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トップダウンから自走型へ。人と組織の成長を促す「5分会議」とは?

トップダウンから自走型へ。人と組織の成長を促す「5分会議」とは?
Photo: 印南敦史

組織マネジメントにおいて人材育成が重要な意味を持ちますが、それはなかなか難しいものでもあります。

また現実問題として、育成に手間と時間をかける余裕のない企業も少なくないでしょう。

そこで「会議を人材育成の場と捉え、最大限活用する方法」にしようと提案しているのは、『期待以上に部下が育つ高速会議』(沖本るり子 著、かんき出版)の著者。

人材開発育成および組織改革コンサルタントとして、さまざまな企業の変革をサポートする人物。その際に活用するツールが、「会議」だというのです。

私は自らの会社員時代とコンサルティング経験に加え、心理学の専門知識を活かし「5分会議」という手法を編み出しました。

5分会議は、1回の発言は数秒ほどでまとめ、全員が発言して高速で会議をまわしていくやり方で、受け身になりがちな会議での態度を百八十度変える枠組みになっています。そして会議を通じ、参加者のビジネススキルと自主性を養います。(「はじめに」より)

そして著者はこれまでに、5分会議を導入したことで社員の自主性が芽生え、トップダウン型から自走型組織に変わった起業をたくさん目にしてきたのだといいます。

自分たちで決めることで、日々の仕事が「させられるもの」から「するもの」へ変わっていったということ。

そんな5分会議の基本的な考えかたを解説した第1章「人も組織も成長する『5分会議』とは」のなかから、「5分会議の5つの工夫」に目を向けてみましょう。

5分会議の5つの工夫① 「視点」で分解する

一般的な会議では、出されたアイデアについて、一度にさまざまな検討を行うことになります。

いいところ、悪いところ、他の案との比較、リスクなど、検討の範囲はさまざま。アイデア出しの段階で、理由や背景までを説明する場合もあるでしょう。

しかし、そうしたやり方だと次第に論点がぼやけ、ズレてしまいがち。また、どの方向に話が進むかわからないため、時間管理が難しいという問題もあります

すると、それぞれの案にかける時間に偏りが生じ、均等に検討することが難しくなります。

その点、5分会議では、意見出しは「アイデア出し」→「アイデアのいいところ出し」→「アイデアの問題点出し」→「問題点への対策案出し」という構成が基本で、それぞれを集中して行います。(27ページより)

たとえば「A案のいいところ出し」であれば、A案に絞って、とにかくいいところを挙げていくということ。

そこに、発言者の感情や自慢話の入る余地はないわけです。

しかも余計なことを考えなくて済むため、頭のなかもスッキリし、どんどん建設的な意見が出るようになるのだといいます。(26ページより)

5分会議の5つの工夫② 「書く」ことで見えるようにする

5分会議では、小さな会議体ごとに議題をリセットし、メモ係がすべての発言を、その場で記録していくそう。

ちなみにホワイトボード1枚では到底足りないので、著者はホワイトボードシートと呼ばれる、模造紙状のホワイトボードを勧めているのだとか。

それをミニ会議の分だけ何枚も用意し、会議ごとにシートを替えてメモしていくわけです。

「アイデア出し」「アイデアのいいところ出し」「アイデアの問題点出し」「問題点への対策案出し」と、それぞれのホワイトボードシートを順に並べてみると、意見の流れが一目瞭然に。

つまり、流れが一目で見られるように書くことで、全員の意思統一が図れるということです。(28ページより)

5分会議の5つの工夫③ 「参加者全員」で必ず意見が出る

5分会議では参加者全員が順番に、制限時間内に議題について意見を順番に出すのだそうです。

いたってシンプルで、「A案のいいところ出し会議」なら、A案のいいところを全員が順番に発言するということ。

A案への支持・不支持は関係なく、内容の優劣も関係なし。とにかく全員が、どうにかして意見を捻り出すことに意味があるのです。

しかも制限時間が設けられているため、ひとりの発言時間は数秒程度に収めなければなりません。時間がきたら、すぐに次の発言者にバトンタッチするわけです。

ポイントは、一巡で終わらせず、時間の許す限り何回もテンポよく回すべきだということ。

そうすれば、退屈なはずだった会議がゲーム大会のように盛り上がり、結果として全員が会議に関わるようになるわけです。(30ページより)

5分会議の5つの工夫④ 「立場」が関係なくなる

会議の意見は内容が大事で、発言者の立場によって判断が左右されるべきではありません。 5分会議では、この考えを柱としています。

「工夫②」で発言を書く工夫を紹介しましたが、メモ係は発言者の名前を書きません。「誰が言ったか」は関係ないからです。(31ページより)

しかも短い時間内に、発言する機会が次々と何回も訪れます。

すると頭のなかはアイデアを出すことでいっぱいになるため、純粋に意見だけを吟味するようになるわけです。

そればかりか、5分会議では多数決で決議することがありません。そのため、立場を気にすることなく意見に集中することが可能。

出てきた案すべてを点数で評価するのですから、上司の顔色をうかがうことなく、自分の意思を通せるのです。(31ページより)

5分会議の5つの工夫⑤ 「賛否」で揉めない

とにかく全員が、ひとつの議題についてどんどん意見を出し合うのが5分会議。

もし、ある案について反対していたとしても、「いいところ会議」ではその案のいいとことを挙げなければならないのです。

逆に、ある案が通ってほしいと思っていたとしても、「問題出し会議」では口を閉ざせません。いわば、全員が同じ土俵に立って案を検討するわけです。

ちなみにその際、「問題点をどうカバーするか」という大作まで考えることも重要なポイント。

なぜなら賛同できなかったアイデアも、対策の内容次第では「有効なアイデアだ」と評価が変わる場合もあるからです。(32ページより)


経営や業務の方向性を決める「5分会議」に参加すれば、自然と人が育っていくはず。そして、それは組織活性化にもつながるのだと著者は主張しています。

だとすれば、それは非常に効率的。

「人がなかなか育たない」という悩みを抱えているかたは、本書を参考にしながら「5分会議」を取り入れてみてはいかがでしょうか?

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Photo: 印南敦史

Source: かんき出版

印南敦史

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