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AIで判明。人を動かし、結果を生むプレゼン資料の法則

AIで判明。人を動かし、結果を生むプレゼン資料の法則
Image: Matej Kastelic/Shutterstock.com

パワーポイントで見た目重視のプレゼン資料を作るのがうまい、“パワポ職人”という言葉があります。

営業部門に1人はこういう人がいて、周囲から重宝がられていたと思います。

ですが、今は働き方改革の影響もあって、時間をかけてまで「立派な」スライドを作ることは、よしとはされない時代へと突入。効率的に作成して、きちんと結果を生むプレゼン資料作りが求められています。

そこで、一読をおすすめしたい書籍が、『科学的に正しいずるい資料作成術』(かんき出版)です。

著者の越川慎司さんは、マイクロソフトでパワーポイントの事業責任者であった方。今は株式会社クロスリバーの代表取締役社長として「真の働き方改革」を実現するためのコンサルティング業に注力しています。

本書は越川さんが、826人の意思決定者にヒアリングし、さらに5万枚以上の資料をAI分析。そこから、本当に効果的なパワポ資料の「勝ちパターン」の法則を導き出したものです。

この法則にはどのようなものがあるのでしょうか? その幾つかを紹介しましょう。

1スライドあたり105文字以内で

越川さんの調査では、意思決定者を動かした資料の中面1スライドあたりの文字数は、平均135文字だったそうです。

一方、そうでない資料は平均320文字。2.4倍もの開きがあります。

さらに検証した結果、1スライドあたり105文字以内だと相手を動かしやすくなることがわかっています。

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文字数の悪い例(上)と良い例(下)(本書41ページより)・クリックして画像を拡大
Image: 『科学的に正しいずるい資料作成術』

ちなみに、表紙のタイトルについては、35文字以内でカタカナと数字を混ぜると、相手はきちんと注目してくれるそうです。

そもそも、文字数に限らず情報量が多すぎる資料は「10秒ではじかれる」のだとか。ここでいう情報量には、色数、アイコン、矢印も含まれます。

本書では、文字以外のこうした要素についても詳しい解説があります。

対角線を意識したレイアウトに

越川さんは、スライドを10秒見て、どれが頭に残りやすいかを調べました。

すると、左上に配置された文字・図形にまず目が留まり、それから目線はやや中央に移動して右下に移ることがわかりました。つまり、左上から右下への対角線上に目線が移動します。

それをふまえたレイアウトと、そうでないものとを見比べてもらったところ、65%の意思決定者は、前者がわかりやすいと回答しました。

つまり、スライドにチャートなどを入れる場合、対角線を意識した配置とすることで、相手にストレスなく読んでもらえる効果が期待できます

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対角線を意識しないレイアウト(上)と意識したレイアウト(下)の例(本書53ページより)・クリックして画像を拡大
Image: 『科学的に正しいずるい資料作成術』

画像は対応する文章の近くに配置

越川さんは、理解しやすいスライドの大原則の1つに「画像、図形、コンテンツはそれに対応する文章の近くに配置する」を挙げています。

この大原則が守られていないスライドは結構あるそうで、その理由は作成者が「インパクトのある画像を選ぶことにあまりにも集中するばかりに、画像の位置やキャプションに意識が及ばなかった」ことにあるのだとか。

わかりやすい例が下の画像。

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画像と文章の適切な配置の悪い例(上)と良い例(下)(本書79ページより)・クリックして画像を拡大
Image: 『科学的に正しいずるい資料作成術』

東京タワーと東京スカイツリーの概要ですが、上のスライドは写真と離れているため、読み手が「疲れる」ものとなっています。

一方、下のスライドは概要と対応する写真がうまく近接していて、すぐに把握できるものに仕上がっています。

また、スライド内で写真画像・図形を動かす作業の手間を減らすため、「図形を揃える」機能で、即座に揃える(中央揃え・右揃え・左揃え)こともすすめられています。

まとめスライドは行動を促すのに効果あり

越川さんは、「“私はあなたにこう動いてほしい”というのは、最後のスライドで記載すると効果的」と説きます。

人を動かした資料の78%が、最後のスライドが「まとめスライド」となっており、うち67%には相手に求める具体的な行動が記載されていたそうです。

こうしたスライドの特徴として、自分たちが主語となって相手に対する行動を約束する内容と、相手が主語となって何か行動を起こしてもらう内容が盛り込まれていました。

たとえば、「我々はお客様の希望するスケジュールでプロジェクトを完了することを約束します」と記載した後に、「そのためにお客様には必要な情報と人をタイムリーに出していただきます」といった依頼を書けば、相手が協力してくれる可能性が高くなります。

(本書110ページより)

これは、心理学でいう「返報性の原理」を意識したやり方です。

自分サイドが相手のためになる行動を約束することで、相手も行動を起こす気持ちになるわけです。

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まとめスライドの例(本書111ページより)・クリックして画像を拡大
Image: 『科学的に正しいずるい資料作成術』

越川さんは、相手を動かす資料の「勝ちパターン」に沿って作成した商談用スライドを用い、大規模(4513人)な実証実験を実施しました。

その結果、「商談成約率は平均22%アップ、さらには、資料の作成時間はそれまでよりも平均20%ダウン」したそうです。

本書には、そうした「勝ちパターン」のルールが余すところなく公開されています。普段の資料作りに働き方改革をもたらしたければ、読んでみてはいかがでしょうか。

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Image: 『科学的に正しいずるい資料作成術』, Matej Kastelic/Shutterstock.com

Source: かんき出版

鈴木拓也

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