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HOW I WORK

創立100年を迎えた、米国最古のシンクタンクのトップを務めるマーク・ザッカーマンさんの仕事術

創立100年を迎えた、米国最古のシンクタンクのトップを務めるマーク・ザッカーマンさんの仕事術
Photo: courtesy of The Century Foundation

敏腕クリエイターやビジネスパーソンに学ぶ仕事術「HOW I WORK」シリーズ。

今回は、今年創立100周年を迎える進歩的なシンクタンクThe Century Foundationのトップを務める、マーク・ザッカーマン(Mark Zuckerman)さんの仕事術です。

The Century Foundation(TCF)は、今年創立100周年を迎えます。

この進歩的なシンクタンクは、SEC(証券取引委員会)の誕生を支援し、社会保障、都市化、公正な選挙、労働者の権利の強化、テロリズムとの戦い、市民の自由の維持について助言し、アメリカの歴史を形成してきました。

このTCFのトップを務めるマーク・ザッカーマンさんに、 21世紀の財団運営や最近TCFが新設した Next100という「スタートアップ・シンクタンク」に若手の政策リーダーを採用する方法について話を聞きました。

氏名:マーク・ザッカーマン

居住地:ニューヨーク市

現在の職業: Century Foundationのトップ

現在のPC:Lenovo(職場)、AppleのノートPC(自宅)

現在の携帯端末:iPhone

仕事の仕方を一言で言うと:協同

キャリアと現在の仕事内容について

── まず、略歴と現在の仕事に至るまでの経緯を教えていただけますか?

私は1970年代後半に、アイダホ州バーリーでVISTAのボランティアとしてキャリアを始め、ヒスパニック系が多い地域でコミュニティのまとめ役として働きました。

当時、バーリーのヒスパニック系コミュニティは、

  • 質の高いヘルスケアにアクセスできるようにすること
  • 優れた教育を受けられるようにすること
  • 食卓に食事を並べられるようにすること
  • 収入の良い仕事に就くためにスキルを習得すること

など、大きな課題を抱えていました。

加えて、多くの人が、より大きな(白人優勢の)バーレーのコミュニティから疎外されていると感じていて、民族性に起因する敵対的態度や差別にたびたび直面していました。

まとめ役としての私の役割は、ヒスパニック系の家庭がこうした障壁を乗り越え、彼らの権限とコミュニティでの発言力を強化し、彼らの利益を守ることを支援することでした。

その経験を通して、連邦政府が持つ強大な力によって、アメリカ人が生きていくのに必須の保護、時には命を救う保護を確保できるということを目の当たりにしました。

私が一緒に仕事をした多くの家庭は、連邦政府が提供する住宅(「セクション8」という住宅サポートプログラムにより)、医療(低所得者のための国民医療保障制度であるメディケイド法とヒルバートン法により)、食料の支援に依存していました。

この経験により、強固な社会的セーフティネットを持つことの重要性を実感しました。

私の人生を社会の中で最も弱い人々を助けることに捧げ、頑張っていても、なかなか前進できずに苦労している人々のためのバックネットを常に確保したいと思いました。

バーリーで働いた後、私はロースクールに行き、効果的な提言ができるようになるための技術的なスキルを習得しました。

そして、社会政策のキャリアを歩み始めて今でほぼ40年になります。州議会、連邦議会で働き、直近はオバマ政権で国民政策審議会の副議長を務めました。現在は今年創立100周年を迎える国内最古の社会政策専門のシンクタンクの1つのトップを務めています。

── 現在の仕事の主な役割を教えてください

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Image: courtesy of the Century Foundation

トップとしての私の主な役割は、「不平等に取り組み、機会を国中に拡大する」というCentury Foundationのミッションを遂行することです。

ですから、私の仕事の多くは、それに直接フォーカスしています。同僚と協力して、変革を実現し、人々の生活を目に見える形で改善する政策を推し進めています。

具体的には、教育の機会の拡大(託児所から高等教育まで)、労働運動の強化、仕事に従事する家庭の支援、質が高いヘルスケアを手ごろな金額で誰でも享受できるようにすること、中東の平和と安全の促進です。

──最近の1日の流れを教えてください

毎日したいことの1つは、我が社の政策アソシエイトたちと会うことです。

ほとんどが若い人たちで、驚くほどエネルギッシュで献身的で聡明なんです。TCFのアソシエイトは、TCFが仕事をする上でも世の中に影響を与える上でも欠かせない人たちです。

彼らは、研究プロジェクトでただ研究員の手伝いをしているだけではありません。自分でレポートを書いて独自の分析を公表し、政府機関で証言し、選ばれた役人に助言し、連邦議会で提言します。

物事を成し遂げる方法や改革の方法に関して、斬新でユニークな視点をもたらしてくれる存在なのです。彼らと出会い、彼らから学び、共に戦略を練ることが、この仕事の一番おもしろいところです。

私はTCFの多くの公開プログラムやイベントに参加している日が多いです。

場所はニューヨーク市だったりワシントンDC(TCFの第2のオフィスがあります)だったり、ツアーだったりします(たとえば、最近、製造業のコミュニティの活性化に特化して、工業の中心地を巡りました)。

TCFの公開イベントを非常に誇りに思っています。なぜなら、学問と実践のギャップをじょうずに埋めて、多様な考え方の人たちを引き合わせて真剣に参加してもらうようにしているからです(すべてのシンクタンクのイベントが必ずしもこうとは限りません!)。

たとえば、ニューヨーク大学のロバートF.ワグナー公共サービス大学院と組んで、「Debates of the Century」をシリーズで定期的に開催していますが、これは、一流の専門家をそろえて、現代の最も重要な国の政策の問題について、思慮と情報と敬意に富んだやり方で議論してもらう場になっています。

Edward Snowden氏やFareed Zakaria氏といった人たちを主賓として招き、人種分離教育から混雑課金制度に至るまで幅広いトピックについて討論してもらっています。このシリーズはニューヨークで人気が出てきています。

最後になりますが、普段の私は毎日一定の時間をTCF以外の人との面談に費やしています。

具体的には、政策立案者、別の研究機関やシンクタンクの人たち、アドボカシーグループ、コミュニティのリーダー、資金提供者などに会います。

研究と政策立案はどちらもチームで取り組むべきだと思うので、かなりの時間をさまざまな人たちと協働することに費やしています。

国立のシンクタンクを率いることに関する課題の1つは、政策、政治、研究の世界で起こっているあらゆることについて常に最新情報を把握していることです。

ですから、私は、毎日時間を割いて、同業他社が最近発表した新しい研究論文を読んだり、新聞を読んだりして情報に追いつくように努めています。

仕事で使えるライフハックについて

── 「これがないと生きられない」というアプリ・ソフト・ツールは?

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Image: courtesy of the Century Foundation

うちの子どもたちはまだ若いので、個人間送金アプリのVenmoを使って送金する必要があり、実際に使っています。あとは、コーヒーメーカーですね。

── 仕事場はどんな感じですか?

TCFの本部はマンハッタン南部にあります。オフィスで最も気に入っていることの1つは、デスクからはっきり見えるエリス島の眺めです。

エリス島は、19世紀後半に私の曽祖父母が家族で入植して新生活を始めたところです。あとはかなり標準的なセットアップです。

デュアルモニターのワークステーションがあり、たびたびスタンディングデスクにして使っています。

それからいつもMSNBCが小さい音量でBGM代わりに流れているテレビ。円形の会議用テーブルが隅にあり、家族、友人、昔の仕事仲間(オバマ大統領やGeorge Miller元下院議員もいます)の写真がかかっています。

そして、いかにもシンクタンクらしく、たくさんの本が壁一面を覆い、中には変わった本もあります。

── お気に入りの時間節約術やライフハックは何ですか?

お気に入りの時短術は、ニューヨークのCiti Bikeを使うことです。

これは、どう見ても国内最高の公共の自転車共有プログラムと言えます。私はちょっとひいき目になっているかもしれません。

というのは、妻のPolly Trottenberがニューヨーク市の運輸委員を務めていて、Citi Bikeを普及させ、市内でより簡単で安全に自転車に乗れるように尽力したからです。

というわけで、私たちは夫婦そろってCiti Bikeの大ファンで、よく市内を乗り回しています。

──仕事場で採用しているプロセスで、興味深いもの、珍しいもの、こだわりがあるものがあれば教えてください

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Image: courtesy of the Century Foundation

TCFのトップになって以来、毎年妻のPollyと一緒に年に1度のTCFホリデー・パーティーを開き、全米からすべてのTCFのメンバーをブルックリンの我が家に招待しています。

毎回楽しい夜になります。美味しい食べ物と飲み物がふんだんにあり、ホワイトエレファントゲーム(他人のプレゼントを盗むことができるシークレットサンタ)がどんどん白熱し、私は前年にTCFで起こったできごとを10個ジョークにして盛り込んだスピーチをします(スピーチがどの程度成功するかはそのときどきです)。

カラオケを1ラウンドか2ラウンドすることもあります(ときには近所のバーで3ラウンド目か4ラウンド目をして、ホストはヘトヘトになります)。

TCFは規模がどんどん大きくなっているので、この先何年我が家でパーティーを開けるかわかりません。喜んでいいのか悲しんでいいのかわかりませんね。

オフタイムの過ごし方について

──どのように充電したり休憩していますか?

妻のPollyも私も国立公園をハイキングするのが大好きです。

グレートスモーキーマウンテンで5日間ハイキングして戻ったばかりです。とてもきれいでした。

──仕事の合間に何をするのが好きですか?

今年はTCF創立100周年を祝うために、規模を拡大することにして、Next100という独立した「期間限定」のシンクタンクを新規に立ち上げました。

Next100を支えるビジョンは、新世代の政策リーダーを強化するものであり、普段政策の決定プロセスから締め出されている人たちに政策改革の主導権を与えることです。

これは非常にユニークな実験であり、私の知る限り、どこにも先例はありません。8人の新進気鋭のリーダーに大がかりな投資をしていて、今後2年間、ニューヨーク市内で福利厚生付きのフルタイムポジションを与えています。

彼らは自分にとって最重要の問題に取り組み、自分の研究アジェンダを自主的にこなし、2020年の選挙までに政策の変革を試みます。

──今、何を読んでいますか? おすすめの本はありますか?

TCFには四半期ごとにスタッフの読書会があり、今週Tara Westover著『Educated』を読み終えました。

これは、力強い回顧録であり教育を変革する力の証でもありました。

個人的には、David McCullough著『Pioneers』を最近読みました。アメリカ北西部に移植する話しです。どちらの本も強くお勧めします。

── どんな音楽を聴いていますか?

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Image: courtesy of the Century Foundation

クラシックロックが好きです。

Joan Baez、Jackson Browne、The Boss、Cranberries、Eagles、Dylan、Zeppelinに代表されるタイプのアーティストが好みです。

今後の取り組みについて

──今日あなたがされたのと同じ質問をしてみたい相手はいますか?

妻のPollyです。彼女は私に、どうすれば優れたリーダーと戦略家になれるかずいぶん教えてくれました。

──これまでにもらったアドバイスの中でベストなものを教えてください

人には敬意をもって接しなさい。

なぜなら、それは正しい行いであり、思いつく限りのあらゆる形で報われるからです。

──挑戦中の課題はありますか?

日々の重要度の低いことから脱却して、もっと大局に焦点を合わせ、3カ月先、6カ月先、12カ月先に目を向けたプランニングができるように努力しています。

私は政治中毒なので、24時間放送のケーブルニュースにどっぷりはまらないようにするのは大変なときもありますが。

しかし、シンクタンクで仕事をしていて良いことの1つは、日々の政治的争いを超越できることです。

これはシンクタンクの役目の1つでもあると思います。そういうことから距離を置いて、2年先、5年先、10年先まで視野に入れて将来の政策変更の土台を築くことに集中できます。

これは、1日中目の前の火を消すことに忙しい人たちにはできないことです。

もちろん、このような先進的で未来志向のプランニングは、言うは易く行うは難しですが、私たちの仕事が成功するためには非常に重要なので、大事にしています。

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Image: The Century Foundation

Source: The Century Foundation

Nick Douglas – Lifehacker US[原文

訳:春野ユリ

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