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理不尽?「文句を言わない人」が評価をされる合理的な理由とは

理不尽?「文句を言わない人」が評価をされる合理的な理由とは
Photo: 印南敦史

幸せな人は知っている「人生を楽しむ」ための30法則』(小林正観 著、フォレスト出版)の著者については、2017年に『ありがとうの魔法』(小林正観著、ダイヤモンド社)という書籍をご紹介したことがあります。

多くの著作を持ちながら、2011年10月に62歳という若さで逝去された作家。

大きな影響力を持ち、生前には年間約300回もの講演をこなしていたといいますが、本書はそんな著者が2008年に上梓した『「人生を楽しむ」ための30法則』(講談社)を改題・加筆・再編集したものです。

「人生はいろいろな修行の場」ととらえることで、「つらい」「苦しい」という感覚からは卒業できますが、本来の人生は「修行」のために設定されているものではありません。 「人生は楽しむもの」 この本では、「人生を楽しむ」ための30法則をまとめてみました。

「つらく、苦しい」と人生をとらえていた人が「楽しむもの」と思えるようになったら、この本ができた意味があります。(「はじめに」より)

きょうは第2章「目の前のことを大事にするだけで、人生は成り立つ」のなかから、ビジネスパーソンに役立ちそうな2つのトピックスを抜き出してみたいと思います。

いまの状況に文句を言わずに黙々とやる人は、信頼される

著者は旅行作家として全国を歩いていたころ、旅先で知り合ったOLたちから相談を受けることがあったのだそうです。

「4年制の大学を出たのに、コピー取りとお茶汲みしかやらせてもらえません。本当はもっとちゃんとした仕事をしたいのだけれど、上司に言ってもまったく取り合ってくれないのです。頭にきて、この会社を辞めようかと思うのですが、どう思いますか?」

著者はこのとき、次のように答えたといいます。

私がもし上司だったら、コピー取りやお茶汲みさえもちゃんとしない人に、他の責任ある仕事は任せないと思います

コピー取りとお茶汲みが気に入らない、と言っている人は、どんな仕事を与えても文句を言うかもしれません。

それに、「気に入る仕事」と「気に入らない仕事」とを部下が選り分けていたとすると、上司は仕事を頼みにくくなってしまうでしょう。

好き嫌いを言っている間は任せられないので、責任のない仕事しかやってもらわない、ということになる可能性があるわけです。

しかし、なにをやっても自分の責任で、黙々とずっとやっている人、与えられたことをじっとやっている人だったとしたら、上司は信用するはず。

このことに関連して著者は、帝国ホテルの料理長を26年間務め、最終的に重役になった村上伸夫さんのことを引き合いに出しています。

「ムッシュ村上」の愛称で呼ばれ、NHKの「きょうの料理」にも出演していた人物です。

10代で帝国ホテルの厨房に入ってから3年間、村上さんの仕事は鍋磨きだけで、料理には一切触れることができなかったそうです。

同じ立場にいた人たちの大半が「まったく料理を教えてもらえない」という理由で辞めていくなか、村上さんだけは「日本一の鍋磨きになろう」と決意し、その仕事を続けたのだとか。

ちなみに回ってくる鍋には、料理が残っていたとしても、ソースの味がわからないようにするため、あらかじめ洗剤が入れられていたといいます。

しかし、それでも磨き続けた結果、やがて先輩から「きょうの鍋磨きは誰だ?」と聞かれるようになり、「きょうの鍋磨きはムラ(村上さんの愛称)です」という答えが返ってくると、そのときだけは洗剤が入っていない状態で鍋が回ってくるようになったというのです。

そこで村上さんはそれを舐めて隠し味を勉強するようになり、立派な料理人になったわけです。

どんな人も最初は、お試し期間があります。一〇代の少年に、初めからチーフを任せるという世界はありません。

でも、この人に鍋磨きという仕事を与えられたときに、鍋磨きをとことん徹底的にすることで、見込まれる。(54~55ページより)

いま置かれている状況に文句を言わず、黙々とやっていれば、やがてその先に道はできるということです。(51ページより)

すでにいただいているたくさんのことにまず感謝すれば、恵みが増える

「会社で売上を上げろと言われているのですが、どうしたら上がりますか?」と聞いてきた営業職の人がいたそうです。

一方、「夫婦で自営業をしているのですが、売上が去年にくらべて右肩下がりで、思うように上がりません。どうしたらいいでしょうか?」と聞かれたこともあったといいます。

しかし、著者の答えはすべて一緒だといいます。

「目が見えますか。耳が聞こえますか。自分の足で歩けていますか。自分の口で食べられますか。自分の話す日本語をわかってくれる友人がいますか」

そう聞くと、返ってくるのは「そのとおりです」という答え。

しかし、「では、そのことについて感謝をしたことがありますか?」と尋ねると、驚かれるのだそうです。

売上を上げろ、ノルマとして営業成績を上げたい、ということだけを挙げて、今自分がどれほど恵まれているか、ということに、ということに感謝をすることが足りない人が多いようです。

ここが気に入らなくて、ここを何とかしてほしい、と言っている人は、気に入らない一点だけは宇宙に向かって一生懸命訴えかけるのですが、恵まれていることについては、まったく感謝をしていない。(68ページより)

しかし、そこで感謝の気持ちを持つことができたとすれば、問題は解決するものだと著者は言います。

「売上が上がらない」と言っていた人が、「私には感謝が足りなかった」と感謝をすれば、物事はうまく回り始めるものだという考え方。

九九九のことについて、幸せで喜びで感謝で、ということをやっていくと、この一つはクリアされる。でも、この一つや二つについて文句を言っている人は、残りの九九八に対してまったく感謝をしない。悩み苦しみとは、実は気に入らないその一つ、二つだけをピックアップして「何とかしろ」と言っている状況のことです。これを悩みというのです。(69ページより)

悩みがあるというのは、思い通りになっていないということ。

だからこそ、たくさんいただいている九九九のことにまず感謝をしてみることが大切なのだと著者は主張しているのです。(67ページより)


学生時代から人間の潜在能力やESP現象、超常現象に興味を持ち、心学などの研究を行ってきたというだけあり、著者の文章のなかにはしばしば「神」「宇宙」などのフレーズが登場します。

したがって、そこに抵抗を感じる方もいらっしゃるかもしれません(個人的にも、それは苦手です)。

とはいえ、著者が訴えている本質的な部分は、誰にでも理解できるものであるはず。

そのため、共感できる部分を吸収するだけでも学びを得ることはできるだろうと思います。

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Source: フォレスト出版

印南敦史

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