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出身地ではなく生活拠点が重要。「マルチローカル」という相互理解の考え方

出身地ではなく生活拠点が重要。「マルチローカル」という相互理解の考え方
Image: Sam Wordley/Shutterstock

わたしが東京に帰るたびに感じることの1つに在住外国人の増加があります。

皆さんも、街で会ったり、職場や子どもの学校で日本で暮らす外国人との交流があるかもしれませんね。

東京で働く外国人の生の声

Asian Boss」というYouTubeのチャンネルに、東京で働く外国人にインタビューした動画がありました。

(Asian Bossは)最新ニュース、社会問題や文化面のトレンドについて、アジアより生の声や意見をお届けします。

スタートアップのメディアとしてのわたしたちの使命は、現在の主流メディアを分権化し、誰でもレポーターとしてコメントやニュースをお届けできることを証明することです。

Asian Boss」より翻訳引用

技能実習生の規則で日本に来てから3年は国へ帰れない。外国人だからという理由で敷金を2倍払わされた。

自分の国でも差別はあるというアジア系オーストラリア男性。「寂しいけどがんばります」と言うインドネシアの若者。

理解してほしい、偏見を持たないでほしい。お互いが理解し合えば状況は良くなるという意見で動画は終わっています。

在日外国人が求めることは?

Asian Bossは、2018年7月に「What’s It Like Being A Foreigner In Japan」という動画も発表しています。

これは、2017年に発表された法務省の外国人住民調査報告を受けて、その1年後に何か変化はあったかと在日外国人にインタビューしたもの。

インタビューされた人たちの声を聞くとほとんど変化はなかったようです。

この調査報告の中で、「外国人に対する差別や偏見をなくすために、国や地方公共団体が行う取組」について複数回答可で聞いたところ、上位の回答は次の3つでした。

1:外国人の文化や生活習慣の違いを認めて、お互いを尊重することを積極的に啓発する(60.9%)

2:地域社会の活動に外国人の参加を促すなど外国人と日本人との交流の機会を増やす(53.0%)

3:日本人に、外国人の法的地位や権利、生活状況等について、正確な知識を伝える(45.4%)

(『平成28年度 法務省委託調査研究事業 外国人住民調査報告改訂版』52ページより引用)

外国出身者だって「住民」だ

わたしは、外国人としてアメリカに住んでいます。

明らかな人種差別は問題になる国なのであからさまに差別されたことはありませんが、アジア人女性としてステレオタイプで決めつけられたなと思う経験はあります。

ただ、単なる一時滞在者、その地域の住民ではないよそ者として扱われたことはありません

アメリカではいろいろな人がいるのが当たり前なので、そこで生活していれば違いはあれど「住民」だという無意識の了解があるようです。

誰もが「マルチローカル」な人

様々な国の出身者が地図を指すところ
Image: LightField Studios/Shutterstock

インタビューの中で何人かが述べていたこと。「日本は単一民族の国。だから、言葉や習慣が違う外国人を恐れる気持ちもあるのでは」という意見もありました。

その視点を変えるキーワードが、「マルチローカル」。これは、作家・写真家のタイエ・セラシさんのTEDトークで知った視点です。

その前から「東京テキサス人」と自称していたわたしにはこの考えがすごくしっくりきたのです。

東京で生活する外国人も「マルチローカル」です。

たとえば、生まれはアメリカだけど父はフランス系カナダ人、母はブラジル人で、イギリスとフランスで子ども時代を過ごし、今は東京在住で日本企業に勤務中。

英語とフランス語と日本語が話せる。この人はいったい何人なのでしょうか?

日本人だって、生まれは北海道で九州と東北に在住歴あり、大学は関西、就職は東京。年の半分近くは仕事で海外に滞在。そんなマルチな生活や経歴の人は大勢いるはず。

むしろ生まれたところでずっと生活して学校に通い、結婚したり就職したりする人のほうが少ないのではないでしょうか。

つまり、出身地や現在の居住地にかかわらず誰もがマルチローカルであり、それまで住んだ土地の文化や習慣を背負っています

そして今は「日本に住んでいる」という共通項があります。違いに目を向け、それを排他の理由にするのではなく、違いを認めつつ共通点を見出して、そこから相互理解につながることはないのでしょうか。


マルコム・グラッドウェル氏は、「他人とは一面しか知らない人」と定義していました。

外国人に会った時に「外国人」という一面で捉えてしまうのは仕方がないでしょう。

でも、「外国人」というフィルターを通して見ている自分に気づいて、「同じ地域の一員」として理解や対応を一歩進めることができるのかどうかが、お互いを理解し、尊重して同じ地域で暮らしていくのに必要な過程なのだと、アメリカ在住日本人としては思うのです。

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Image: Sam Wordley, LightField Studios / Shutterstock

Source:Asian Boss / YouTube, 法務省, Mashing Up

ぬえよしこ

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