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悪いうわさを流されたときはどうすれば?「弁論術」を利用した対応策

悪いうわさを流されたときはどうすれば?「弁論術」を利用した対応策

欧米エリートが使っている人類最強の伝える技術』(高橋健太郎 著、星雲社)の著者は、古典や名著、哲学を題材として執筆活動を続けている人物。

以前、『あたらしい話し方の辞典』(高橋健太郎著、日本文芸社)をご紹介したことがありますが、新刊となる本書では「伝え方」をテーマとしています。

とはいえ、伝え方についての一般的な書籍とは少しタイプが異なっているようです。

というのも、アリストテレスの『弁論術』をはじめとした、古代ギリシャ・ローマ式の弁論術に基づいているというのです。

ただし一般的に、弁論術を解説した本の多くは難しく、読みづらくもあります。そのため弁論術に基づいていると聞くと、「難しそうだな」と思われる可能性は否定しきれないでしょう。

でも著者は、そんな弁論術のデメリットを理解したうえで、それらとは違ったアプローチをしているわけです。

欧米では常識になっている弁論術を、わかりやすい形で伝えようとしているということ。

とくに古代ギリシャ・ローマ式弁論術の知識を、現代の日常生活に生かせるように、かみ砕いて紹介しているのだとか。

したがって本書では、弁論術を哲学としてではなく、役立つ知識・テクニックとして扱うことにします。 そして、いかに言葉で聞き手を動かすのかという人が人を説得する場面について、より力を入れて解説します。

これこそが、弁論術がもっとも本領を発揮するテーマですし、われわれがもっとも悩む場面だからです。(「はじめに」より)

そういう意味では、いままでにないタイプの弁論本だと言えるのかもしれません。

きょうは第4章「『弁論術』で現代のトラブルを解決する」内の、「悪いうわさを流されたらどうすべきか」に焦点を当ててみたいと思います。

うわさを流されたら「争点」をつくって戦え

仕事や学校、あるいは御近所さんや親戚など、さまざまな人づきあいに言えることですが、人間関係におけるもっとも厄介なトラブルが「悪い噂」を流されることではないでしょうか。

「あの人、課長と不倫してるらしいよ」

「あいつ、他社でうちの部長の悪口、言ってまわってるらしいぞ」

「近所の○○さんって、家賃滞納してるんですって。生活苦しいのかしら」

こうしたゴシップは、基本的に取るに足らないことのように思えます。ところが現実問題として、対処を間違えると大変なことになると著者は指摘しています。

なぜならそれらは、

・会社で重要なポジションを任されるかどうか

・困難なプロジェクトに部下がついてくるか

・家を建てて間もないが、近所と仲よくやれるか

といった、仕事や人生における重要な局面に限って、不思議と影響を与えてくるものだから。

したがって、悪いうわさが立ってしまったとしたら、それを正しい方法で否定し、早い段階で打ち消しておかなければならないということです。(181ページより)

うわさを流されたら「争点」をつくって戦え

では、どうすればいいのでしょうか?

この問いに対して著者は、「悪いうわさに対しては、自分に有利な『争点』をつくって反論する」のがもっとも効果的だと主張しています。

たとえば、「よそで部長の悪口を言っている」といううわさを流されたとしましょう。

そして、それがまったくの事実無根であり、よそで部長の話をしたこと自体がなかったとします。そのような場合は、次のように反論すべきだというのです。

「事実無根です。ウソだと思うのなら、ほかの人に聞いてください」(183ページより)

やってもいないことを、わざわざ認める必要はないということです。

しかし、ひとことも言っていないのであれば話は別ですが、「部分的に事実である」というケースもよくあるもの。

悪口は言っていないににしても、よそで部長の話をしたのは事実。結果として、それが悪口として伝わってしまったのかもしれないという場合です。

そんなときに重要なのは、「たしかに○○したけど、××はしていない」というように、事実は先手を打って認めること。

「部長の話をしたのは本当ですが、悪口などいっさい言っていません」(183ページより)

このように、まずは「部長の話をした」ことを認める。そしてそのうえで改めて、「話したのは悪口ではない」というポイントに争点を移して反論すべきだということです。

逆にいちばんまずい対処の仕方が、反射的に「それは、まったくのデマです」などと全否定してしまうこと。

なぜならそれをやってしまうと、あとで周囲から「先方に聞いたら、やっぱり課長の話をしたらしいじゃないか」といった事実が出てきたとき、「あいつ、隠してた」ということになって評判を落としてしまうからだといいます。(182ページより)


「理屈が通じない相手は、どう説得するのか」 「どうすれば、格上の人物を納得させられるか」 「わかりやすい説明とは、どんなものか」 「どう伝えれば、論理的に聞こえるか」 「多くの人を納得させる根拠は、どうやって探すのか」

本書を読めば、こうしたことについて「まずなにをすればいいのか」がある程度わかるようになると著者は記しています。

この「まず」という指針を持つことが大切なのだとも。

伝えることで悩んでいる方は、手にとってみてはいかがでしょうか?

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