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7年の拷問を耐えた男性が語る、メンタルを強く持ち今を生き抜く「ストックデールの逆説」とは?

7年の拷問を耐えた男性が語る、メンタルを強く持ち今を生き抜く「ストックデールの逆説」とは?
Image: FOTOKITA/Shutterstock.com

わたしたちが置かれている深刻な現実を受け入れつつ、明るい将来を信じるというのは、今の時点ではほとんど不可能のように思えます。

でも、そうすることができれば、視点は大きく変わるかもしれません。

ストックデールの逆説とは?

ジェームズ・ストックデールさんは、ベトナム戦争時捕虜として7年を過ごしました。

彼は、その恐ろしい監禁状況を生き抜いたことについて必ず乗り越えられると信じる気持ち、これは絶対になくしてはいけない。その信念を、どんなものであろうと自分が置かれている現状の最も冷酷な事実に立ち向かう規律心と、決して混同してはならない」と言っています。

ひどい拷問を受けながら7年間を過ごしたストックデールさんには、国へ帰ることができるのかどうか、それが可能だとしてもいつになるのかはまったくわかりませんでした。

自分が生き延びられたのは、揺らがぬ将来への希望を、確固たる現実主義と組み合わせることができた能力のおかげだとしています。これは今では「ストックデールの逆説」と呼ばれています。

「将来へ目を向けることはとてもパワフルです」と語るのは、コーネル大学のTom Gilovich心理学教授。たとえ可能性は低くても現状は悲惨に思えても、前へ進むこと、たとえそれが想像上であったとしても、自分を鼓舞して1日1日前へ進んでゆくためのカギになりうるのです。

このように、予測もつかない困難の真っ只中にいてさえもです。

これからの数週間、数カ月は、個人としても社会としてもわたしたちが経験する最も困難な時になりそうです。どんなに手を洗おうと表面を除菌しようと、どれだけ自宅に籠っていたとしても、感染して死ぬ可能性はなくなりません。また愛する家族や友人がそうなる可能性もあるのです。

おまけに経済は崩壊しつつあります。何百万という人たちが失業し、その一方では必要な食料や医療を提供するために毎日命がけで働いている人が何百万人もいます。

自分がやるべきことをやり続ける

では、厳しい現実を受け入れつつも、どうやって将来への希望を持ち続ければいいのでしょうか。このように見通しが立たず厳しい現実に直面している時でさえも、どうやって前進し続ければいいのでしょうか。

Gilovich教授は「わたしたちがやるべきことはわかっています」と述べています。誰が感染するかどうかについては、わたしたちには完全なコントロールはないかもしれません。しかし自分自身の行動についてはコントロールできます。

自宅待機ができる人は大勢いますし、また多くの人は他人と距離を置き、感染拡大を防ぐためにできることをしています。

手洗いや除菌という対処法については、コントロールできます。感染者数曲線をゆるやかにして感染のスピードを遅め、命の危険を顧みず患者の治療にあたる医療関係者を守るために、それぞれがなすべきことをするのは可能なのです。

このパンデミックにおいて無傷でいられる人は誰もいません。しかし受ける影響の程度は人によって違います。いったいこのパンデミックがいつどのように終結するのかはわかりません。それは現時点での厳しい現実なのです。

今の時点では、わからないことはあまりに多くあります。家族や友人たちが乗り越えられるのかも不明ですし、パンデミックが終わった後の日常生活がどんなものになるのかもわかりません。わからないことばかりです。

誤った楽観主義は捨てる

ストックデールさんがあるインタビューで答えていたように、誤った楽観主義にしがみついていた捕虜たちは生き残れませんでした。

彼らは『クリスマスまでに解放される』と言っていました。クリスマスが来て去っていきました。

すると『(4月の)イースターまでには解放される』と言っていました。イースターも過ぎていきました。次はサンクスギビング、そしてまたクリスマス。彼らは失意で亡くなっていきました。

もし、あと数週間でコロナ禍が終わると信じているなら、また終結後は以前と変わらない世界に戻れると信じているなら、それはある時までには解放されると信じ続けた捕虜たちと同じでしょう。それは失望へつながります。

盲信的な楽観主義を押しのけて超えてゆけば、新しい領域へ足を踏み出すことができるんです。ありのままの世界を理解しつつ将来への確固たる希望を持ち、前進することができます。それこそが乗り越える方法なのです。

Gilovich教授いわく「科学的な叡智が何らかの答えを出してくれると信じています」。

その答えがどんなもので、いつもたらされるのかについては予測できないかもしれませんが、いつかは答えが来ると信じることはできます。

それを信じること、その信念こそがわたしたちがこの危機を乗り越える方法なのです。

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Image: FOTOKITA/Shutterstock.com

Source: Big Think, Cornell University, The Atlantic, Lifehacker

Rachel Fairbank – Lifehacker US[原文

訳:ぬえよしこ

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