SNSに適切な年齢はない! 重要なのは「成熟度」だ
- カテゴリー:
- JOB/BUSINESS

触れさせたくないようなことでも、放っておけばもっと危険になるかもしれないので、きちんと教えておくのが私たち親の務めです。
そんな中、この10年で急速に頭角を現したのがインターネットやSNSです。ネットいじめ、フェイクニュース、有害コンテンツなど、親にとっての悩みは尽きません。
危険回避のために禁止することは不可能ではありませんが、それよりも、安全なインターネットの使い方を教えてあげることが必要なのではないでしょうか?
知らない人=危険?
親世代の私たちは、「知らない人と話しちゃいけない」と言われて育ったと思います。
- 知らない人は傷つけてくるかも!
- 知らない人には誘拐されるかも!
- 知らない人は危険!
でも実際、私たちは知らない人と毎日のように話しています。
たとえば、レストランのウェイター、郵便局の局員さん、スーパーの列でたまたま前に並んでいたおばさん……。私たちは、その矛盾に混乱させられたものです。
誰もが知っているように、知らない人の大半は危険ではありません。そして、危険な人は何らかの形で危険なにおいを醸し出しています。
何より、子どもは知らない人よりもずっと、知っている人に傷つけられることのほうが多いものです。
いつしか「知らない人」ではなく「不審者」という言葉が使われるようになったのはそのためでしょう。
ネットの世界でも同じことがいえそうです。Common Sense Mediaの子育て編集者Caroline Knorrさんは、Washington Postの記事において、オンラインで知らない人と一切話さないように言うのではなく、怪しい行動を見極める方法を教えることの重要性を語っています。
今や8歳ぐらいの子どもでも、知らない人とオンラインで会話する時代です。
彼らにとって必要なのは、適切な会話とそうでない会話を見極める力。
たとえば友達から性的な話題を強要されても、それを拒否してもいいということを学ばなければなりません。
「知らない人は危険」ではなく、どんな質問がNGか(「あなたは男?女?」「どこに住んでるの?」「いま何を着てる?」「個人的に話さない?」など)を教えるようにしましょう。
SNSに適切な年齢は?
ほかの多くのことと同様、実際の年齢よりも、その子の成熟度や心の準備のほうが重要です。
ですから、誰にでも当てはまるガイドラインはありません。
「クラスのみんながやってる!」と言われても、親があまり知らないSNSを許可する理由にはなりません。
アプリによって中身は異なるので、十分リサーチをしてから判断するようにしてください。
最低でも、アプリが用意しているガイドラインはチェックしておきましょう。また、自分の誕生日を正しく入力することを徹底させてください。
TikTokやYouTube Kidsなどのように、アプリによっては年齢によって異なる体験が用意されています。
ただし、中には小さな子どもも歓迎するようなガイドラインを提示しているアプリもあります。そんなときは、Common Sense Mediaでアドバイスを探しましょう。
Common Sense Mediaは、さまざまなアプリやゲームに対して、独自のレビューと推奨年齢を付けています。
それとは別に、大人と子どもが、それぞれの立場からメディアの適正年齢をレビューとして残すことができます。
これを見ると、大人は適正年齢を高めに、子どもは低めに考える傾向が見受けられます。
一方でCommon Sense Media自体による適正年齢は、かなり控えめに設定されています。
たとえばゲーム「フォートナイト」の適正年齢は、子どもたちは10歳、大人は11歳、Common Sense Mediaは13歳としています。
レビューには評価の根拠が書かれているので、よく読んで、実年齢だけでなく、その子の個性に合わせた判断の参考にしてください。
Noと言ってもいい
使用を禁じるのであれば、きちんと理由を伝えてください。
9歳になる私の息子は、まだSNSは使わせていません。それでもしょっちゅう、学校の友達から聞いてきた新しいゲームをダウンロードしてほしいと言ってきます。
これに対し、私は「少し調べてみるから待っててね。今日中か、明日には返事するから」というお決まりの返事をします。
息子もそう言われることをわかっていて、それを受け入れています。
リサーチの結果、「No」を言い渡さなければならないこともあります。そんなときは、きちんと理由を添えて伝えています。
「怖い動画が含まれるみたいだからだめ」「このアプリは、意地悪なことを言う人に対してちゃんと対策していないからだめ」といった具合です。
それらの「No」に、息子は納得しているかって? そんなはずはありません。
でも、私の意思決定のプロセスを一緒に経験させることで、いつか自分自身で適切かどうかを判断できるようになると信じています。
OKのときは少しずつ慣れさせる
我が子が運転免許を取ったからといって、いきなり長距離ドライブには行かせないと思います。
ネットの世界でも同じで、いきなり希望のSNSすべてにサインアップさせて好き放題やらせてはいけません。
「Be Internet Awesome」プログラムなどを使って、スパム、フィッシング、プライバシー、個人情報の不適切な公開などについて教えましょう。
アカウントを作ってもいいと判断したら、我が家独自の「利用規約」を一緒に考え、合意します。
この規約には、期待する使い方を含めるようにします。
たとえば、1日にそのサイトで過ごす時間、使い方、不適切な画像、メッセージ、コメントを見つけたときの対処法などです。
今後、親がどれだけ監視をするかについても言及しておくといいでしょう。
それが済んだら、アカウントを作成し、最初の数回は一緒に操作してください。Robloxのデジタル礼儀ディレクターであるLaura Higginsさんは、一緒に操作しながら、教えられる瞬間を探すことを勧めています。
つまり、他のユーザーからの不親切な行為や、誰かを助けてあげられる機会、よきロールモデルになるチャンスを見つけて指摘するのです。
現実世界と同様、オンラインでも、手を離せる状態になるまではできるだけ一緒にいることを心がけてください。
Higginsさんはいいます。
子どもにとってオンラインは通常の彼らの世界の一部です。
親である私たちは、学校での出来事について話すように、オンラインについても話すべきだと思います。
ネットいじめ vs 社会性
子どものSNS利用に関する記事は、ネットいじめばかりを取り上げています。
中には、Google Docsのように無害に思われるサービスにも同様の懸念を示している記事があります。
もちろん、ネットいじめは憂うべきことでしょう。でも、Knorrさんが指摘しているように、子どもたちにとってSNSは、人間関係を深めるためのツールになっているのが現実です。
多くの子どもたちが、普段からオンラインで楽しんだりおしゃべりをしたりして、人間関係を強化しています。私たちのリサーチでも、そのような子どもたちが大半であることがわかりました。
・10代の大半が、SNSは自分にとってポジティブな効果があると答えた。
・SNSは、クリエイティブな表現をする手段として重要である。
・オンラインでの人間関係の質は、子どもの幸福度に大きな影響を与える。
つまり私たち親は、子どもたちにネットいじめのことばかりを教えるのではなく、10代がSNSをコミュニケーションやクリエイティビティのためのポジティブなツールであると考えていることを認識しなければなりません。
親のコントロールには限界がある
子どもにインターネットの安全性と適切な行動について教えるのは親の責任。
ですから、不適切なコンテンツが彼らのフィードに表示されないよう、サイトが用意しているペアレンタルコントロールやプライバシーコントロール機能は、必ず利用しましょう。
とはいえ、やがて彼らはおとりアプリを使って写真、動画、メッセージを隠すようになります。それどころか、ニセのプロフィールをでっちあげて、親から見つからないようにし始めるでしょう。
事実、インターネットやメールアドレスを手にした瞬間から、実質すべてのサイトやアプリにアクセスできるようになります。そうなったらもう、二度と親の目が届くことはありません。
だからこそ、現実世界同様、オンラインでも責任ある行動をとることの重要性を伝えてください。
長い目で見ると、単純に禁止するよりも、家庭内にオープンな雰囲気と信頼関係を築くことのほうがよっぽど大切です。
あわせて読みたい
Image: Angelica Alzona
Source: The Washington Post, Common Sense Media, StopBulling
Meghan Moravcik Walbert – Lifehacker US[原文]
訳:堀込泰三