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うまくいく会社といかない会社の差は? 競合他社との違いはQPSで分析する

うまくいく会社といかない会社の差は? 競合他社との違いはQPSで分析する
Photo: 印南敦史

著名経営コンサルタントである著者によれば、『社長の成功習慣 経営者になる人に知っておいてほしい50のこと』(小宮一慶 著、ダイヤモンド社)は、「経営者がなにをすれば経営力を鍛えられるか」を解説した書籍なのだそうです。

経営の概要はもちろんのこと、「実践的になにを行わなければならないか」に重点を置いているということ。

「経営とはなにか」を頭で理解していたとしても、実際にそれができるかどうかは別の話であり、できないと結果が出るはずもありません。

そこで、経営者として結果を出すため、普段からしなければならないことを解説しているのです。

経営者として成功していただくためには、「正しい努力」の「積み重ね」が必要です。ですから、「正しい努力とは、具体的にどんなことか」を教えるのがコーチである私の仕事の1つということになります。

本書では、この「正しい努力」とは何かを、具体的な行動レベルにまで落とし込んでお伝えしていきます。

普段からどういうトレーニングをすれば経営者として成功するかに焦点を当てた本です。(「はじめに」より)

きょうは基本的な考え方を確認するため、第1部「『経営という仕事』の能力を高める方法」内の第1章「『方向づけ』が8割」に焦点を当ててみたいと思います。

「10年後を読む」能力を高める

「なにをやるか」「なにをやめるか」を決めるために必要なのは、世の中の変化を読み取る力

そこでここでは、「環境変化を読み取る能力を高めるためのトレーニング方法」が紹介されています。

コンサルタントである著者は、さまざまな企業で経営計画の策定についてアドバイスしてきたわけです。

しかし当然ながら、コンサルタントがアドバイスしたからといって、それらの会社が必ずしも優秀な経営計画を立てられるわけではないでしょう。

だとすれば、「うまくいく会社」と「うまくいかない会社」の差はどこで生じるのでしょうか?

ひとつのポイントは、「10年後を見ているかどうか?」だといいます。

・10年後、世の中はどう変化しているだろうか?

それをふまえて、

・10年後、自社はどうなっているだろうか? どうなっているべきか。

そんな視点を持って想像できているかどうかが、良い経営計画を策定できるかどうかを左右します。

(28~29ページより)

もちろん、10年後のことなど誰にも予測はできません。しかし、それでも世の中の動きに関心を持っていれば、想像力を働かせることは可能。

さらには、10年後の世の中についておおよそ考えたうえで、「そんななか、自社はどうあるべきか」を具体的に考えられることが重要だということです。

その際、「なにかをやっているだろう」「なんとかなっているのでは」というような漠然とした考えではなく、「こんなふうになるだろう」と具体的に考えることが必要。

そして「10年後」を予測する力をつけるための手段として、著者は、毎日1面から新聞を読むことを勧めています

新聞には数多くの記事が掲載されているので、じっくり読む時間はなかなかとれないかもしれません。

そのため、関心のない記事は見出しだけ見て飛ばしてしまうことも少なくないでしょう。

とはいえ、関心のある記事ばかりを拾って読んでいたのでは、世の中の大きな流れを見失うことにもなりかねないわけです。

新聞1面のトップ記事というのは、新聞社が独断で決めるものではありますが、その日のニュースのうち最も重要だと判断したものを出しているわけです。それを毎日欠かさず読めば、世の中の変化を感じ取る力につながります。

忙しい場合には全体を5、6行でまとめた「リード」だけでも読んでください。一般的な読書力のある方であれば、リードだけなら30秒もあれば読めるでしょう。

その30秒の手間をかけるか省くかで、世の中を見通す力の差がつくのです。(32~33ページより)

リードがついている記事は、1日に10本前後。それらをとにかく毎日読む習慣をつければ、関心の幅が広がることになります

すると、関係するニュースがだんだんと自然に頭へ入ってくるようにもなるはず。

だからこそ、新聞をバカにしてはいけないと著者は主張するのです。(28ページより)

競合他社との違いをQPSで正確に見る

環境の変化を読んで正しく方向づけをするためには、競合他社と自社との違いにも常に目を向けておくことも必要。

なお自社と他社との違いを分析する際、著者は「Q、P、S」で分解するフレームワークを用いているのだとか。Qはクオリティ(品質)、Pはプライス(価格)、Sはサービス。

企業がお金をいただく商品・サービスはすべて「Q(クオリティ)」です。(中略)「S(サービス)」はお金を受け取らないその他の要素です。

たとえば、「知り合いがそこで働いているから」「お店が近いから」「品揃えが多いから」などといったものですが、ある企業の商品やサービスを選択する際、その理由が商品やその価格以外であることがあります。

それら、お金を支払わない要素はすべてその他の「S(サービス)」です。(41~42ページより)

お客さまは、QPSの組み合わせによって商品・サービスの購入を決めるもの。

自社の商品・サービスが選ばれるのか、それとも他者のそれが選ばれるのかは、QPSで比較した結果だということです。

そのため、方向づけを判断するにあたっては、お客さまがどんなQPSを求めているのかはもちろん、ライバル企業のQPSを正しく理解することが欠かせないわけです。

なお、ライバル企業のQPSを正確に見るためには、2つ必要なことがあるそうです。それは、「専門性」と「素直さ、謙虚さ」

どんなものを見るにも、ある程度の専門性は必要。ましてやライバル企業のQPSを正しく把握したいのであればまず自社の業務に関する専門性を高めることが欠かせないからです。

経営者のなかには、「細かいことは現場に任せているのでわからない」という人もいるもの。

しかし製品をつくっている工場や販売の現場に足を運び、ある程度の専門性を身につけなくてはならないという考え方です。

そして自社製品が店頭で販売されているなら、そのお店に足を運んで自分の目で現場を見るべき。

「ライバルの商品はどこに陳列されているのか」「自社製品と他社製品は、並んだときにどう違って見えるのか」「お客さまはどちらの商品を手にとるのか」など生の情報を、経営者が直接確認することが重要だというのです。

つまりはそういった姿勢が、「素直さ、謙虚さ」なのでしょう。(41ページより)


著者は、「地位は人をつくらない」という持論を持っているのだそうです。

社長という地位についたから優れた経営者になれるわけではなく、開花できるのは、普段から準備している人だけだということ。

つまり、「チャンス」と対になることばが「準備」。経営者としての成功は、チャンスが訪れるまでの間にどれだけ準備したかにかかっているということです。

そんな考えに基づく本書は、経営者の方、あるいは経営者を目指す方に気づきをもたらしてくれるかもしれません。

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Source: ダイヤモンド社

印南敦史

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