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被災地への旅行、いつからOK? モンスター観光客にならないための新常識

被災地への旅行、いつからOK? モンスター観光客にならないための新常識
Illustration: Angelica Alzona

2017年と2019年に山火事に襲われたカリフォルニア州サンタローザ市。

ワインで有名な同市は、観光客の来訪を求めています。ソノマバレー市も同じで、年間14億7000万ドルにも上る観光収入に依存しているため、旅行者を心待ちにしています。

とはいえ、燃え尽きた家の前で自撮りをするのは避けたほうがよさそうです。

モンスター観光客にならないために

同市のマーケティング・アウトリーチ・コーディネーターを務めるKevin King氏は言います。

災害が発生している、あるいは災害発生直後の地域を訪れるなら、あなた自身とその地域との関係性に注意を払うべきだと私は思います。通常の旅行よりも、慎重な心構えで行動しましょう。

被災地に訪問するタイミングについては、旅行の専門家でも判断が難しいところ。早すぎれば復興作業の邪魔になるかもしれないし、臨時の避難場所として使えたであろうホテルの部屋を占拠してしまうことにもなりかねません。

でも、ずっと避けていては、その地域が立ち直るために必要な観光収入を落とすことができません。たとえば、Responsible Travel社の創設者であるJustin Francis氏によると、2004年の津波の影響で、タイのプーケットは観光客が激減し、津波が去ったあとも「経済的津波」が続いたそうです。

気候変動で火事、嵐、洪水が増えている昨今においては、旅先がどこであれ、何らかの災害に近いことは避けられないのが現状です。

ではいったい、どうすればモンスター観光客の一員にならずに済むのでしょうか。旅の専門家や、実際に災害を経験した人たちに話を聞きました。

行けないなら、行かない

ライアソン大学でおもてなしと観光を研究しているRachel Dodds教授によると、災害が直撃した場所は、そもそも物理的に行くことができません。空港は閉鎖となり、船も欠航、ホテルも予約を受け付けないでしょう。復興が済んでも、訪問客を受け入れる準備ができていないケースもあります。

直撃を受けた地域の多くは休止状態であり、観光客に対処する余裕などありません。

ですから、計画を立てる際のフェールセーフとして、このことを心に刻んでおいてください。容易に到達できないのであれば、ボートやプライベートジェットをチャーターしたり、道なき道を歩いて行ったりするのはやめましょう。

飛行機が運航を再開し、ホテルが予約を始め、ローカルイベントが実施されているようなら、観光客を受け入れる準備ができている証拠。むしろ、お金を落としてくれる旅行者は歓迎されるはずです。

現地についてリサーチする

災害後の旅行で重要なのは、被害の著しいエリアと比較的軽いエリアを把握しておくことです。

米国国務省は、「通常の注意が必要」「渡航中止」といった外国渡航情報を出しています。たとえば、この記事(原文)の執筆時点で、中国はコロナウイルスの発生により「渡航中止」勧告となっています。

このような勧告は、感染症だけでなく、テロや暴動などに対しても出されます。

ただし専門家によると、このような広範囲の警告は、必ずしも事態の全容を表していないようです。確実な情報がほしければ、目的地の地方自治体に確認するのがいいでしょう。

たとえばプエルトリコは、まだ2017年のハリケーンマリアとここ数カ月の地震から復興していないと思われがち。しかし、同島のダイレクトマーケティング組織であるDiscover Puerto Ricoのサイトをのぞくと、実際は観光客を歓迎しているようです。サイトには、旅行者向けの最新情報やFAQ、被災エリアマップなどが掲載されています。

Discover Puerto Ricoがメールで出した声明によると、同組織は同島への観光を促進しており、島の南側にはまだ大きな爪痕が残っているものの、主要なアトラクションはオープンしているそうです。「観光は地域コミュニティ活性化にとって重要」とBrad Dean CEOは述べています。

災害は一件一件異なります。すぐに復興可能なこともあれば、何カ月も機能しないこともあります。観光地の多くは同様の警告や勧告を出していますが、インターネットを使えば、ローカルニュースやブログなどから復興の様子を知ることができます。同時に、現地のトラベルエチケットも調べておくようにしましょう。

災害直後はホテルを予約しない

火事や嵐で家を失った人は、まずは地元のホテルやAirbnbなどの短期レンタルに避難するケースが一般的です。その宿泊費は保険会社が持つので、保険会社は避難者が出るとすぐに予約を入れます。King氏はいいます。

災害直後、被災地のホテルはすべて埋まる可能性が高いです。

災害後数日は、近隣に部屋を取るのはやめておくのが無難です。たとえ部屋が空いていても、地元の人に部屋が行きわたるように配慮しましょう。

専門家は、友人や家族がいればそこに泊めてもらうか、現地の人たちの最初の避難需要が落ち着くまでは旅行を先送りにすることを勧めています。

状況を知るためにホテルや地方自治体に電話をするのは問題ありません。

時がたてば、避難者たちは引き取ってくれる友達や家族を見つけて移動していきます。そうすれば、ホテルに空室が戻ります。King氏いわく、サンタローザもそうで、すでに多くの人が安定した住居を見つけて移動しているそうです。

信頼できる旅行会社で予約する

旅行者とローカルガイドをつなげるResponsible Travelでカスタマーディレクターを務めるTim Williamson氏によると、誰もが旅行の専門家である必要はないが、小規模で継続的なツアー会社のほうが、このようなジレンマに対応してくれるといいます。

すなわち、ローカルの小規模なツアー会社で予約したほうが、その地のことを深く知れるだけでなく、あなたのお金が現地経済に貢献できるのです(環境を悪化させないエコツーリストになるためのヒントはこちらをどうぞ)。Williamson氏は、信頼できるツアー会社の選び方を教えてくれました。

その会社がどれだけコミュニティに溶け込んでいるか、現地スタッフをどれだけ採用しているかを聞いてみましょう。観光に対するポリシーは信頼のおけるものですか? 過去のツアー参加者の声を聞くのもいいでしょう。

ボランティアは邪魔にならないように

旅行の予定を変更してボランティアをするのもいいでしょう。ただし、邪魔をしたり、ただのシャッターチャンスに利用したりするのはNGです。「経験のため」という理由で被災地に連れて行こうとする旅行会社には注意が必要とWilliamson氏はいいます。

休みを取ってボランティアに行きたい人向けに、Not Just Touristsなどの組織がガイダンスを提供しています。医薬品など、不足している物資の情報も掲載されているので参考にしてください。

Responsible Travelには、旅先でボランティアをするためのガイドが掲載されています。それによると、プロジェクトに貢献できるスキルがあること、何かあったときのサポート体制を調べておくこと、現地に向かう前の準備やトレーニングについて確認しておくことなどが必要です。

やってはいけないのが、何のトレーニングやサポートも受けずに、何かをしたいという思いだけで現地に向かうこと。Dodds教授いわく、オーストラリアでコアラ保護の名目で森に入っている観光客がそれにあたります。彼らはコアラについて何も知らないため、トラブルに巻き込まれてレスキューチームが発動するケースも出ているそうです。

そのような事態が発生すると、回復の取り組みが無駄になってしまいます。言い訳は無用です。

期待値を下げる

オンデマンドでオールインクルーシブな世界になりつつある現代、旅行者は自分の希望がいつでも叶うと思いがちです。でも、たとえ観光客を歓迎しているとはいえ、被災地を訪れるのであれば、そのような態度は望ましくないとDodds教授。

それでは、相手のことを何も考えない植民地主義と変わりありません。自然災害に追い打ちかけるように、人的災害をもたらすのはやめてください。

観光業界は、サービスが不十分であることを表立って宣伝したがりません。ですから、参加する側がオープンな気持ちでいることが大切です。

ハリケーン後のプエルトリコのような場所に行こうとしているなら、災害前と同レベルのサービスを期待しないこと。責任を持って現地にお金を落とそうという気があるなら、あれこれ世話をしてもらおうと思わないでください。

2009年にカナダ西部のビーチリゾートTofinoが水不足に襲われたとき、観光客は引き続き歓迎されていたものの、浴槽の使用が禁止となり、シャワー時間も制限されました。しかし、観光協会が事前にこの情報を共有していたので、旅行者に混乱はなく、現地経済を潤したそうです。

自撮りは要注意

被災地を訪れて破壊された現場で自撮りをするのは、最悪のモンスター観光客です。あえて炎上したいのであればいいのかもしれませんが、そうでないなら被災者の気持ちを考えた行動をしましょう。King氏は言います。

思いやりと配慮を忘れてはいけません。自問してみましょう。なぜ、その地を訪れようと思ったのか? そのコミュニティとあなたの関係は?

King氏は、こんな例を語ってくれました。最近市内で結婚式を挙げた、2組のカップルの話です。片や、まだキンケイド火事が猛威を振るっている時期に式が行われました。そのときKing氏は、彼らが災害を背景に写真を撮るのは気にならなかったそう。

地元民として、わかるんです。彼らは一緒に災害を乗り越えようとしているんだと。

でもその数週間後、火災の終息後に崩壊したビルを背景に写真を撮るカップルは意味合いが異なるとKing氏。

住民に対して無神経としか思えません。

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Image: Angelica Alzona

Source: Not Just Tourists, Pueruto Rico, Travel State, Responsible Travel

Tim Donnelly – Lifehacker US[原文

訳:堀込泰三

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