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「赤身は健康に悪い」と断言できない理由

「赤身は健康に悪い」と断言できない理由
Image: stockcreations/Shutterstock.com

5つの新しいメタ分析によると、「赤身肉を食べるな」と人に言えるだけのエビデンスは存在しないそうです。

これはつまり、私たちはずっとだまされていて、ステーキを食べても何の問題もなかったということなのでしょうか?

それとも、よくある科学者の気まぐれであり、無視するのが一番なのでしょうか?

答えは質問次第

健康に対する赤身肉の影響に関する研究は、過去数十年にわたって何度も行われてきました。関連性と思しきものを発見した研究も中にはありました。

たとえば一部の研究では、これまで赤身肉を多めに食べてきたと報告した人たちに、特定のがんや心臓病になりやすい傾向が見られました。

とはいえ、こうした傾向が、赤身肉を食べるべきではないという結論に直結するわけでありません。

「赤身肉は体にいいのか?」を直接問う研究をするのは、事実上不可能です。

そうする代わりに科学者たちは、具体的な事実を集め、それらを、より多くの情報を与えてくれると見込めるやり方で分析します。

赤身が体に悪いと断言できない?

実験室ではない現実の生活には、秩序がありません。

「赤身肉は体にいいのか?」という問いはとても扱いずらいのです。例えば、赤身肉を食べている被験者が、ファストフードのハンバーガーをしょっちゅう食べているとしましょう。

そのような場合、問題はその肉にあるのでしょうか? それとも、ほかのファストフードにあるのでしょうか?

赤身肉を食べている被験者は、研究に参加していない、ほかの人々よりも裕福でしょうか? それとも貧しいでしょうか? 歳をとっているでしょうか? それとも若いでしょうか?

赤身肉をあまり食べない人たちについてはどうでしょう。彼らは、代わりに何を食べているのでしょうか?

これらは難しい質問です。

「赤身肉は体にいいのか?」という問いにはっきりとした答えを出してくれる研究を計画・実施することは、とうてい無理な話なのです。

ただ、さまざまな研究を注意深く見て、そこに何か際立ったパターンがないかを確認することはできます。

解釈の問題

今回の分析では、赤身肉が体にいいという事実は見つかりませんでした。

わかったのは、わざわざ人に赤身肉を食べるなと言えるだけの強い証拠はない、ということです。

以下が、その全体的結論です。

推奨

未加工の赤身肉を消費している成人は、現在の食生活を続けてもかまわないと、専門家パネルは述べている(弱い推奨/確実性の低いエビデンス)。

同様に、加工肉を消費している成人も、現在の食生活を続けてもかまわないと、専門家パネルは述べている(弱い推奨/確実性の低いエビデンス)。

要するに、食べたいものを食べていいと言っているわけですが、あくまでこれは「確実性の低いエビデンス」に基づく「弱い推奨」です。

食べる赤身肉の量を増やす必要や、減らす必要はありません。

また専門家パネルは、食べている赤身肉の量がどのくらいであれ、それをその人が続けるかどうかについて、明確な意見を持っているわけではありません。

そう聞くと少し安心しますが、注意点があります。

この推奨が拠り所にしている科学的根拠は、これまでにさんざんメディアで赤身肉を食べるなと言ってきたさまざまな内容と、実はまったく同じなのです。疫学者のGid M-K氏はこう説明しています。

この大きな違いは、エビデンスそのものではなく、解釈に端を発しています。

この新しい研究が主張しているのは、今あるエビデンスは数が比較的限られているため、それに基づいて、どうすべきかを明言することはできないということです。

(中略)つまるところこの議論の要点は、赤身肉は体に悪いと言う場合、我々はどれだけの自信を持ってそう言えるのかということなのです。

一方で、赤身肉を避けるべきだという論陣を張る研究者や機関は、今回のメタ分析に用いられたのと同じエビデンスを引き続き使うことができます。

栄養学研究者のChristopher Gardner氏は、この新しい分析に対する批判をTwitterで展開しています

例えば、摂取肉量を低減させる場合の研究が抜け落ちている点を指摘しています。さまざまな研究に、複雑化や混乱を招く問題が付いて回るように、メタ分析にもそういう問題は起こるのです。

そもそも人は食習慣を変えられるのか?

この新しい分析の興味深い点のひとつは、メタ分析の対象となった研究に「人は、食生活を変えるように言われたら実際にそうするのか?」について調べたものが含まれている点です。

もし誰も耳を貸さないのであれば、どうすべきなのかを必死で説いても、その努力は報われないでしょう。

ですが、ここでもまた意見は分かれます。もし赤身肉を食べることに小さなリスクが伴うとしたら、私たちはそうした情報を知りたいでしょうか?

おそらく、万一に備えて別の食べ物に切り替えたいと思う人も、中にはいるでしょう。そういうことは可能です。

科学者たちは、赤身肉に関するすべての研究から導き出されるベストな結論について議論していますが、その一方で多くの専門家が、この研究のことを気にしすぎないようにと人々に呼びかけています。

すでにわかっている、健康的な食習慣や生活行動を重視するようにというのです。

では、何を食べればいいのか?

Gardner氏は、野菜や豆類、果物、繊維質をもっと食べることが健康の秘訣だと述べています

それらを食生活に組み込むために肉を除外する必要があるかどうかに関係なく、です。

肥満の専門家であるYoni Freedhoff氏は、健康的な生活行動に関する短いマスターリストを公開しています。いくつか例をあげると、「予防接種を受けること」や「自然食品を使って調理すること」などがそうです。

従うべきルールが必要な方は、すでにわかっている体にいいことを何でも試してみてください。手始めに、野菜を多く食べ、砂糖を控えましょう。

なお、今回の分析では、肉を避けることのエコロジー的な理由や倫理的な理由については考察されていません。

しかしこれらも、当然懸念すべきことがらです。

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Image: stockcreations/Shutterstock.com

Source: ACP, Medium, Twitter(1, 2, 3

Beth Skwarecki - Lifehacker US[原文

訳:ガリレオ

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