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プレゼンや会話を遮る「えー」とか「あー」のメカニズムを知ろう

プレゼンや会話を遮る「えー」とか「あー」のメカニズムを知ろう
Photo: 印南敦史

人前に立って話をしようとするとき、開口一番、<えー><あー>が出てしまうという方は少なくないはず。

しかし、いくら話の内容がよかったとしても、余計な<えー><あー>が頻繁に入ってきたとしたら、周囲からは話すのが下手だと思われてしまう可能性があります。

でも、そんな現状を改善のチャンスととらえ、<えー><あー>が出ない話し方を手に入れるべきだと主張しているのは、『スピーチや会話の「えーっと」がなくなる本』(高津和彦 著、フォレスト出版)の著者。

それだけで、話し方は格段にレベルアップするというのです。

本書では、スピーチや会話から<えー><あー><えーっと>などをなくすために、スピーチトレーナーである私が次の要素について解説していきます。

・<えー><あー><えーっと>が出るメカニズムとは何か?

・<えー><あー><えーっと>とはそもそも何なのか?

・<えー><あー><えーっと>が出るメカニズムを正すにはどうしたらいいのか?

・<えー><あー><えーっと>が出ないスピーチ原稿とはどのようなものか?

・<えー><あー><えーっと>を解消するためにはどんなトレーニングをすればいいのか?

(「まえがき『えーあー人間』から脱出しよう」より)

話し方講座を通じ、これまで多くの「えーあー人間」を見てきたという著者は、本書を読んでトレーニングを重ねれば、かならず短期間で<えー><あー>をなくすことができると断言しています。

ちなみに本書では<えー><あー>のことを、学術論文などでも使用されている「フィラー(filler)」と表記しています。

本書の核であるともいえるフィラーについて解説したプロローグ「フィラーを生み出す3要素」を確認してみることにしましょう。

フィラーは3つの要素が原因で生まれる

「緊張しているから」「考えがまとまっていないから」「自信がないから」「癖になっているから」「口下手だから」などなど、フィラーが出る原因はさまざま。

それらをひとつずつ、しらみつぶしにしていけば、フィラーは出なくなるかもしれません。とはいえ、それには膨大な時間がかかってしまうだけに、あまり現実的ではないのも事実。

緊張を解いたからといっても、考えがまとまっていなければフィラーは出てしまいますし、考えがまとまっていても緊張していたら、やはりフィラーが出ることになるでしょう。

「こっちを叩けば、あっちが出てくる」という、もぐら叩きのような原因に対処しなければならなくなるわけです。

そこで注目すべきは、「もぐら」が出てくるメカニズム。それさえ知ることができれば、フィラーの原因も予想でき、未然に防ぐことも可能になるという発想です。

著者は、フィラーとは「心(感情・性格)」「思考」「声」を動力源としたメカニズムだと考えているのだそうです。

この3つが同期し、安定して働いていればフィラーは出ないものの、このうちの1つにでも不具合が発生すれば、メカニズムに不均衡が生まれ、フィラーを発生させてしまうということです。(22ページより)

「心(感情・性格)」「思考」「声」とはなにか?

著者によれば、メカニズムを構成する「(感情・性格)」「思考」「」の定義は次のとおり。

心(感情・性格):喜怒哀楽、驚き、不安、プレッシャー、羞恥心、あがる、自己肯定感、引っ込み思案、目立ちたがり屋などさまざまな感情や性格が支配する要素。

思考:自分の意見をまとめたり、話す内容や順番を整理する。また、言うべきこと・言うべきではないことを判断する要素

声:発生、声量、歯切れの良さ、滑舌をコントロールする要素

(23~24ページより)

特に重要なのは、「心(感情・性格)」と「思考」の違いを明確に理解すること。

その違いを理解しておかないと、「心(感情・性格)」領域で感じたことが「思考」領域を素通りし、直接「声」に出ることが癖になってしまう可能性があるというのです。

そして、「思わず口にしてしまった」と、あとで後悔することになるということ。(23ページより)

フィラーが絶対に出る、あるいは出ない状態

では、フィラーを出さないためには、それら3つの要素がどのように同期すればいいのでしょうか?

著者によれば、フィラーが出ない典型的な状態は次のようなものだそうです。

心(感情・性格):平常心を保っている。自信がある。自己肯定感が高い。

思考:話す内容が決まっている。よそ行きやお仕着せの言葉ではなく、自分の言葉で話せる。

声:短く簡潔で歯切れが良い。大きな声が出せる。滑舌がいい。

(26ページより)

それぞれがこのような状態になっていると、フィラーが出ることはほとんどないわけです。

もちろん完璧は難しいかもしれませんが、フィラーを出さない話し方を手に入れるためには、この状態を目指すべきだということ。

一方、間違いなくフィラーが出るのは次のような状態。

心(感情・性格):緊張している。自信がない。カッコつけようとしてしまう。

思考:話す内容が決まっていない。長い原稿を暗記している。

声:声が小さい。滑舌が悪い。1センテンスが長い。

(26ページより)

「心(感情・性格)」「思考」「声」のうち、たったひとつの状態が悪いだけでフィラーが出る可能性は高まるもの。

ましては3つがこうした状態であるなら、確実にフィラーは出てしまうということ。

ただし、どれかひとつが不安定でも、残りのふたつがそれを十分に補うことができるなら、フィラーを防ぐことは可能

たとえば、緊張していたとしても話す内容がきちっと決まっていて、元気よく大きな声で話せるなら、フィラーは出にくく、出たとしても聞き手はあまり気にならないそうです。(26ページより)


こうしたフィラーに関する基本的な考え方を軸として、以後の章ではフィラーとの向き合い方や、「フィラーなしスピーチ」ができるようになるための実践トレーニングなどについて解説されます。

それらの実践的なアプローチを活用し、<えー><あー>とは無縁のスピーチ・スキルをものにしてみてはいかがでしょうか?

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印南敦史

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