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相手を惹きつける「プレゼンの秘訣」は意外と簡単なことだった

相手を惹きつける「プレゼンの秘訣」は意外と簡単なことだった
Image: Shutterstock

今日は、大勢の前でプレゼンする大事な発表の日。

前夜までパワーポイントを作りこんで、内容について上司のOKはもらえたのに、本番では、うまく話せずグダグダの展開に…。

これは、誰もが一度は経験することかもしれませんね。こんなとき、話し下手だから、才能がないからなどといった理由をつけて、へこんで終わり、でよいのでしょうか?

プレゼンの習熟は自転車の練習と同じ

「プレゼンができることは自転車に乗れるようなもの」と説くのは、ビジネススクールなどで講師を務めるプレゼンのプロ、清水久三子さん(株式会社AND CREATE代表取締役社長)です。

生まれてはじめて自転車に乗るときは補助輪が必要ですが、やがてそれは不要になり、当たり前に乗れるようになります。

ですが、マウンテンバイクに乗ってオフロードを走るなら、ちょっとした訓練とコツを把握する必要があるでしょう。

プレゼンについても同じ。

清水さんは、「プレゼンもプロとして特別なシーンで話すのであれば、それ相応の訓練が必要です」と、著書『話しベタさんでも伝わるプレゼン』(翔泳社)の冒頭で述べています。

と言っても、本書に書かれているのは、割と容易にマスターできるプレゼンテクニックと心構えの数々。

自転車競技のプロになるつもりはないのと同様、プレゼンのプロは目指していないけれど、それなりのスキルは欲しいという方に役立つTipsが盛りだくさん。

今回はその中のいくつかを紹介しましょう。

説明不足を防ぐ「3つのM」

説明は尽くしたはずが、聞き手に「それ、どういう意味?」というニュアンスの反応があった場合。

それは説明が足りなかったのではなく、「自分にとってどういう意味かわからない」というのが、ほとんどなのだそう。

清水さんは、りんごを例に挙げます。

「これはりんごです」と言って、相手が「どういう意味?」と聞いた場合、相手は「りんごとは、どういうものか」を尋ねているのではありません。

「そのりんごは、私にどういう意味があるのか?」を尋ねているのです。

そこで、「このりんごはあなたへのプレゼントで、日頃の感謝の気持ちです」と説明を肉付けする必要があります。

この種の説明不足は、プレゼンの現場ではよくありますが、「3つのM」を意識することで防げるそうです。

プレゼンで意識したい「3つのM」

  • Meaning(意味):今から説明することがどういう意味を持つのか
  • Mechanism(構成):これから話すことの概要
  • Message(意義):相手にとって情報がどのような意義を持つのか

以下に例を挙げましょう。

Meaning:

「これから私たちの業務に最も影響を与える機能の設定方法を説明します」

Mechanism:

「3つの主要機能と5つのサブ機能があります。あらかじめ設定した数値になると30パターンから機能が呼びだされます」

Message:

「つまり、現在私たちの判断でやっていることが自動化されるわけです。速いだけでなく、ミスも減ります」

(本書075pより引用)

清水さんは、「この3つのMを言わないまま説明を始めると、相手は“自分にとってどんな意味があるの?”と疑問を持ちながら聞くことになる」と指摘します。

説明の際は、3つのMが含まれているか事前にチェックしておきましょう。

SDS法を活用する

聞き手が理解しやすいよう、グラフや図表も充実した資料を作ったものの、それをうまく説明できない、という人は案外多いそうです。

その処方箋として清水さんは、いくつかの方法を提示しています。

その1つがSDS法。SDSとは、Summary、Details、Summaryのこと。

最初に要約(Summary)を伝え、ついで詳細な説明(Details)をして、最後にまとめ(Summary)を述べる構成で、結論を早く伝えるのに向いています。

その1例がこちら。

S:「当社の商品開発方針に大きな影響を与える事実が調査により判明しました」

D:「具体的には、75%の消費者がこの商品の魅力として、想定したものとは異なり、〇〇機能の方がより重要だと回答しています」

S:「つまり、今後の開発においては今より多機能にするよりも〇〇機能に限定した方がよいということです」

(本書083pより引用)

SDS法によって、最初から詳細な説明して相手をイライラさせてしまうのでなく、興味を持たせたまま最後まで聞いてもらうことができるようになります。

ストーリーに意外性を持たせる

自信を持って臨んだプレゼンなのに、相手の関心を引くのに失敗した…よくある悩みですが、これは話し方の問題というより、「ストーリーの意外性の問題かもしれません」と清水さんは示唆します。

プレゼンにおける「ストーリー」とは、「メッセージを確実に理解してもらうために、話の位置付けや経緯、理解のために必要な前提条件を組み合わせて話の流れにしたもの」。

ストーリーをきっちり構築するのと、疎かにするのとでは、同じ情報を提供しても、相手の理解度は全然違うものとなるそうです。

もっとも、そのストーリーの展開に意外性も何もないと、結局は相手の関心を引き出せずに終わってしまうリスクが生じます。

例えば、整理整頓の重要性を伝えるプレゼンをするとします。

整理整頓が大切なことは、皆の共通認識なので、ストーリーに意外性がないと引き込むことは難しいでしょう。そこで、以下のように工夫をします。

ある企業は整理整頓をすることで利益を10%向上させました。

新たなことは何もせずに整理整頓をしただけで、顧客満足度調査で1位になったのです。

整理整頓をしないことによるロスタイムは1人当たり年間1200時間。金額に換算すると全社で〇億円です。

(本書120pより引用)

どんな意外性を盛り込むかは、相手の期待内容や理解レベルを把握した上でチョイスし、話の冒頭に持ってきます。

必ずしも「突飛なものや誰も知らないようなお宝情報」とする必要はなく、相手が当たり前に思っていることと少しだけ違う情報であればOKです。

清水さんは、それを「面白そうだな」と思ってもらえれば、その後の話も興味を持って聞いてもらえると述べています。


上で取り上げたテクニックは、本書に掲載されているもののほんの一部にすぎません。

本書には、資料(スライド)作成の手引きから、プレゼン初心者に特に起こりがちな緊張(あがり)対策、さらにはプレゼン後の質疑応答まで、あらゆるシチュエーションに応じた「困った」を解決するヒントが網羅されています。

会議・商談に応用できるものも多いので、お役立ち度は大。こうした業務に苦手意識のある方は、読んで得るものは大きいでしょう。

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Source: 『話しベタさんでも伝わるプレゼン』(翔泳社)

鈴木拓也

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