは題材として、松下幸之助『松下幸之助「一日一話」』(PHP総合研究所編、PHP文庫)から、「師は無数に存在する」が取り上げられています。

朗読ように最適な原稿だとのことなので、まずは引用しておきましょう。

「師は無数に存在する」朗読用原稿

手近に親切な指導者、先輩がいて、自分を導いてくれる、そういう人が会社にいる人は幸せだと思います。しかし見方によれば、指導者のいないところにこそ、みずからの発展というものが考えられる、ということも言えるのではないかと思います。蓄音器や白熱電灯などを発明したあの偉大なエジソンには指導者がいなかったそうです。

それでみずからあらゆる事物に関心を持ち、そこに指導者を見出しました。汽車にのれば、石炭を焚く音や車輪の音に指導者を見出したわけです。みずからを開拓する気持ちになれば、行く道は無限に開かれている、師は無数に存在していると思うのです。 (松下幸之助「一日一話」より)

では朗読するにあたり、事前に原稿をどう黙読すればいいのでしょうか?

黙読は内容を理解するために行うもので、具体的には次の3つのポイントがあるそうです。(94ページより)

黙読の秘訣1 「内容」を理解する

重要なポイントは、「なにが書かれているか」「なにをいいたい文章なのか」、筆者の意図をくみ取りながら読むこと。

そこで、全体の情景を把握する「マクロの視点」と、ことばひとつひとつの意味を考える「ミクロの視点」の両方を意識すべきだといいます。

著者の場合は、そこに描かれている内容を脳内に映像で思い浮かべ、想像力を駆使して読み進めていくそうです。(95ページより)

黙読の秘訣2 「構成」を考えて読む

段落ごと(改行ごと)、あるいは一文ごとの持つ意味、役割を考えていく必要があるということ。

なぜなら文章は、段落ごと、一文ごとに「導入」「問題提起」「具体例」「補足」「結論」などの意味を持っているものだから。

たとえば上記の例文であれば、次のようになるわけです。

「師は無数に存在する」

手近に親切な指導者、先輩がいて、自分を導いてくれる、そういう人が会社にいる人は幸せだと思います。[←導入]しかし見方によれば、指導者のいないところにこそ、みずからの発展というものが考えられる、ということも言えるのではないかと思います。[←問題提起] 蓄音器や白熱電灯などを発明したあの偉大なエジソンには指導者がいなかったそうです。それでみずからあらゆる事物に関心を持ち、そこに指導者を見出しました。[←具体例]汽車にのれば、石炭を焚く音や車輪の音に指導者を見出したわけです。[←補足]みずからを開拓する気持ちになれば、行く道は無限に開かれている、師は無数に存在していると思うのです。[←結論] (96~97ページより)

「この段落(文章)ではなにが書かれているのか」をざっと把握すればOK。

たとえば著者の場合は、「あらゆるものから貪欲に学ぶ気持ちを大事にすること」「常に成長し続ける大切さ」などに気づいたといいます。

この作業を続けていると、驚くほど国語力がつくというので、実践してみる価値はありそうです。(96ページより)

黙読の秘訣3 「自分がこの文章で伝えたいこと」を考える

次に考えるべきは、「この原稿を読んだ自分が、相手になにを伝えたいのか」ということ。とはいっても、難しく考える必要はないそうです。

自分がその文章のなかで、著者に共感したこと、気づいたこと、感動したことなどを考えればよいということです。

「黙読」に関するこれらの秘訣は、たとえば資料に目を通したり、メッセージの内容を短時間で把握したいときなど、さまざまなことに応用できるのではないでしょうか?(98ページより)


「黙読」に関するこうした基礎を踏まえたうえで、以後は「音読」についての解説が展開されていきます。

名文・名作からの引用を理想した「実践」も充実しているので、無理なく朗読の技術を学ぶことができるはず。ぜひとも参考にしたいところです。

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Photo: 印南敦史

Source: 東洋経済新報社

印南敦史

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