
使い捨ての服を選んできたわけではないけれど、それなりに愛用していれば、やっぱり傷むのは早い……。
買い替えるなら、ベーシックなアイテムこそ今の視点で捉え直すべき。未来への責任がある我々に必要なのは、サスティナブルな視点なのです。
しばらくは自由に外出できない状況が続きますが、その反動でECサイトは好調なブランドやショップもあるようです。
とにかく普段通りの日常が戻ることを願うばかりですが、やっぱり物欲は溜まる一方。
そこで、今の季節に着たい定番をここに厳選しました。リストアップしたのは、ジーンズ、ジージャン、スニーカー、機能性素材のアウターです。
なぜ、今この4アイテムなのかを説明しましょう。
まずは、ここ数シーズン元気のなかったデニム素材のアイテム。その背景にあるのは、多くのハイブランドがランウェイで多様なデニムを発表したことがまずひとつ。
そして、ここ数年人気のアスレジャースタイル(=スポーツブランドの機能的な服の着こなし)への反動としてジーンズやジージャンが再評価されていることも挙げられます。
それはスニーカーも同様で、今、懐かしくて新しいローテクが見直されています。
最後に、不安定な天候や寒暖差に対応してくれる、機能的なアウターはやっぱりこの時期には外せないアイテム。
今これらを買い直すなら、トレンドを汲みながらもこの先も付き合えるベーシックさ、そしてサスティナブルな素材や製法で生み出されたものに着目してみましょう!
シェア使いもできる「オブレクト」の“ボタニカルデニムジャケット”

以前からリサイクル素材を積極的に採用している日本ブランドが、「オブレクト」です。今季、同ブランドが取り組んだ新しい定番素材は、リサイクルバイオインディゴデニム。
こちらの「ボタニカルデニムジャケット」は、GRS(=グローバル・リサイクル・スタンダード)認証のリサイクルコットンを使い、天然植物から抽出した植物染料と水だけで染色。
また、裁断後の切れ端や糸くずなどは、バイオ技術を用いて天然燃料と有機肥料として再利用するほど、環境への配慮が徹底しています。
いわゆるサード型の定番型ですが、ドロップショルダー&オーバーサイジングで、今っぽいユルめのシルエットに。
動きやすいストレッチデニムは、伸びすぎない点もポイント。デニム本来の経年変化も楽しめて、型崩れせず本来のシルエットをキープしてくれます。
パートナーとシェア使いできるユニセックスデザインでもあるので、シーズンも性別も問わず、幅広いシーンで活躍してくれるでしょう。
ボタニカルデニムジャケット価格1万5000円/オブレクト
100%リサイクル素材による、ケー・スイスの「クラシック2000CC」

週末カジュアルはもちろん、セットアップとの組み合わせで平日も活躍するスニーカーを新調したいという人も多いでしょう。
特に抜け感と上品さを演出する白レザーで、シンプルなテニスシューズ型は、まさにその代表格。
たくさんの選択肢がある中でも、再び注目を集めているのが、「ケー・スイス」のベストセラーモデルである「クラシック」シリーズです。
シューレースを通す部分のDリング、スキーブーツから着想を得たスリー・ピース・トウ、側面に入った5本のストライプが特徴。
ソールを厚めにして、ストリートエッセンスを加えた同シリーズの人気モデル「クラシック2000」が、サスティナブル素材で生まれ変わりました。
アッパーにはリサイクルレザー、ライニングは海洋プラスチックのリサイクル素材やアウトソール、インソール。また、ミッドソールには土に還る特殊な素材を採用。さらに、Dリングと箱までリサイクル素材でできているんです!
また、3Dプリンタなどを活用して、製造時におけるエネルギーの削減も実現。“Conscious Company”(=環境に意識的な会社)を目指し、モデル名にその頭文字であるCCを加えているのはこのためです。
クラシック 2000CC価格1万円/ケー・スイス
エコフレンドリーなバナナ・リパブリックの「スリムトラベラージーンズ」

ブランド設立時から素材にこだわり、上質な大人カジュアルを展開しているバナナ・リパブリック。
近年はオーガニック素材に加え、リサイクル素材も積極的に採用し、ブランド全体でサスティナブルな取り組みを強化しています。
数あるメンズアイテムの中でも人気のジーンズですが、今季は「ドライインディゴ®️ スリムトラベラー デニム」というコレクション名で展開中。
環境に配慮した工程を採用しているのが最大の特徴で、従来に比べて、染色工程で99%の節水、89%の化学物質の削減、65%のエネルギー消費を軽減させることに成功しています。
素材はコットンをベースに、ポリエステルとポリウレタン、そして再生繊維のテンセルを混紡。
ジーンズ本来の風合いと経年変化を損なうことなく、ストレッチ性を持たせることで、スリムフィットながらストレスのないやわらかな穿き心地です。
エコフレンドリーなウォッシュによる淡いブルーも、今求められるリラックスムードにぴったり。
テーラードジャケットなどを合わせた、きれいめカジュアル用に濃色インディゴも加えて、まとめ買いするのもおすすめです。
ドライインディゴ®️ スリムトラベラージーンズ価格1万1273円/バナナ・リパブリック
多機能かつエレガント!ランズエンドの「ジオ・ローバー・エコ・トラベル・ジャケット」

撥水性のある機能的なアウターと言えば、ついついアウトドアブランドに目が行きがちですが、そうしたハイパフォーマンスな一着はすでにお持ちの人も多いのでは?
もっと大人っぽい雰囲気で街用として使いやすいアウターがないものかと探していたら、ランズエンドにありました。
こちらは、すっきりとしたスタンドカラーのデザインが特徴の「ジオ・ローバー・エコ・トラベル・ジャケット」。
スマートフォンや財布といった小物の収納に便利なポケットを5つ配置し、襟にはフードを内蔵しています。
素材はオーガニックコットンとリサイクルポリエステルの混紡したエコフレンドリーな物を使用。その表面には撥水加工を施しているので、短時間の雨なら傘要らずです。
また、中綿に使われた「コンフォ・テンプ」と呼ばれる高機能素材により、ウェア内部の温度を一定に保つ効果を発揮。肌寒い朝晩から、暖かな日中まで、快適に過ごすことができます。
普段のスーツやセットアップの上に重ねれば、スプリングコート代わりにも活躍。出張や旅行先でも撥水性と体温調整機能で快適に過ごせます。
メンズ・ジオ・ローバー・エコ・トラベル・ジャケット価格2万1900円/ランズエンド
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ラグジュアリーブランドや大手スポーツブランドだけに留まらず、国内外を問わず多くのブランドでサスティナブルな取り組みが本格化していることがお分かりでしょう。
何も新しい服を買わない方が環境に優しいのは当然ですが、それはあまりに非現実的。
地球環境への負荷が少ない素材と製造工程を取り入れた、サスティナブルなベーシックアイテムこそ、これからの服選びに欠かせない視点ではないでしょうか?
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Photo: 多田悟
Source: オブレクト, ケー・スイス,バナナ・リパブリック, ランズエンド
構成・文/川瀬 拓郎 、スタイリング/仲唐 英俊、編集/庄司 真美