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元ヤフー会長・宮坂学さんが選ぶ「心が迷ったときに背中を押してくれる本」3冊

元ヤフー会長・宮坂学さんが選ぶ「心が迷ったときに背中を押してくれる本」3冊
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あの1冊があったから、今の自分がある――。

さまざまな分野で活躍をする方に、人生や仕事観において影響を受けた本をこっそりと教えてもらい、タイトルも著者も明かさないまま購入者のもとへ本をお届けするサービス「BLIND BOOK CLUB」。

今回、選書をしてくれたのはヤフー株式会社元会長の宮坂学さんです。

宮坂さんといえばヤフーの会長を退任した直後に、東京都参与に就任したことも話題となりましたが、さらに副都知事に抜擢され、多忙を極める毎日です。

現在は他の仕事の一切をシャットアウトして都政に尽力する宮坂さんですが、実は東京都参与に就任してまもないときにライフハッカー[日本版]が主催した「BLIND BOOK CLUB」のキックオフイベントで登壇し、“リーダーシップ”を中心に語っていただく機会がありました。

大企業の社長・会長としてどのようなリーダーシップ像を発揮してきたのか、ビジネスパーソンの皆さんにとっては気になるテーマ。

さらに趣味である読書のことにもふれていましたのでご紹介しましょう。

【動画付】元ヤフー会長・宮坂学さんが選ぶ「心が迷ったとき背中を押してくれる」3冊

将来やりたいことのひとつが「本屋さん」

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2019年7月30日(火)、東京・渋谷のブックカフェ「Book Lab Tokyo」で開催したのは、「野山の 会社の 東京都の リーダーシップ(と本)の話」と題したイベント。

より良いリーダーシップを探りたい人、自分にはリーダーの資質がないのかもと悩む人、そし日々の仕事をもっと充実させたいと願う人など、さまざまな聴講者が訪れました。

モデレーターを務めたのは、チームビルディングにまつわる著書もある組織開発ファシリテーターの長尾彰さんです。

イベントタイトルの「野山の」と「(と本)」が気になりますが、宮坂さんは趣味が多く、とくに好きなのがお父様から影響を受けたという山登り。

イベントでは、ビジネスを登山にたとえてわかりやすく説明する場面もありました

また、読書家であるのもお父様ゆずり。ヤフーにいた頃はスマホを見ながら仕事をする毎日を送っていたため「140字以上は読めない体に最適化されてしまった」と笑う宮坂さんですが、本となれば話は別。

時間さえあれば気になる本を手にとって読んでいるそうですし、かつては「本を1トン読め!」と社内研修で檄を飛ばしたというエピソードも有名です。

このイベントへの登壇を決めたのも「会場が本屋だったから」という理由も大きかったとか。

とにかく本が大好きで、やりたいことリストにも“本屋をやりたい”と書いているぐらい。本屋さんという大好きな空間で、来てくださるかたも本好きだろうから、緊張せず話せるかと思ってお受けしました。(宮坂さん)

宮坂さんの心が迷ったときに背中を押してくれる3冊

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そんな宮坂さんが「BLIND BOOK CLUB」のために選んでくれたのは3冊(1冊は上・下巻なので正確には4冊ですが)。

選書の理由を、イベントで宮坂さんが話したエピソードとともにご紹介します。

リーダーシップに悩んだとき、読みたい本

初めて部下を持つようになり、リーダーのあり方について苦悩していた頃、多くのリーダー論を読んだ。そのなかでもっとも影響を、そして勇気を与えてもらった一冊。

自分にはリーダーシップがないのではないかと悩む人にこそ、読んでほしい。(宮坂さん)

本では、リーダーシップは天賦の才ではなく、誰もが内発的に持っているものであるとし、段階を経て獲得していくまでの道順が示されています。

無我夢中で働いた20代を経て、30代前半には50人ほどの部下がいたという宮坂さん。

しかし自分と同じようにがむしゃらな働き方を部下たちにも強要してしまい、部下はおろか取引先の人までが体を壊すなんてことも。

ある日デスクに『こんな上司が部下をつぶす』みたいなタイトルの本が置いてあって、誰が置いたんだとカッとなって読まずに捨てたんですが、さすがに俺はヤバいのかなって気づきました(笑)。

初めて有給休暇を取ってロスに住む親友に話を聞いてもらいました。今でいうコーチングだったんですかね。(宮坂さん)

仕事の悩みの9割が人間関係だったこともある」という宮坂さん。それを聞くと、急に親近感が湧いてきます。

「つらいのは自分だけじゃない」と勇気づけてくれる本

絶対的な権力を持つ古き指導者が、人間臭く苦悩と格闘し、自分を叱咤激励しながら取り組んでいることを知ることができる一冊。

『肉体がへこたれないのに、魂のほうが先にへこたれるとは恥ずかしいことだ』などと、指導者の職責のもと、苦悩の中で書いたと思われる文章は、現代社会においても多くの人を勇気づけてくれる本。(宮坂さん)

情報の漏えいやハッカーの侵入、同業他社や株主の視線…。社外からも社内からもさまざまなプレッシャーを受けながら、部下たちを率いて結果を出さなければいけないリーダーたち。

なかでも宮坂さんがつらいと感じていたのが、社員のリストラだそうです。

でも、あるとき思ったんです。リストラは会社に余裕がないからせざるを得ないのであって、会社が成長しつづければ株主は何も言わないし、リストラだってしなくて済む。

自分がしたいことをするために、数字にこだわり、結果を出せばいいんだと。(宮坂さん)

また、能力を発揮できていない人やチームの足を引っ張ってしまう人の扱い方ついて聞かれた場面では、次のように話していました。

山登りでは一番遅い人にペースをあわせるわけですが、仕事ではそうはいかない。かといって簡単にロープを切ってはいけない。

その部下をパーティーに選んだのは自分なのだから、自分が背負ってでも連れて行く責任がある。そのためにリーダーはトレーニングやスキルアップをしなければいけない。(宮坂さん)

宮坂さんがときにこの本を読みながら、自身を鼓舞しているかと思うと胸が熱くなります。

「生きる意味」について、深く考えさせてくれる本

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宮坂さんは「生きる」ということを自問することも多いのだとか。

黒澤明監督の映画『生きる』は、本であれば今回の選書のひとつに加えたかった作品で、自身が行政に携わるようになった今、市役所に勤める主人公と自分を重ねて考えることもあるそうです。

この映画の主人公は、公務員の普通のおじさん。仕事はできるタイプではないけれど、最後の最後でがんばる。僕はけっこうそういうのが好きなんです。たとえばソフトバンクの孫さんなんかは、すごすぎてロールモデルにならないですよね。

理想のリーダーシップ像の答えを求めて、偉人の伝記を読んでも無理だなって思う。でもこのおじさんを見ていると『僕にもできるな』って思わせてくれるんです。(宮坂さん)

この映画の代わりになる1冊として選んでくれたのが本書で、かのビル・ゲイツ氏も「『生きる』ことへの問いをめぐる示唆に富む洞察の書」と絶賛しています。

『なんのために生まれてなにをして 生きるのかこたえられないなんてそんなのは いやだ』。やなせたかし作詞のアンパンマンの歌は、大人にとっても“生きる”ことへの深い問いかけをしている。

この本も同様に、“生きるとは何か”について深く考えさせてくれます。(宮坂さん)

イベント動画のパスワードもプレゼント

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ある日、強いリーダーがやってきて日本や会社をがらっと変えてくれるなんて、そんな映画みたいな話はあり得ません。誰もが持つリーダーシップを大切に、身近なところから変えていくことが大切です。

自分の身のまわりの1メートルをみんなが変えれば、大きく変わります。僕も東京都で小さなところから変えていき、大きな変化を起こせたらと思っています。(宮坂さん)

ヤフーの会長から東京都の副都知事へ。誰もがそのリーダーシップを認める宮坂さんの言葉は、人間味のある、あたたかなものでした。

ここで紹介したイベントの内容は、ほんの一部。他には、今でも唯一持っている子どもの頃からの愛読書のことや、自身が実践している「メタ認知」(客観的な視線で自分の思考や行動を見ること)、好奇心を持ち続けるためのトレーニング法、さらには雪山で命拾いをしたときのエピソードなど、多岐にわたっています。

今回、「BLIND BOOK CLUB」で宮坂さんの選書をご購入くださった方には、このイベントを収録した動画を観ることができるパスワードもお伝えします。

宮坂さんの表情や言葉、そして本の中身とを照らし合わせながら、宮坂さんの思考を探ってみてください。

宮坂さん

宮坂学(みやさか まなぶ)さん

1967年、山口県生まれ。同志社大学経済学部卒業後、ベンチャー企業を経て、2012年にヤフー株式会社代表取締役社長。同社取締役会長、日本IT団体連盟代表理事を経て、東京都参与に就任。2019年9月より副都知事として都政に貢献している。趣味は、ロードバイク、スノーボード、山、サーフィン、ロングスケートボード、ランニング、猫、トレラン、クライミング、読書と映画。

Twitter:@miyasaka

■BLIND BOOK CLUBとは

「BLIND BOOK CLUB」は、様々なジャンルの第一線で活躍している方にテーマに基づいてご自身の人生において影響を受けた本を紹介いただき、それらの本をタイトルも著者の名前も明かさずにお届けすることで、アルゴリズム過多の時代に「本との偶然の出会い」を演出するサービスです。 仕事や暮らしのなかで抱いているもやもやが解消されたり、知的探究心を満たしたり、ストーリーや文章の一節に心が動いたり。選者とテーマの掛け合わせによって受け取る体験もちがうはず。その人がその本を選んだ理由の書かれたメッセージとともに読み進めていただけたらと思います。

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Source: BLIND BOOK CLUB

大森りえ

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