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印南敦史の「毎日書評」

ラテラルに物事を捉え、ロジカルに実現可能性を探る。天才たちの思考法

author 印南敦史
ラテラルに物事を捉え、ロジカルに実現可能性を探る。天才たちの思考法
Photo: 印南敦史

本書で扱う思考法「ラテラル・シンキング」は、古代バビロニアの時代から伝えられてきたものです。日本でいう「一休さんのトンチ」です。 ラテラルシンキングは、歴史の変革を乗り越える思考法なのです。

「先が見えない」といわれている今日、世の中を生き抜いていくためには、こうした考えるためのツールが必要になります。(「はじめに」より)

ラテラルシンキングの専門家である『天才たちの思考法 図解でわかる! はじめてのラテラルシンキング』(木村尚義 著、総合法令出版)の著者は、本書の冒頭にこう記しています。

特筆すべきは、「ラテラルシンキングは特殊能力ではありません」と断言していること。単に「方法」を知らないだけで、誰でもその「能力」持っているというのです。

ただし、方法を知っただけでは意味がなく、何度も繰り返し実践しなければ身につかないものでもあるのも事実。

加えて、実践には練習が必要です。つまり練習を続けることによって習慣化を実現でき、自然に使えるようになるということ。

だとすれば、まずは「ラテラルシンキングとはどういうものなのか?」という問題について、もう少し掘り下げてみたいところです。

ロジカルシンキングとは?

ラテラルシンキングについて解説するにあたり、著者はまず、その対極にある「ロジカルシンキング」という思考法を紹介しています。

ロジカルシンキングは、直訳すると論理的思考という意味で、簡単に言えば「筋道を立てて考えること」です。

具体的には、物事をいくつかのカテゴリーに分類して整理することです。(17ページより)

たとえば映画館に行くと、上映作品が「アニメ」「サスペンス」「ホラー」などに分類されています。

そのため、「どれが親子で安心して見られる映画なのか」ということなどをすぐに判断できるのです。

いわば物事をできるだけ最小の単位に分類し、余計なことを考えず効率的に進めるために行われてきたのがロジカルシンキング

ただし、ロジカルシンキングには落とし穴もあります。一度「Aは○○である」と分類してしまうと、改めて違うカテゴリーに分類することが難しくなるわけです。

「A=○○」というイメージが固定化しているため、それを覆すことが難しくなってしまうということ。

これはなにを意味するでしょうか?

つまり、なにかを解決したり、これまでにないアイデアを生み出したりする際には、ロジカルシンキングによって物事をきれいに分類するだけでは足りないのです。(17ページより)

ラテラルシンキングとはなにか?

物事をひとつの側面から掘り下げて考えることになるので、ロジカルシンキングは「垂直思考」とも言われます。

一方、物事をさまざまな視点から捉えるのが「水平思考」としてのラテラルシンキング。それは、物事を「多視点」で眺めるということです。

「多視点」とは、ある物事に対して、感想などを交えず、ありのままを見て受け入れること。ちなみに多角視点(多角的、多面的視点など)と似ているものの、少し違うのだそうです。

多角視点は、ある物事について、専門知識をもとに観察したり分析したりする方法。

常識や前提をもとに考えたり、関係者の立場に立って考えたり、個人的な意見や感想を持ったりすることも、同じく多角視点です。

たとえば暗闇から怖いものが飛び出してくるホラー映画を見たあとは、「暗闇」に「恐怖」というフィルターがかかるため、暗い夜中にトイレに行くことが怖くなってしまったりします。

このように、意見や感想を持つことによって「印象」というフィルターがかかり、物事の本質が見えなくなってしまう可能性があるわけです。

すなわち多角視点は、前提や知識、常識を重視するもの。そのため、上記のようなシチュエーションでは夜のトイレが怖くなってしまうわけです。

でも他視点があれば、素直に状況の変化をそのまま受け入れて行動することができるということ。(24ページより)

「ロジカル」の限界は「ラテラル」で超える

ところで、少ない手間で同じものをつくることに適したロジカルシンキングには、「フレームワーク」という仕組みがあるそうです。

それは、誰でも同じ結果を得られる手段や手法のこと。たとえば有名な「5W1H」もフレームワークのひとつ。

伝えたいことを「誰が」「どこで」「いつ」「なんのため」「どのように」「なにをした」のカテゴリー別に当てはめるだけで完成

情報がまとめられていれば、聞く人も話を理解しやすくなるわけです。

ただしその結果、物事の新たな可能性を見出せなくなることも考えられるでしょう。また、必ずしもすべての物事を明確に分類できるとも限りません。

新しい概念や前例がないものは、なにをどのカテゴリーに分類すべきか判断しづらいからです。

そんなときに役立つのがラテラルシンキング。

物事をさまざまな視点で捉え、別のカテゴリーに当てはめてみたり、いままでにないものと組み合わせてみたりすることが突破口になるのです。

問題解決や新しいアイデアを生み出すためには、状況に合わせてロジカルシンキングとラテラルシンキングをシーソーのように交互に繰り返しながら、考えを深めていくことが必要なのです。(31ページより)

ビジネスの現場においては、アイデアを形にしていく過程で、ひとつの問題を解決してもまたすぐに別の問題が現れるもの。

そのたびに、ラテラルシンキングでアイデアを幅広くたくさん出す必要があるわけです。とはいっても、ただ無限に広げるだけでは収集がつかなくなってしまいます。

そんなときはロジカルシンキングで、実現可能のものに絞っていくべき。幅広いアイデアを分類して分析し、予算や実行しやすさ、効果などを考えるわけです。

そうすれば、あるアイデアを試した結果が思わしくなかったとしても、次々と別のアイデアを試すことが可能になります。

だからこそ、ロジカルシンキングとラテラルシンキングを繰り返すことが重要だという考え方です。(28ページより)


このような考え方を前提として、以下の章ではラテラルシンキングについて深掘りされていきます。

それらはきっと、ビジネスを円滑に進めるために役立つはずことでしょう。

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Source: 総合法令出版

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