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「説明」する際の2つの基本。これを守るだけで仕事の効率は上がる

「説明」する際の2つの基本。これを守るだけで仕事の効率は上がる
Photo: 印南敦史

「上司に納得してもらえるような、簡潔で説得力のある説明ができない…」 「後輩や部下に伝わる、わかりやすい説明ができない…」 「自分の説明する力に自信がない…」

自らの「説明する力」について、こうした悩みを抱えている方は少なくないはず。そこでご紹介したいのが、『仕事のできる人が絶対やらない説明の仕方』(車塚元章 著、日本実業出版社)。

著者は、受講者に対し特定のテーマについて説明する仕事をしているという研修講師です。

「説明」とは、あなたが伝えたいことを、相手に正しく理解してもらうことをいいます。つまり、「単に知ってもらう」というだけでは不十分です。相手が“わかる状態”にならないといけないのです。

さらにいえば、わかったうえで“納得する状態”、そして納得したうえで“行動する状態”も意識しなければなりません。(「はじめに」より)

また、説明する情報や相手の状況によって、それに合った説明の仕方がいくつもあるもの。

そこで本書では、さまざまな場面で生かすことのできる実践的な説明の仕方を、具体的な事例を交えながら解説しているわけです。

第1章「仕事の効率が上がる説明の基本」のなかから、2つのポイントを抜き出してみることにしましょう。

「伝える」説明でなく「伝わる」説明をする

著者は本編の冒頭で、「伝える」と「伝わる」の違いに触れています。

伝えるとは「私が伝える」ことなので、主体は“私”。一方、伝わるとは「相手に伝わる」ことですから、主体は“相手”

ことばとしては似ているものの、本質はまるで違うということです。

しかも、一生懸命に伝えようとすると、かえってわかりづらくなることがあるもの。

一生懸命に伝えること自体は悪いことではないものの、それだけでは相手に伝わる説明はできないということ。

説明の主体は自分ではなく相手なので、相手が理解できていないと意味がないわけです。

そして「伝わる説明」をするため、最初に心得ておきたいのは、なにかを説明する際、自分と相手の常識が一致していればスムーズに話が進むということ。

たとえば顧客に対する呼び方も、「お客さま」「お客さん」「お客」「お得意先」「顧客」「クライアント」などさまざま。

では、こちらが説明する相手はどのことばを使っているでしょうか?

重要な点はここで、つまり相手が「お得意先」ということばを使っているなら、同じことばを使って話をすることが大切だということ。

この場合でいうと、相手にとっては「お得意先」ということばが常識だという考え方になるわけです。

そのため、こうした場合は決して「クライアントにとって大事なことは…」などと説明を始めるべきではないと著者はいいます。

ふだん「お得意先」ということばを使っている相手は、「クライアント? ああ、お得意先のことね」というように、「クライアント」を自分にとって親しみやすい「お得意先」ということばに置き換えてから理解しなければならなくなるから。

でも普段から使い慣れていることばで説明されれば、あいてはそれを違和感なく受け取ってくれるはず

このように、自分の常識ではなく、相手の常識で説明することが、「伝わる説明」の第一歩になるというのです。

相手が理解できる「説明」とは?

×NG 一生懸命「伝える」説明をする →「伝える」ことにこだわると、相手の反応を感じ取る余裕がなくなったり、自分の常識を押しつけた言葉で説明してしまいます。

○OK 相手に「伝わる」説明をする →相手に伝わらなければ、説明する意味がありません。そのためにまずは、相手の常識にあわせた言葉を使った説明を心がけましょう。

(10ページより)

相手がいちばん知りたいことをまず説明する

友だちとの雑談や、物語のストーリーを話す場合には、時間の流れに沿って話を進めると、相手の理解が進むもの。

「先週の土曜日、2泊3日で北海道に旅行に行ってきたんだ。空港に到着してすぐに向かったのが札幌で、時計台を見に行ったよ。1階には展示室があってね…。それから翌日は円山動物園で…」

このように話せば、相手はその情景を思い浮かべることができるわけです。ところが、ビジネスの場面では少し違うのだそうです。

いうまでもなく、ビジネスにおいては時間が重要。相手になにかを説明しようとすれば、そのぶん相手に貴重な時間を使わせてしまうわけです。

そこで、まずは自分のことより相手のことを考えて説明するように心がけるべき。

自分にとっては、時系列で話をしたほうが説明しやすいかもしれません。とはいえ相手がいちばん知りたいのは、説明する内容の「結論」部分

したがって、相手が聞きたいことから伝えるということを心がけるべきだということです。

たとえば、ある営業パーソンが上司に対して、次のように説明したとします。

「今日A社を訪問しました。初対面だったので名刺交換からスタートして、次にお茶を出していただいたので、一口飲んでから話を始めました。まずは簡単な自社紹介から入り、次にパンフレットについて説明を始めました……」(15ページより)

本人からすれば、このように時系列に沿って話すほうが楽かもしれませんが、上司がまず知りたいのは訪問した結果です。

「今日A社を訪問した結果、契約できました」

「今日A社を訪問した結果、契約できませんでした」

(16ページより)

このように、結論から先に話すようにするということ。結論が後回しになると、相手は「いつまで話を聞けばいちばん知りたいことが聞けるのか」と気にし続けなければならなくなるわけです。

そのため、まず結論を説明し、そののち状況などについて落ちつうて説明するという手順が適切だということです。

「相手が知りたいこと」を意識した説明を!

×NG 時系列に沿って説明する

→自分の伝えたいことを、伝えたい順番で話すと、相手にとってはわかりづらい説明になります。話の途中で「もう理解できないから、この話は聞き流そう」と思われてしまいます。

○OK 結論から説明する

→相手に貴重な時間を割いてもらって説明するのですから、相手が聞きたいと思う順番で話すことが一番大切です。つまり、まず結論から話すのです。

(14ページより)


上司、顧客、後輩や部下、会議やプレゼンなど、相手やシチュエーションに応じた「説明の仕方」を簡潔に説明した一冊。

確実に伝えるためのメソッドがコンパクトにまとめられているだけに、実用性も抜群です。

説明がうまくいかないという悩みを抱えている人には、きっと役立つことでしょう。

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印南敦史

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