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まずは法律を味方につける。ネット時代のモンスタークレーマー対処法

まずは法律を味方につける。ネット時代のモンスタークレーマー対処法
Photo: 印南敦史

インターネットによる予約や注文が当たり前のものとなった現代においては、対面の接客が中心だった時代にはなかったすれ違いや誤解も生じるようになりました。

またSNSが浸透していることもあり、誹謗中傷や理不尽な口コミ評価に悩まされているという方も多いのではないでしょうか?

そこで参考にしたいのが、きょうご紹介する『ネット予約時代の 困ったお客のトリセツ』(飯野たから 著、佐藤祐介 監修、自由国民社)。

一般民事、刑事、医療、知的財産権、企業法務など、幅広い分野を取り扱っている弁護士による監修のもと、“困ったお客”の対処法と対策を紹介した書籍です。

第4章「クレームやドタキャンを防ぐためにできること」のなかから、特に記憶にとどめておきたい3つのポイントを抜きしてみることにしましょう。

消費者側の権利を知っておく

客から、不当な解約や返品の要求など悪質なクレームを受けないためには、どうすればいいですか。何か、対策がありますか。(186ページより)

客が消費者の場合には、売主である個人商店は消費者契約法や特定商取引法により契約上、さまざまな規制を受けるもの。

たとえば知られているように、訪問販売業者は、客がクーリング・オフを使って契約を解除(解約)することを拒否(妨害)できません。

ただし法定の契約書面を客に交付してから8日間が過ぎればクーリング・オフは使えないため、その場合は客からの解約の申し出を拒否することが可能。

また、常設店舗に客が来店して売買が成立した場合(店頭販売)には、クーリング・オフは適用されません。

このように、解約可能期間が過ぎていたり、店頭販売した客からの解約申し出には、法律上応じる義務はないわけです。そこで、そうした場合はキッパリ断ることが大切。

用法違反(契約によって定められた使い方に違反すること)の客からの交換要求も、同様に拒否すればいいといいます。

消費者契約法や特定商取引法は、たしかに消費者保護を目的としたものです。

しかし、だからといって消費者に無制限の解約権や商品交換の請求権を認めているわけではありません。

消費者に有利な規定、認められる範囲などがわかっていれば、客から法律を超える要求をされても、「そのクレームには応じられない」と突っぱねることができるということ。

だからこそ、客のクレームに対応するためには、まず消費者を守る法律について知っておくことが大切

なお消費者が無条件に(あるいは条件つきで)解約できる時期や範囲は、消費者庁や国民生活センターのサイトで簡単に確認できるそうです。

その権利がないにもかかわらず解約や交換を要求してくるクレーム客の多くは、きちんと説明すれば納得してくれるはずだと著者はいいます。

そのため、クーリング・オフができない場合、用法違反になる場合、ネット通販の返品特約の知識などは、忘れずに覚えておくべき。(186ページより)

謝罪がトラブルを大きくする?

いくら「返品はできません」とか、「無料修理はできません」などと、その要求を断っても、客は中々納得してくれません。私どもはそのクレームを聞きながら、ただ「謝る」という対策しか思い浮かばないのです。

(中略) 「謝るな!」という人もいるのですが……。(190ページより)

大企業でも個人商店でも、客のクレームにはまず「申し訳ございません」と謝るのが一般的かもしれません。

ところが相手の不満や要求に明確に答えないまま、このことばを連発するのは危険。かえって客の怒りに油をそそぐことになりかねないからです。

なお著者は、クレーム解決には謝罪よりも次の6点に注意した真摯な対応が効果的だと考えているそうです。

(1)相手が何を望んでいるか、クレームの内容を具体的につかもう

(2)クレームには、時間をかけずにすぐに対応しよう

(3)わからないことは独断で答えずに、「調べて折り返し連絡します」と一度電話を切り、きちんと調べてから答えよう。

この場合には、返答できるまでのおおよその時間を伝えておくと印象がいい。

(4)要求に応じられないクレームは、その理由をきちんと具体的に説明しよう

(5)どんなにしつこく強引な客でも、義務のない要求には応じないようにしよう

(6)悪質なクレーム内容やクレーマーはスタッフ全員で共有しよう(191~192ページより)

クレーム客のなかには、自分の要求が通るまで執拗にクレームを止めない人もいます。

そのようなクレーマーや、ネット上に悪質な書き込みをするような客とは、そもそも話し合いによる解決は困難。そのため、法的手続きで対応するしかないわけです。

ただし、ほとんどのクレーマーは、真摯な態度でていねいな説明をし続ければ、自分の要求が受け入れられなくても納得してくれるものだといいます。

「納得」とは、ただひたすら頭を下げて、相手を根負けさせろということではありません。上記の(1)〜(6)を守って客のクレームに応対すれば、「申しわけありません」は一度で済むわけです。(190ページより)

クレーム内容を録音・録画する

クレーム客のほとんどは、私ども売り手に非があると一方的に断定し、返品や返金、損失の補償に応じろと、執拗に、また強硬に要求してきます。

ときには、身の危険さえ感じるような言葉も飛んでくるのですが、逃げるわけにもいきません。 こんな場合、相手の暴言を黙って聞いてるしかないですか。(198ページより)

客(消費者)からのクレームには、当然のことながら真摯に対応しなければいけないでしょう。

しかし、なかにはいくら説明しても納得せず、自分の要求を強引に押し通そうとして、暴言や威迫的な態度をとる客もいるものです。

そんな場合には、録音や録画をしていることを相手に知らせるのもひとつの方法

相手は自分の要求が不当で違法なものだとわかっているので、法的措置や警察への通報をほのめかすとクレームを止める可能性が高いわけです。

それでも悪質なクレームが続くようなら、そのデータを持って、警察に相談するのもいいかもしれません。

店内に防犯カメラがあれば、店頭で騒ぐクレーム客とのやりとりの一部始終を録画することができます。ま

た電話によるクレームは、簡単に録音できるはず。もちろん客のクレーム内容の録画や録音は、裁判や警察への相談、被害届の提出時の証拠にもなるわけです。(198ページより)


居酒屋から企業まで、本書ではさまざまな具体例が紹介されています。

そのため、自身の業種にあてはめて打開策を見つけ出すことができるはず。“困ったお客”に悩む方は、ぜひ参考にしたいところです。

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Source: 自由国民社

印南敦史

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