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あがり症でも大丈夫。最も伝えたい「20字」で相手を動かす

あがり症でも大丈夫。最も伝えたい「20字」で相手を動かす
Photo: 印南敦史

プレゼンテーションや会議、あるいは営業や面接など、相手になにかを伝えなければならない機会は多いもの。

でも、確実に伝えることは、決して簡単ではありません。

そこでご紹介したいのが、『20字に削ぎ落とせ ワンビッグメッセージで相手を動かす』(リップシャッツ信元夏代 著、朝日新聞出版)。

著者はニューヨーク在住の事業戦略コンサルタント、認定スピーチコーチ、プロフェッショナルスピーカー。

過去にはマッキンゼーの戦略コンサルタントを経験し、ニューヨークのスピーチ大会を4連覇、世界トップ100に入ったという実績の持ち主です。

つまり本書においては、そうした経験を軸として独自の「伝え方」を明かしているわけです。

そのカギは、タイトルにもあるとおり「20字にメッセージを絞り込む」こと。

「伝えたいことを、どんな相手にも伝える」方法を、日本の方たちに向けて編み出したのが、「20字で語る」ブレイクスルーメソッドです。 まさに究極の削ぎ落とす思考法ともいえるでしょう。(「プロローグ」より)

第1章「なぜ、言いたいことが伝わらないのか」のなかから、基本的な考え方を抜き出してみましょう。

伝えることはひとつに絞る

言いたいことが伝わらないのには、必ず理由があると著者は言います。

しかもそれは、普段気づかず、無意識にやってしまいがちなことばかりだというのです。

では、どうすれば間違いなく伝わるのでしょうか?

プレゼンで「その他のいろいろな情報」を提供してしまうと、情報過多となってしまい、重要な情報の印象が薄れてしまうことになります。

多すぎる情報量のために重要な情報が「空回り」してしまうわけで、これがよくある「あれも、これも」プレゼンの落とし穴なのだと著者。

重要なのは、メッセージをひとつに絞ること。どんなスピーチでもプレゼンでも、「この一点が聞き手に伝わってほしい」というメッセージがあるはず。

ブレイクスルーメソッドでは、その「たったひとつの大事なメッセージ」のことをワンビッグメッセージ(One Big Message)と呼んでいるのだそうです。

言いたいことをたったひとつのワンビッグメッセージに絞り込むことで、格段に伝わりやすくなるというわけです。

しかも大事なのは、ワンビッグメッセージを「20字で語る」こと。なぜなら、そうすればより明確に、意図したとおりに伝わるから。(20ページより)

違う解釈ができないくらいに削ぎ落とす

なお「20字に収めるなんて無理」だと思われるかもしれませんが、20字ですべてのスピーチ/プレゼンを完了させるということではないようです。

つまり、「聞き手にもっとも刺さってほしいワンビッグメッセージ」を20字に凝縮するということ。

でも、なぜ20字なのでしょうか? この問いに対し、著者は次のように答えています。

メッセージは相手に解釈の余地を与えてしまうと誤解の元になります。長い言葉で語るほど、解釈の余地は広がってしまいます。

それを避けて、明確なメッセージを相手の記憶にしっかり焼きつけるためには、違う解釈をしようがないくらいにまで削ぎ落とした短いフレーズで伝えることです。(23ページより)

人間にとっては、およそ15字から20字程度のフレーズが覚えやすいのだそうです。

事実、スピーチコンテスト世界チャンピオンのクレッグ・バレンタイン氏は、英語のスピーチでは10語にまとめることを提唱しているのだとか。

英語であれば、10語にまとめるのがベストだということです。(22ページより)

日本語と英語の違い

しかし英語と日本語では違いがあり、英語を日本語訳にすると、英語のワード数のおよそ倍になるのがふつう。たとえばこんな感じです。

I am Japanese(3語)→私は日本人です(7字)

I like these shoes(4語)→私はこの靴が好きです(10字)

Have you ever been to this country?(7語)→この国に行ったことがありますか?(15字)

(23ページより)

著者はこのことを踏まえたうえで、日本語であれば20字が最適な長さであると提唱しているわけです。たとえばそのいい例が、コマーシャルのキャッチコピー。

「やめられない、とまらない! かっぱえびせん」(18字/カルビー)

「インテル、入ってる」(8字/インテル)

「セブン – イレブン いい気分」(11字/セブン-イレブン)

「すべてはお客さまの『うまい!』のために。」(16字/アサヒビール)

「お金で買えない価値がある」(12字/マスターカード)

「自然と健康を科学する」(10字/ツムラ)

(24ページより)

このように、誰でも聞いたことがあるようなコマーシャルのキャッチコピーは、その大半が20字以下で語られています。

なお、日本語の場合は特に「20字に削ぎ落とす」ことは大事なのだそうです。日本人は礼儀を重んじて、婉曲的な表現を好みます。

また敬語などが使われることもあり、実際に伝えるメッセージそのもの以外の、余計な描写などが多くなりがち。

ところが婉曲的表現だと相手に解釈の余地を与えることになるため、誤解を生んだり、伝わらなかったりする原因になるというのです。

よく知った間柄なら「あうんの呼吸」で伝わるかもしれませんが、そうではい相手の場合は、解釈の余地がなく、まっすぐ意味が伝わることが求められるということ。

だからこそ、ワンビッグメッセージをとことん絞ることが大切。20字に絞れば本当に必要なことばだけが残り、周辺情報は削ぎ落とさざるを得なくなります。

そのためより解釈の余地が減り、直球で伝わるようになるというわけです。(23ページより)


20字にワンビッグメッセージを絞ると本当に必要な部分だけが残り、周辺情報は削ぎ落とさざるを得なくなるもの。

そして20字に削ぎ落とせば、より解釈の余地を減らすことになるため、直球で伝わるようになるということです。

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印南敦史

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