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今すぐ使える「音声メディア」活用術を、Screenless Media Lab.リサーチャー塚越健司さんに聞きました

今すぐ使える「音声メディア」活用術を、Screenless Media Lab.リサーチャー塚越健司さんに聞きました
Photo: Yutaro Yamaguchi

連載「音声メディアハック」では、音声メディアを理解し・活用する上で役立つ情報をご紹介しています。今回はその「活用法」について。

ライフハッカーでも対談企画で出演いただいた、情報社会学の研究者で「Screenless Media Lab.(スクリーンレス・メディア・ラボ)」のリサーチャーでもある塚越健司氏に、“今すぐ使える”音声メディアの活用術を教えてもらいました

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塚越健司

1984年生まれ。拓殖大学、学習院大学非常勤講師。Screenless Media Lab. リサーチフェロー。専門は情報社会学、社会哲学。単著に『ニュースで読み解くネット社会の歩き方』(出版芸術社)、『ハクティビズムとは何か』(ソフトバンク新書)。その他共著多数。他にメディア出演、記事寄稿等多数。

①仕事や勉強で集中したいとき、何を聴いたら良い?

仕事や勉強をするとき、音楽を聴く人も多いのではないでしょうか。しかし、何気なく聞いているその音楽が、仕事効率を下げてしまっているかもしれません。

「いろいろな研究結果はありますが…」と前置きしつつ、塚越さんが教えてくれました。

仕事や勉強の集中力を高める音楽について、BGMや歌詞付きの音楽と比較すると、一番良いのは「無音」という研究結果が出ています(※1)。「難しい作業のとき」は、雑念が入らないように、無音の方が良いとされているのです。

一方で、単純作業をするときは「クラシック」を聴くと良いと言われており、スポーツをする前など、感情が伴うものは「BGM」や「歌詞付きの音楽」を聴いた方が良いという研究結果もあります。

いずれにせよ、仕事や勉強するときに音楽を聴いていると、気分は上がるけど、集中力は若干下がっていると考えて良いでしょう(塚越さん)

基本的には「無音」が集中力を高めてくれるけれども、自分の好きな音楽を聴くことは「気分を上げてくれる」効果がある。その前提の上で考えると、

『好きな音楽を聞いて気分を高めてから、無音の状態で仕事・勉強をする』

がベストではないでしょうか、と塚越さんは教えてくれました。明日からでも実践することができますね。ぜひ試してみて、効果を教えてください。

※1:参考記事 Screenless Media Lab.無音の方が知的作業の学習効果が高いーー『無音』について考える / note

②「読み上げ」で、読解力が上がる

本でも資料でも、WEBサイトの記事においても、ビジネスパーソンにはさまざまな情報をキャッチし、知見を深めることが大切。そんなときでも、「音声」を活かすことができます。

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Photo: Yutaro Yamaguchi

本や記事を読む際、より深く理解したいときに有効なのが「読み上げ」です。なぜかというと、答えはシンプル。音で聞いた方が、読解力が上がるからです(※2)。

音を言葉に変換する際の脳内メモリーを節約できることから、音で聞くと理解に集中することができます。同様に人から話を聞いても、その場で適切に内容を理解することができるのです。我々は「音」で聞くと、直観的に多くのことを理解できるのです。

「音」で聴くことのメリット・細かい解説については、前回の対談企画やScreenless Media Lab.の記事をチェックしてみてください。

家でしかできないかもしれませんが、本を声に出して読むと理解度が高まります。

本を読む以外にも、「聴く」だけでも学習効果が高いので、ポッドキャストでニュースを聴いたり、本をオーディオブックで聴いたりしてみてください。目で読むよりも、感覚が異なり、ダイレクトに感じることができるのではないでしょうか。

ちなみに英語学習のときは、シャドーイングと同時に、英語字幕もつけるとすごく効果的です(塚越さん)

※2:参考記事 Screenless Media Lab.読解力向上には音声を聴くことが効果的だーーシャドーイングについて考える / note

③顧客の潜在意識を引き出す「サウンドプライミング」

サウンドプライミング(※3)」という言葉をご存知でしょうか。音を活用し、潜在的に持っている意識を引き出すというもので、我々が意識の中にあるものを「引っ張り上げる」というものがプライミングです。

塚越さんは、この「サウンドプライミング」の具体例について、ミテイラー千穂さんの著書『サウンドパワー―わたしたちは、いつのまにか「音」に誘導されている!?』(ディスカヴァー・トゥエンティワン/2019年)の中で書かれている事例を挙げてくれました。

ワインショップで「フランス風BGM」と「ドイツ風BGM」を日替わりで流してみたら…という実験があります。すると、フランス風BGMを流した時はフランスワインが、ドイツ風BGMを流したときにはドイツワインが売れる確率が高まったという研究結果が得られました。

また、クラシック音楽を流すと、店内にいる顧客の滞在時間が長くなり、かつ高級なワインを購入する傾向になったらしいのです。これはクラシック音楽が持つ「高級感」を潜在的にひっぱられたプライミングされたということですね。

花屋で行われた研究でも、ポップ・クラシック・ロマンチックサウンドを流し分けたところ、ロマンチックサウンドだと花の購買本数が増える、という研究結果が出ました。

このように多くの研究結果は本に詳しく書かれていますので、興味ある方はぜひご一読ください。

この「サウンドプライミング」をビジネスシーンで活用するには、例えば、顧客との会合時。会合の場所をセッティングする際、どういう音楽がかかっている場所で会うのか、を確認することで、(多少なりとも)顧客が受け取る印象を変えることができるかもしれませんよ。

※3:参考記事 Screenless Media Lab.何を買うかは音に影響されるーー「サウンド・プライミング」を考える / note

④「彼氏」の発音問題…?アクセントの平板化

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Photo: Yutaro Yamaguchi

無意識に使っていて気づかないけれども、生活のあらゆるシーンで使われている“発音の変化”があります。それが「アクセントの平板化(※4)」。

言葉を発音するときのアクセントの中でも、下がり目がないものを「平板式」といいますが、もともとアクセントがあった言葉が平板式に変化(平板化)することがあります。その理由としては、言葉を共有する相手との親密性に関わりがあると考えられます。どういうことでしょうか。

例えば「バイク」という言葉。通常は最初の「バ」にアクセントがつきますが、バイク愛好家の間では平板化して下がり目がなくなる(アクセントがなくなる)というもの。

他にもある女子大生へのインタビューでは、たいがいは「彼氏」と前半にアクセントを置いた発音をしますが、友達との会話では「カレシ(アクセントがない言い方)」と発音するなど、平板化することがわかりました

記事ではわかりづらいかもしれませんが、声に出して喋ってみてください。

平板化の原因はまだ完全には解明されていませんが、よく使う言葉だったり、仲間内でしか使わない言葉など、「距離が近くなる」と、平板化すると考えられます。商品開発のときに、ネーミングをする上で平板式で発音してみると、ユーザーは商品に親密さを感じやすくなるのではないでしょうか。

一度、「バイク」や「彼氏」、「令和」の発音で試してみてください。アクセントの下がり目がない言い方です。親しみがある言葉になります。

※4:参考記事 Screenless Media Lab.アクセントがなくなると心理的距離が近くなる?ーーアクセントの「平板化」を考える / note


今回、塚越さんにご紹介いただいものは、今すぐ使える音声メディアハック術のほんの一部。

興味がある方は、「Screenless Media Lab.」の記事をチェックして、音声メディアに関する知識を蓄えるとともに、日常生活に活かしてください!

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Source: Screenless Media Lab./note

Photo: Yutaro Yamaguchi

ライフハッカー編集部

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