
こんにちは。「5分会議」(R)で人と組織を育成する専門家の沖本るり子です。
変えられるものなら、この上司をなんとか変えたい。他の部署か、よその会社に行ってほしい!しかし、そんな希望はなかなか叶えられません。
上司は部下を選べても、部下が上司を選べる職場は、ほぼないに等しいのです。
異動がある職場なら、上司か自分が異動するまでの辛抱。しかし、異動のない職場だったら耐えしのぐしかありません。
そこで、少しでも上司との関係をスムーズにすべく、困った上司別によりよい関わり方をご紹介します。
1. やたら「忙しい」上司への伝え方

あれこれ仕事を一人で切り盛りし、やたら忙しい上司。承認をとろうとしても、なかなか会えず、声を掛ける時間もなく、困ったことすら相談できない状況です。
話しかけると、
「急ぎ? 急ぎじゃないならメールで」「何? 話がわからないから、まとめてメールで送っておいて」などと言われることも、しばしば。
こうなると、なかなか話しかけにくくなってしまいます。
たしかに、仕事はできるのかもしれませんが、仕事を部下に任せない態度が続くと、部下は自分が信頼されていないのではと感じ、コミュニケーションも少なく近寄りがたい存在になってしまいます。
上司があれこれしてくれるのは気楽ではありますが、このままでは同期や友人に比べて仕事ができず、成長もできないのではと焦りがでてしまうでしょう。
こんな、やたら「忙しい」上司の場合、救いがあるのは上司がひとりで仕事ができること。
ただ、教えてもらえない、話を聞いてもらえないと嘆いても相手は変わりません。自らが相手を動かすしかないのです。
相手の時間を奪わずに伝える
忙しい人は、時間を大事にしています。話をしたいときは30秒程度で簡潔に、必要な時間と上司に求めることが何かを最初に伝えます。
「本日15時までに3分お時間ください。設備品購入の決済をいただきたい件です」
これが、だらだらと要点を得ない話だと、まとめてメール or Slackで送ってくれと言う気持ちもわかります。
まずは、今すぐ話をしたいのなら“必要な時間”と“相手にして欲しい件名”を伝えること。
それができれば、自分自身も時間意識や、要点が絞られる人に成長できるはずです。
ひとりでやりきる上司も、次第に、仕事を任せることができる部下だと認識しはじめ、信頼を得られるようになります。
やたら忙しい上司と、関係性をよくするためには時間を意識して関わることが最も重要です。
やたら「忙しい」上司は、部下にどう伝えるべき?
もし、あなたがやたら「忙しい」上司であれば、部下に、
「話を聞くのに何分かかる?」「いつまでに? 何が必要?どうすればいい?」
と、やさしくめんどくさがらずに1つずつ毎回確認して、部下が時間を意識し、要点を話せるように育てましょう。仕事ができる上司は、そうやって部下を育てているはずですよ。
2. 高圧的な上司への伝え方

「それぐらい、わかるだろう!」「〇〇すべきだろう!」
頭ごなしに一方的に攻めてくる上司。
自分の考えが正しく、考えが違う人を“悪い”考えと決めつけ、部下の話に耳を傾けません。部下が話し始めても、さえぎって割り込み否定的になり話をさせません。そして、自分の考えを人に押し付けます。
それに萎縮した部下の態度が余計に、高圧的な上司をイライラさせてしまい悪循環に。~すべきは、口癖のよう。
たとえ、自分の考えが間違いだと気がついても間違いを認めることをしません。権力で相手を押さえつけてしまうのです。
仕事ができる人ではなく、単なる権力でものを言う人。たしかに仕事ができたから今のポジションを築いたのかもしれませんし、高圧的に人を押しのけ、のしあがった可能性もあります。自分よりできる人がいることは、許されないので、高圧的な態度で自分が上の立場にいることを保守し、みせつけてきます。
つまり、こんな上司には、上に立つ地位が何より重要なのです。
相手を立てて伝える
そんなタイプの上司に、一番効果的なのは、自慢話をさせて、優越感を与えること。
よく、褒めようとする人がいますが、そもそも、褒める行為は上から目線ですから「おまえは何様だ!」と逆効果になりやすいので注意しましょう。
ポイントは、教えを請うこと。
「どうやって、部長はトップ営業の表彰をされることができたんですか?コツを教えてください!僕も部長のようになりたいので…」
そんな風に過去の栄光を聞いてみると良いでしょう。
過去の栄光を自ら自慢するのではなく、聞かれたから教えてあげているという優越感がでてくるのです。
教えを請うのは、相手を立てる、相手を尊敬することになります。つまり、褒めるという上から目線の逆で、下から目線になるのです。
「それくらい、わかるだろう」
「部長のように仕事ができる人間にはまだほど遠いので、わかりません。ぜひ、その方法を教えてください!」
できないので、できる上司に教えてほしいという姿勢でのぞみます。
こうやって高圧的な上司を、優越感にひたらせて気分をよくさせると、態度は軟化。自分が優位な位置にいることがわかり安心します。
気分良く上司からいろいろ教えてもらえるので、いつの間にか仕事ができるようになっているでしょう。
決して、上から目線にならないで、下から目線で上司と関わってみましょう。
3. 丸投げする上司への伝え方

「これやっといて!全部任せるから」「信じているから、頼むね」と急に、仕事を丸投げしてくる上司。
そんな態度に、本当に信じていたら「信じているから」とわざわざ言わないだろうと心の中でつぶやいてしまうかも。
「全部任せるかわりに、自分が責任とる」と言ってくれたら、本当に信じているだろうなと挑戦する気もでてくるもの。そんな言葉もなく、何のためにどうすればいいのかも言わずに、全部任されても困ってしまいます。
目的と目標、期限を必ず確認する
そこで、丸投げされたら上司にまず確認をします。
「信頼して任せてくれて、ありがとうございます!この仕事の目的と目標、期限を教えてください」
目的とは『何のために』。目標とは『終わったときどうなっているか』。
その期限までに、どうなっていればいいのかがわかっていないと、こういう丸投げをする上司とは「あれ、まだ?え~、まだできていないの?」「え?今日までだったんですか?」と不毛なやりとりをすることになるのです。
丸投げする人は、たいがい適当で、自ら必要情報を出してきません。
ただ「なんのためですか?」と直接目的を確認する言い方は、(自分で考えてなどと)相手を怒らせることもあるので「目的と目標を確認させてください」と伝えるのが最適。
さらに、仕事の進め方も確認し、途中報告も欠かさないようにしてリスクを回避しましょう。丸投げ上司に限って、責任もとらないだけでなく、仕上がった後で、こうじゃないと文句を言ってくる場合があるからです。
丸投げ上司にならないように気をつけること
あなたが上司になったとき、部下を信頼して任せるのはとてもよいこと。ただ、任せ方を一歩間違えると無責任な丸投げ上司になるので注意が必要です。
任せるときには、必ず「目的、目標、期限は忘れずに」。さらに「責任は自分がとるから」の一言と事前相談や途中報告をするように伝えることも忘れずに!
部下に仕事をまかせたら、遠くから見守っていきましょう。
4. 意見がコロコロ変わる上司への伝え方

「え? 昨日は毎日の朝礼は止めようと言っていたんじゃ…」
「部長って、意見がコロコロ変わるよね」
実行する前にコロコロと指示を変えられる部下の身になってほしいものです。
こういう上司も、丸投げ上司と同様に肝心な目的・目標を明確にしていない場合がほとんど。
取り掛かる前なら被害は、ありませんが、作業途中で、コロコロあれこれ変えられ、仕事を無駄に増やされたら、たまったもんじゃありません。
こんな上司には、自分のためになる対応をしましょう。
目的と目標を念押しで確認する
コロコロと意見を変える上司にも、目標を明確に気づかせる必要があります。
最初に、目的と目標さえしっかりさせておけば、上司が意見を変えた時に、
「確認させてください!目的は〇〇〇。目標は〇〇でしたよね?これ変えて大丈夫ですか?」
ここでできる上司なら、本当に変えていいのか吟味したうえで、そう簡単には意見は変えません。
「あぁ、そうだ」と言われれば、「その理由を教えてください」
それでも、納得できなければ「目的と目標の変更はなしで、変更でよいのですか?」と、念押し。
変更ごとにいちいち面倒でも目的と目標を認識させる質問をすることが重要です。
この目的・目標が明確に握れていれば、納得できる理由がなく、実践もせずコロコロと指示や意見を変えられなくなるはずです。
手間だなと感じても、できない上司は、部下がしっかりさせるしかないのです。部下のうちから、手段を覚えてできない(上司)を育てる練習をしておきましょう。
ちなみに、あなたが上司の立場になり、部下がコロコロ意見を変えるようであれば、あなたの育て方が悪いだけ!
「年功序列でなった上司、コネ上司、マネジメントに向いてない」などと言われないためにも、相手を見て、指示し、しっかり指導してくださいね。
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沖本るり子(おきもと るりこ)

株式会社CHEERFUL 代表。1分トークコンサルタント。「5分会議」®で、人と組織を育てる専門家。江崎グリコなどを経て、聞き手が「内容をつかみやすい」「行動に移しやすい」伝え方を研究。現在、企業向けコンサルタントや研修講師を務めている。明治大学履修証明プログラムでも登壇中。著書に『相手が期待以上に動いてくれる!リーダーのコミュニケーションの教科書』(同文舘)、『生産性アップ!短時間で成果が上がる「ミーティング」と「会議」』(明日香出版社)、『期待以上に人を動かす伝え方』(かんき出版)などがある。
Image: Shutterstock.com
沖本るり子
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