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世界で広がる「代替肉」は、現代にマッチしたソリューションとなるか【追記・修正あり】

世界で広がる「代替肉」は、現代にマッチしたソリューションとなるか【追記・修正あり】
Image: Lisovskaya Natalia/Shutterstock

地球環境に優しく、健康に良くて、しかもおいしい。

これは、ここ最近アメリカを中心に話題となっている “代替肉”の特徴を並べたもの。

代替肉といっても、大豆など植物由来のものをベースにしたものから、ラボベース、つまり牛や豚、鶏などの家畜から細胞の一部を取り出し、バイオテクノロジーを駆使して肉の味や食感を人工的に再現した培養肉なるものまでさまざまです。

日本ではまだあまり馴染みがないかもしれませんが、アメリカでは最近代替肉を製造している大手企業が上場を果たしたりと大きな話題となっており、日本に上陸する日もそう遠くないかもしれません。

代替肉とはいったいどのようなものなのでしょうか?今回は気になるメリットやデメリット、味や安全性についてお届けします。

牛肉を食べると地球温暖化が進む?

まずなんといっても、代替肉の最大のメリットは地球に優しいという点が挙げられるでしょう。

牛肉を例にとってみると、アメリカでは年間260億ポンド(約1180万トン)もの牛肉が消費されていますが、実はこれだけの牛を食用にする過程では、計り知れないほど地球に大きなダメージを与えているのです。

まず、牛を育てる牧場を確保するためには多くの森林を伐採しなければなりません。

それに牛は1頭あたり1年に1万1000ガロン(約4万1700リットル)もの水を消費するため、地球上の多くの天然資源が家畜産業によって消費されていると言えるでしょう。

また牛のおならやげっぷは、CO2の28倍もの温室効果のあるメタンガスを大量に排出しており、現在地球から排出されている温室効果ガス全体の15%はこの家畜産業が原因だとされています。

国連食糧農業機関(FAO)は、動物を育てて食料にすることは地球温暖化や大気・水質汚染など、世界的な環境問題の原因になっていると指摘しています。

代替肉はエコフレンドリーな選択肢

木と水を掲げる手
Image: Chinnapong/Shutterstock

オックスフォード大学では、今世紀中の間に地球の気温上昇を2℃以内に収めようとするためには、牛肉はこれまでの消費量の75%減、そして豚肉はこれまでの消費量の90%減に留めなければならない、と警笛を鳴らしています。

代替肉の製造方法は、もちろん製造メーカーや研究所によって異なります。

最近上場を果たした代替肉製造メーカー大手のビヨンド・ミートによると、同社の製造過程における水の利用は食肉の生産よりも99%も少なく、温室効果ガスの排出は90%少ないとのこと。

代替肉は地球に優しいエコフレンドリーな選択と言えるでしょう。

また、ビヨンドミートCEOのEthan氏はTIME誌のインタビューで、地球環境という観点以外の代替肉のメリットについて、次のように述べています。

代替肉という選択肢ができたことで、赤身の肉や加工肉を食べることで発症の可能性が高まると言われている心臓病、糖尿病やがんのリスクを抑えることができるかもしれません。

また、動物たちも私たち人間と同じように感覚や意識のある生き物です。

代替肉が広まることで、そのような罪のない動物たちを屠殺しなくても済みます

代替肉の気になるその味は?

肉といっても気になるのはその味ですよね。

私も一時期ベジタリアンの友人から大豆でできたソイミートを分けてもらったものの、どうしても肉本来の味や風味が感じられず、断念してしまいました。

しかしアメリカの大手代替肉メーカーインポッシブルフーズは長年の試行錯誤の結果、肉の持つ風味などを忠実に再現するには、ヘムという物質が必要不可欠だということを突き止めました。

ヘムは血色素から得る赤い色素で、血中に酸素を運ぶ働きをしている錯体です。

同社はこのヘムを大豆の根の部分から抽出、培養の結果、大豆レグヘモグロビンを誕生させることに成功。

野菜から製造した肉にこの大豆レグヘモグロビンをプラスすることで肉そのものの味に近づけることができたと発表しています。

肉にもう冷蔵庫は必要ない

また肉の概念を覆すようなアイデアですが、今後冷蔵しなくてもいいような肉の開発にも着手しているとのこと。

これは電力が安定的に供給されていない発展途上国などにとっては、莫大な恩恵となることは間違いないでしょう。

同社の共同創業者であるNiko氏は、今後お年寄りでも食べられるようなやわらかいお肉を開発することも可能で、それ以外でもどのような要望も叶えられるような商品を開発することができると意気込んでいます。

代替肉のデメリットや安全性は?

家畜の点検を行なう女性
Image: Pressmaster/Shutterstock

地球環境という観点からみると代替肉はよりよい選択肢だと言えるかもしれませんが、メリットばかりではありません。

まずデメリットとして挙げられるのは、代替肉によってこれまで食肉業界に携わってきた人々の仕事が失われるということ。

世界中で家畜産業に携わる人は億単位と言われており、食肉以外の用途でも家畜を飼育している人は大勢います。

また、代替肉にはその安全性に対する懸念の声も上がっていますが、インポッシブルフーズがつい最近米国FDA認証を受けたと報道がありました(※)。

つまり、人が口にしても安全な食品である、と国からお墨付きを得たことになり、今後アメリカではますます人口肉が消費者にとって身近な選択肢となっていくでしょう。

※FDA:Food and Drug Administrationの略。 アメリカ食品医薬品局。日本の厚生労働局にあたる公的機関。

代替肉の将来は一体どうなる?

バーンスタインのアナリスト、アレクシア・ハワード氏は「代替肉のマーケットは、人工乳と同じような成長市場となるであろう」と予見しています。

アーモンドミルクや豆乳は市場に参入してしばらくはベジタリアン向けの小さな盛り上がりでした。

ところが、現在はかなり広く認知されてきており、当初はわずか5%ほどのマーケットシェアだったのが、2018年は15%まで成長しています。

代替肉は現在、食肉のマーケットで5%ほどのシェア。

このまま成長が続けば、10年で4兆円のマーケットになる可能性があるでしょう。

代替肉市場はこれまでにない新たな産業であることから、今後どのような動きを見せるのか、私たち消費者もしっかりと目を光らせて判断していく必要があるでしょう。

冒頭で述べたように、代替肉は製造工場や輸送も必要としないことから地球温暖化阻止に繋がるとも言われています。

いっぽう、カリフォルニア大学動物遺伝学者のAlison氏によれば、この問題は一部分だけに焦点をあててその効果を見るのではなく、一連のサイクル全体を見て判断しなければならないとも述べています。

実は代替肉の製造全体でみると、牛を飼育して食用にするよりもより多くの資源を使用しているという調査も存在しているのです。

また、ある環境団体はFDAの認証基準は時代にマッチしていないのではないかと疑問を呈し、代替肉への認証に批判を寄せているそう。

いずれにせよ、今後もより一層盛り上がりを見せるであろうこの新たなフードテックの波から目が離せませんね。


※2019.9.4 15:05 追記・修正:

本記事内で、データの一部が誤っていたため、追記・修正を行ないました。誤りを含んでいたことをお詫びいたします。


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Image: Lisovskaya Natalia, Chinnapong, Pressmaster,

Source: WIRED(1, 2, 3, 4), FAO, FAST COMPANY , TIME, Impossible Foods, Yahoo, FOE

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