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共通点・違いを可視化。誤解やストレスが減る図解コミュニケーション

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共通点・違いを可視化。誤解やストレスが減る図解コミュニケーション
Photo: 印南敦史

私にとって図解は、コミュニケーションを通じて共感を生み出すツールであり、やりたいことをお互いが協力しあって創り上げる「共創」につながるご縁を生み出すツールでもあるのです。 (「はじめに」より)

図で解りあえる技法ー人間関係からマーケティングまで使える8つのフレームワークー』(多部田憲彦 著、ソーシャルキャピタル)の著者は、「図解」についてこう記しています。

相手とのコミュニケーションを図解することで、相手との「共通部分」や「違い」を可視化することが可能になり、誤解やストレスを減らせる

そこに、著者が実践している図解の意味があるというのです。

そこで本書では、図解でコミュニケーションするための過程を、共通理解を生み出すプロセスとして紹介しているわけです。

図で解りあえる技法」とはなんなのかについて、もう少し掘り下げてみることにしましょう。

As soon as possibleということばの意味すること

コミュニケーションの難しさを実感したのは、著者が日産自動車の購買部門でバイヤーを担当していたときだったといいます。

あるとき、「A部品について世界各地域の購入金額を至急調べてほしい。ゴーンCEOに報告するためです。As soon as possibleで返信してほしい」と世界各地域に点在する同僚にメールしたのだそうです。

それは、3日後にゴーンCEOに報告したいので、担当役員には明日までに状況を報告する必要があるという部長からの依頼があったから。

しかし思いは伝わらず、リクエストに応えてくれるような返信はこなかったのだといいます。

理由は明白で、つまりAs soon as possibleの意味することが、国民性の違いによって世界各国の同僚と共有されていなかったわけです。

そのためそれ以来、著者は全体のスケジュールとともに「日本時間の○日午前8時まで」というように具体的な日時を明記するようになったのだそう。

このようにミスコミュニケーションは相手と理解の共有がなされない場合に起こります。まして、外国人を相手にすると文化や気質、言葉も違います。

日本の常識は通用しません。私はこのことをキッカケに図解で共通理解を保つようにしようと思ったのです。(12ページより)

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Image: ソーシャルキャピタル

ちなみに、この場合の段取りを図解で説明すると上記のようになるそうです。(11ページより)

共通理解をつくることへの意識

下記は、共通理解をつくることを図解にしたもの。

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Image: ソーシャルキャピタル

図解することの意味は、メッセージのなかで特に大事なところを抽出し、「共通点と違い」を可視化するところにあると著者は記しています。

日々のコミュニケーションのなかで、「相手との共通点が持てているか」を意識することはとても重要。

とはいえ自分の話を聞いてもらえるチャンスは限られているだけに、短い時間で伝えたいことをまとめ、相手が知りたいことを把握したうえで、「自分が伝えたいこと」と「相手が知りたいこと」を話す必要があるわけです。

しかし多くの人は、自分が伝えたいことを延々と話してしまうもの。

それは相手への配慮が足りないということなので、著者はそれを図解で解消したいと考え、さまざまな状況で図解を使ってコミュニケーションしてきたのだといいます。(12ページより)

図解で共通点と違いを知る

大切なポイントは、図解を使って「自分が言いたいことと相手が伝えたいことの交差する部分を探す」こと

なぜなら共通理解があれば、相手が知りたいことを伝えられる喜びが大きくなるから。

また、図解を使って相手との共通点を探ることは、相手との違いを知ることでもあると著者はいいます。

その結果、自分に足りない部分に気づくケースもあるでしょうし、お互いが理解できた瞬間を感じることもあるはず。

するとお互いの距離はぐっと近くなり心理的な安全性が生まれ、コミュニケーションがスムーズになるというわけです。

私はあらゆる状況で図解を使ってコミュニケーションの改善を進めていますが、つまるところ、相手との共通理解を見出し、相手が知りたいことを伝えているにすぎません。

この土台ができると、当初は関心のなかった話題でも聞いてくれるようになり、自分の言いたいことが言える関係性が作れるのです。(16ページより)

これは業種にかかわらず、あらゆるビジネスシーン、あるいはプライベートにもいえることではないでしょうか。(15ページより)

Before → Afterをつくることへの意識

著者の知人に、抜群の営業力を持った80代の女性がいらっしゃるそうです。

バスで隣になった人に話しかけ、自身が主催する認知症予防の勉強会へ誘うと、40パーセントの方が実際に出席したほどだというのですから驚きです。

「ちょっと物忘れが気になってくる。特に、友達の名前が思い出せないとか、落ち込むときがあるじゃない?」という話から入り、「勉強会では、メンバーが工夫していることを学び合うなどして、物忘れに対して前向きな気持ちになれるのよ。一回、来てみて」と、前後関係をわかりやすく正確にお話になったそうです。(17ページより)

この女性の営業力を示したのが以下の図解。いわけです。

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Image: ソーシャルキャピタル

これは、認知症予防の勉強会のセールスポイントを、勉強会の参加前と参加後に分けて説明するという発想。

シンプルではありますが、日常的に応用できる重要なメソッドであるわけです。(17ページより)


著者はタイに赴任していたころ、コミュニケーションがうまくいかずに悩まされた経験があるそうです。

しかし、なんとかコミュニケーションのストレスを図解で減らせないかと思考錯誤した結果、「少しだけうまくいった」のだとか。

つまり本書は、そうした経験と、10数年におよぶ図解によるコミュニケーションに基づいて書かれているということです。

そんなこともあり、コミュニケーションに苦手意識を持つ方にとって本書は役立ってくれそうです。

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印南敦史

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