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習慣術の専門家が教える、良い習慣を確実に身に付ける4つの法則

習慣術の専門家が教える、良い習慣を確実に身に付ける4つの法則
Image: Shutterstock.com

歴史に残る偉業も日常的な自分だけの成果も、「小さな習慣」の積み重ねが大きな役割を果たしていることに異論はないでしょう。

でも、その小さな習慣を身に付けるのが一番難しい、と大半の人は実感していると思います。

例えば、「3か月で4kgやせる」と決心し、あれこれダイエットやエクササイズに励んでみるも、すぐにやめてしまって、暇さえあればスマホを眺める生活に戻ったり…

この負のループを抜け出す、とっておきの秘策を教えてくれるのが、新刊『ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣』(パンローリング刊)です(原書名『Atomic Habits: An Easy & Proven Way to Build Good Habits & Break Bad One』)。

著者のジェームズ・クリアー氏は、高校時代に顔に野球のバットを受ける大けがを負いながらも、数年後には所属する大学の男性トップアスリートに選ばれ、ESPNアカデミック全米チームに指名され、そして、卒業までに8種類の学生記録を打ち立てた人物。瀕死の重傷から生還し、一流アスリートに躍進したのは、ほかでもない「小さな習慣」のおかげだったと言います。

今は、50万人以上の人がメルマガを購読する、習慣術の専門家となったクリアー氏ですが、本書にはどんなコツが書かれているのでしょうか。その一端を紹介します。

キーポイントは行動変化の4つの法則

クリアー氏は、望ましい習慣を定着させるには、以下4つについて自問することをすすめます。

身に付けようとする習慣は、

  1. どうしたらはっきりする?
  2. どうしたら魅力的になる?
  3. どうしたら易しくなる?
  4. どうしたら満足できるものになる?

これらは、習慣を定着させるための「行動変化の4つの法則」です。

クリアー氏は、「どうしてわたしは、自分がすると言ったことをしないのだろう。減量も、禁煙も、老後のための貯蓄もせず、副業も始めないのは、どうしてだろう」といった疑問への答えは、この4つの法則のどこかで見つかると言います。

これを読んだだけでは、なぞかけに思えたかもしれませんね。では、各法則について、以下より概説してみましょう。

第1の法則:はっきりさせる

「もっと健康的な食事をしよう」などといつも思案しながら、それが習慣にならないのは、「モチベーションが足りないから」ではないそう。

クリアー氏は、足りないのは「明確さ」であることが多いと述べています。つまり、「いつ、どこで行動するか」。これが「はっきり」していないと、習慣化は困難なのです。

では、どうするか?

クリアー氏の答えは、簡潔明瞭です。つまり、

「次の文を完成させるだけでいい―わたしは〈いつ〉〈どこで〉〈何を〉する」

例えば、「わたしは午後6時に、寝室で、20分間スペイン語を勉強する」「わたしは午後5時に、ジムで、1時間運動をする」等々。

こうしたこと(「実行意図」と呼ばれます)には、モチベーションが高まるのを待つ必要はありません。いったん実行意図をたてたら、その時間が来たときに、それを行うだけです。

さらに、実行意図の特殊な形としてすすめられているのが、「習慣の積み上げ」。これは、「〈現在の習慣〉をしたら、〈新しい習慣〉をする」。

〈現在の習慣〉とは既に確立している習慣で、〈新しい習慣〉とは、これから身に付けたい習慣です。

例えば、「毎朝コーヒーをカップに注いだら、1分間瞑想する」「仕事用の靴を脱いだら、すぐ運動服に着替える」。

応用テクニックとして、小さな習慣をつなげて習慣の山を積み上げるというものがあります。

例えば

  1. コーヒーをカップに注いだら、60秒瞑想する。
  2. 60秒瞑想したら、その日のやること(to do)リストを書く。
  3. その日のやることリストを書いたら、すぐ最初の作業に取りかかる。

習慣の積み上げで落とし穴になりやすいのが、曖昧さです。

腕立て伏せを習慣化したいと考えたとしましょう。そこで、「昼休みになったら、腕立て伏せを10回する」といった実行意図をたてます。

しかし、これだと昼食の前なのか後なのか、どこでするのかなどが、はっきりとしません。なので、「昼食のためにパソコンを閉じたら、机の横で、腕立て伏せを10回する」まで明確にすればOKです。

他にもありますが、以上が1つめの法則のエッセンス。実行意図をはっきり見えるようにして、習慣化をプッシュさせます。

第2の法則:魅力的にする

ここでは、無味乾燥に思える習慣であっても、ある要素を付け加えて魅力的にするテクニックを身に付けます。その1つが「誘惑の抱き合わせ」。クリアー氏は、それを以下のように公式化しています。

  1. 〈現在の習慣〉をしたら、〈必要な習慣〉をする。
  2. 〈必要な習慣〉をしたら、〈したい習慣〉をする。

例を挙げると

  1. 昼休みから戻ったら、3人の見込み客に電話をする。
  2. 3人の見込み客に電話をしたら、ESPN(スポーツチャンネル)をチェックする。

昼休みから戻るのが〈現在の習慣〉で、3人の見込み客に電話をするのが〈必要な習慣〉です。〈必要な習慣〉をしたら、娯楽スポーツテレビのESPNを楽しめる。これが誘惑=〈したい習慣〉です。

これは、心理学の「ブレマックの原理」を応用したものだそうです。この原理の定義は「起こる確率の高い行動は、起こる確率の低い行動を強化する」というもの。

平たく言えば、「自分の好きなことと同時に行えば、習慣を魅力的に感じやすい」というわけで、あまり気のすすまないことを習慣化するには、とても有効です。

第3の法則:易しくする

これから身に付けようとする習慣が、なんとなく面倒に感じたり、すぐに挫折しそうな雰囲気を出していたら、おそらくその実行をどんどん先延ばしにしてしまうでしょう。

その対策の1つが「2分間ルール」。これは、「新しい習慣を始めるときは、2分以内にできるものにする」というものです。

例えば

  • 「毎晩寝る前に読書する」は「1ページ読む」に
  • 「洗濯物をたたむ」は「1足の靴下をたたむ」に
  • 「5キロ走る」は「ランニングシューズの靴ひもを結ぶ」にします。

「単なる心理的なトリックにすぎないのでは?」と思われるかもしれません。

そうした疑念があれば、とにかく2分間だけやって、必ずやめることをクリアー氏はすすめます。洗濯物をたたむのでも、走るのでも、2分やったら絶対やめるのです。

クリアー氏は、「2分間ルール」を取り入れて45キロ以上も減量した人を、成功例として挙げます。

はじめのうちは、毎日ジムへ行ったが、5分以上いないようにと自分に言いきかせた。ジムへ行き、5分間運動し、時間が過ぎるとできるだけ早く帰った。

数週間後、彼はまわりを見て思った。

「そうだ、とにかくいつもここへ来てるんだ。そろそろ、もう少し長くいてもいいかな」。数年後、体重はみごとに減っていた。(第13章、188pより)

第4の法則:満足できるものにする

第4の法則は、望む習慣をしっかりと続けられるようにするものです。その1つが、「習慣トラッカー」。習慣をきちんと行ったかを測る方法の導入です。

習慣トラッカーの一番簡単なバージョンは、習慣を行ったらカレンダーの日付に×を付けるというもの。カレンダーに×印が並んでいるのを見たら、また行動しようという気になります。

クリアー氏に言わせれば「病みつきになるほどモチベーションを上げることができる。ひとつひとつの小さな勝利によって、やる気が育まれていく」と、そのメリットを絶賛しています。

もう1つの、そして最大のメリットは、記録をつけること自体によって達成感を得られ、気分を良くし、結果としてこれからも続けたくなることです。行動を「満足できるもの」にできたら、それはもう習慣付けたも同然です。


ところで、出張があったり、単にさぼってしまったりで、習慣が途切れたときの指針も本書に記されています。

それは、「2回はさぼらないこと」。1回運動を休んだら、2回続けて休まないようにする、というふうに気をつけることです。

仮にその2回目が、多忙だとか調子が乗らないといった日でも、「10回のスクワット、5回のダッシュ、1回の腕立て伏せなど、本当になんでもいいから、何かするだけでも大きな意味がある」と、クリアー氏は力説します。

これができるかできないかかが、勝者と敗者の違いを表すものだ、とも。

このように本書の習慣術は、ステップを踏んで誰でも実行できるメソッドで固められており、含蓄に富んだ人生訓でもあります。今まで、なかなか良い習慣をものにできなかった人こそ読んでほしい1冊です。

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Source: 『ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣』(パンローリング)

鈴木拓也

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