2歳ごろに触れた会話の総量が、子どもの将来を決定づける(かも)
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少し前から、おしゃべりをはじめた姪っ子との会話にいつも癒されています。
「いつ聞いてたの?」と思うような周りの大人の口癖をまねしたり、「どこで覚えたの?」と思うようなことを口走ったりで、「人はこうして言葉を覚えていくのか」と日々感心させられっぱなしです。
興味が湧いたので子どもの言語習得についていろいろ調べてみると、「BBC」で興味深い記事を見つけました。
重要なのは相互的な会話のやりとり
アメリカのボストン小児病院で神経科学者、また音声言語を専門とするロメオ氏がある実験を行ないました。
家庭内で、子どもとの相互的な会話の回数を記録したところ、相互に会話をしている頻度の高い子どものほうが言語テストで良い成績を残したとのこと。
この子どもたちの脳の内部を調べてみると、言語や社会性司る重要な部分がより早いスピードで発達をみせていることが分かったそうです。
ロメオ氏は、次のように言います。
ただ一方的に会話を聞かせ大量の言葉を浴びせるとよい、ということではありません。重要なのは、「相手の話を聞いてそれに対して応える」といったような、会話のやりとりをどれだけ多く交わしているかという点にあります。
会話という “経験”を通して得られるもの
これはなかなか面白い結果です。
人の記憶は、見たり、聞いたりするよりも、自分で経験するほうがはるかに長く定着しやすいと昔教わったことがあります。
たしかに、子どもの頃理科で習った星座の名前は一過性の暗記作業に思えましたが、プラネタリウムの帰りに父親と見た夜空に浮かぶ星座の名前は今でもよく覚えています。
外国語を習得するときにも、ひとりで音源を聞いて覚えた単語や表現は翌日には忘れてしまいますが、誰かとの会話のなかで出てきたそれは不思議とずっと忘れないものです。
子どもの言語習得も、会話を交わす、という経験自体を頭の中に刻んでいったり、会話の文脈を通してより広く、深い単語の意味を獲得していったり、発せられる言葉以外でのコミュニケーションの術を目で見て学ぶ、という過程が大切なのかもしれません。
まずは子どもの言葉に反応してみよう
「BBC」によれば、2歳ごろに触れる会話の総量や頻度が特に重要だとのこと。
まだ会話がうまく成立しない場合は、本の読み聞かせや歌を歌ってリアクションを引き出し、子どもの発した言葉を繰り返してあげたり、楽しいね、嬉しいね、びっくりしたね、など、気持ちを代弁してあげるように話しかけてあげてもよいかもしれません。
そうしたキャッチボールでも充分会話になるものです。
電車の中や公園で、そんなふうに上手にやりとりしている親子をよく見かけますよね。あれって実はすごく理にかなってる、といえるのかもしれません。
ノンバーバル(言葉を使わない)コミュニケーション
また、言葉が通じなくても声のトーンや身振り手振りでコミュニケーションをとることもできるはずです。
私の友人は、まだ言葉を上手く話さない娘さんに注意するとき、「しっかりと娘と正対して、目を見て、落ち着いた声のトーンと話しぶりでどうしてそれがやってはいけないことなのかを話すようにしている」と言っていました。
すると、目の届かないところから一方的に怒鳴っていたときとは違って、すっと言うことを聞いてくれるのだそう。
言葉の意味は分からなくても、お母さんの様子や雰囲気から自然と伝わるものなのでしょう。
ベビーサイン、なんて呼ばれるものもありますから、親子間でそうしたサインで会話するのも楽しいかもしれません。
子育てにもコーチングを取り入れよう
言葉で会話のやりとりはできるようにはなってきたものの、「いつも一片通りの反応になってしまう」というときにはコーチングスキルを役立ててみましょう。
コーチングとは、相手の話をしっかりと傾聴し、質問をしてあげることで相手のやる気を引き出したり、自ら考える力や自立心を芽生える手助けをしたりするスキルです。
例えば何か悪いことをした場合、「どうしてこれをしようと思ったの?」「これをやるとどうなると思う?」「周りにいた人はどんな気持ちだろう?」「次はどうしたらいいかな?」など様々な時系列、視点から質問を投げかけてみましょう。
時間がないから…と一方的に叱ったり、脅しをかけるようなことをしても、子どもは納得がいかないとその行動を何度も繰り返してしまい、こちらも長時間叱り続けることで心身ともに疲弊してしまいます。
最初は時間も忍耐も必要ですが、こうしたコーチング的な会話を習慣にすることで、子どもは自分の頭で考える力が身につき、物事の判別がつきやすくなるかもしれません。
言葉はわたしたちを繋ぐ大切なもの。
小さな頃からの習慣付けで、子どもが将来幅広く未来を切り開けるようなコミュニケーションの力を養ってあげたいものですね。
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Image: Evgeny Atamanenko/Shutterstock.com
Source: BBC
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