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会議の3つの種類。全社員で共有するとコミュニケーションが加速する

会議の3つの種類。全社員で共有するとコミュニケーションが加速する
Photo: 印南敦史

人間心理を徹底的に考え抜いた「強い会社」に変わる仕組み』(松岡保昌 著、日本実業出版社)の著者は、リクルート、ファーストリテイリング、ソフトバンクを経て、現在は経営コンサルタントとして活躍する人物。

企業の成長を、経営戦略、組織戦略、マーケティング戦略から支えているそうです。

しかし、大手企業でさまざまな経験を重ねてきたからこそ、組織改革関連書籍については思うところがあるのだそうです。

成功事例を紹介した本は多いものの、自社に取り入れるべきもの、取り入れる必要がないもの、取り入れるとマイナスになる物を見分ける「視点」がない限り、それを活用することはできないということ。

実際に自社に取り入れるとしても、どのように取り入れるべきか、すべてを的確に判断する「視点」が求められる。 本書の目的は、この「視点」をお伝えすることにある。

その「視点」を身につけることで、組織変革に対する見方が一変するはずだ。(「はじめに」より)

ところで著者は本書の第5章「強さを支える陰の主役は『コミュニケーション』の仕組み」のなか、「会議」についての考え方を明らかにしています。

・情報共有のための会議

・結論を出すための会議(ディスカッション)

・発想を広げるための会議(ブレインストーミング)

(286ページより)

これら「会議の3つの種類」を全社員と共有して臨むと、会議の質は大きく変わるというのです。つまり参加者の意識が変わるだけで、会議の効果も効率も上がるということ。

きょうはその3つのなかから、「情報共有のための会議」に焦点を当ててみたいと思います。

「情報共有のための会議」は4つの要素を準備

「情報共有のための会議」の第一のポイントは、「この会議ではなにをするのか」「参加者にはなにをしてほしいのか」を明確にすること

そして、それを踏まえたうえでの第二のポイントが「伝え方」なのだといいます。

経験上、「結論」「理由」「具体例」「だから、どうすべきか」の4要素を、この順番で話すと、もっとも伝わりやすいというのです。

まず「結論」は、いちばん伝えたいこと。ただし「要点」ではなく、あくまでもいちばん伝えたい結論。

それを最初に伝えるわけです。続いて次に伝えるべきは、それがなぜなのかという「理由」や背景、意図や根拠。

さらには相手が納得するような「具体例」を提示するわけですが、ここで大事なのは、聞き手のキャラクターや生きてきた背景を想像し、相手に合わせた具体例を使うこと。

相手が納得できる事例である必要があるということです。

そして最後は「だから、あなたはどうすべきなのか」「そうしたほうがいいのか」私は、あなたにどうしてほしいのか」など、話を聴いたあとに相手の行動を直接伝えること。

これら4つの要素を、この順番で伝えると、聞き手の頭のなかでなにが起こるのでしょうか?(287ページより)

「結論」と「理由」から伝えるのはなぜ?

最初に「結論」から伝えると、その結論に対して賛成であれ反対であれ、最初から話に意識が向くことになります。

賛成であれば「そのとおり」と共感が集まり、反対であれば「え、なんで?」と不信感を抱かれるかもしれませんが、それでもこちらを見てはもらえるはず。

つまり、自然と話に意識が集中するということです。

それを見計らったところで、次に「理由」を伝えます。結論を導いた根拠に言及するわけです。

背景や意図をきちんと伝えると、賛成だった人は自分の意見の正しさを再認識するかのようにうなずいてくれるはず。

反対していた人も、少しは納得してくれる可能性があります。

さまざまな企業の現場を見ていると、残念ながら「結論」と「理由」だけで終わってしまう人が多い。それだと、話にリアリティがないので聞き手に実感がわかないのだ。(291ページより)

だから、「具体例」を入れることが重要になってくるのです。(290ページより)

「具体例」が必要である理由

「具体例」が必要なのは、人が誰かの意見に対して納得するのは、その話が自分の腹に落ちた場合だけだから

ちなみに腹落ちするときのポイントは、自分も過去に同じ経験をしたか、もしくは同じ経験はしていないけれど、明らかに起こり得ると実感できたとき。

逆に言えば、このプロセスがないと、どこかに疑心暗鬼が残る可能性もあるということです。

なお、ここで伝える「具体例」は、聞き手が自分ごととして捉えることのできる事例でなければならないそう。

著者も実際に講演などで話す際には、会場に少し早めに入り、どんな人が来ているかを観察するようにしているといいます。

いうまでもなくそれは、事前にいくつか用意しておいた具体例のなかから、どれを話せばより身近に感じてもらえるかを見極めるためです。(291ページより)

「結論」「理由」「具体例」の先にあるべきもの

そして、「結論」「理由」「具体例」について納得してもらったうえで、最後にもう一度「だから、みなさん(あなた)はこうする必要があるのです」「こうしたほうがいいのです」「こうしてほしいのです」と具体的な行動まで提示するべき。

実際に企業内で「情報共有」として伝える話は、行動化まで結びつけてほしい内容が多いはず。

とはいえよほど意識的に聞いていない限り、たいていは話を聞いたというだけで、すぐに自分ごととして行動にまでは結び付けられないものでもあるでしょう。

しかし、「いい話を聞かせてもらった」で終わってしまっては目的を達成させることは不可能。

情報を共有したうえで、「だから、どうすべきか」を伝えることが重要な意味を持つわけです。

この4つの要素は、この順番で伝えるのがいちばん効果が高い。ただし、相手の心理的変化がどのように起こるのか、その構造を理解して、あえて順番を変えることは構わない。しかし、この4つの要素を省くことはない。

この4つの要素によって、聞き手は納得し、行動へとつながってゆくからである。(292ページより)

なお、この4つの要素は、話をする準備のチェック項目としても活用できるといいます。

いずれにしても、この4つの要素を準備する習慣を身につけるだけで、社内の発表でも社外へのプレゼンテーションでも、みるみる力がつくはずだと著者は主張しています。(291ページより)


著者自身の豊富な経験が軸になっているため、全体的に強い説得力を感じさせてくれます。

そんな本書の内容を活用してみれば、自社を「強い会社」に変えることができるかもしれません。

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印南敦史

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