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狙うはムーンショット級。課題は「逆算思考」を取り入れて最速で解決

狙うはムーンショット級。課題は「逆算思考」を取り入れて最速で解決
Photo: 印南敦史

「3つの考え方」を知っているか、知らないかによって、仕事の成果に大きな差が出るもの。

最速で課題を解決する 逆算思考』(中尾隆一郎 著、秀和システム)の著者は、そう主張しています。

「3つの考え方」の1つ目は、本書のタイトルにもなっているGOAL DRIVEN。すなわちゴールから逆算するということ。

まず「最高の状態=ゴール」を考えたのち、「どうやったそこにたどり着くのか」を考えるというわけです。

2つ目は、重要な仕事に絞るということ。それは、「やるべき仕事に集中する」と言い換えることもできるそうです。

時間は有限だからこそ、重要な、やるべきことに集中すべきだということ。「やらないことを決める」というのは、生産性が高い仕事をするうえでの重要なポイントだといいます。

そして3つ目は、「広げて、閉じる」という考え方。

最高のゴールにたどり着くためには、「たくさんの方法を見つける=広げる」というプロセスと、「そのなかから最適な案を見つける=閉じる」プロセスが必要だということです。

超一流の人は、この3つの考え方をいつも当たり前に実践しています。一流の人は、おおよそ実践しています。そして、普通の人は、この3つの考え方を知らない、あるいは知っていても、ついつい忘れてしまいがちなのです。 (「はじめに」より)

そこで本書では、著者が常に意識しているという、これら3つの考え方の具体的な実行方法を明らかにしているわけです。

第1章「まずはゴールを考える」の中から、いくつかのポイントに焦点を当ててみることにしましょう。

逆算思考の流れ

著者によれば逆算思考とは、生産性が高い人の原理原則を押さえながら、課題を効率的に解決する仕事の進めかた。おおまかな流れは、次のようになるそうです。

1. そもそも解くべき課題なのかを考え、取捨選択する

2. ゴールを明確化する

3. ゴールから逆算して考える

4. 関係者と全体像・タスクを共有する

5. 実行する

6. 振り返る

(60ページより)

重要な仕事に絞り、前半部分に頭を使う

逆算思考の大きなポイントは2つ。ひとつは重要な仕事に絞ることで、もうひとつは実行するより前の前半部分に頭を使うこと。

とくに前半に時間を使うと、その段階ではなにも成果がないだけにドキドキするもの。周囲が早く動いていたりすると、なおさらかもしれません。

しかし結局は、逆算思考がもっとも効率的で生産性が高いというのです。しかし当然ながら、「やらなくてもわかる」ことも少なくありません

そこで前半にきっちり考えて論点を検討し、やらなければいけないことだけに焦点を絞って確認すればいいわけです。

あてずっぽうではなく、なんでもかんでもやるのでもなく、きちんと構造化して、やるべきところにフォーカスすればよいという考え方。逆算思考を学ぶことができれば、生産性は劇的に向上すると著者は断言しています。

そこで次に、もっとも大切だというゴールについての考え方を確認しておきたいと思います。(61ページより)

Rの大きい仕事を目指す

著者がいちばん伝えたいのは、「どうせやるなら最高のゴールをイメージする」ということ。

そして、生産性を表すROIの分子にあたるR(Return)がゴールになるのだそうです。分子が大きくなれば、ROIという分数の値は大きくなるというのです。

そもそもこのゴールが小さければ、逆算思考の最初のステップであるという「そもそも解くべき課題なのかを考え、取捨選択する」という段階で弾かれてしまうことになるでしょう。

すなわちそれは、やらなくてもよい仕事だということ。

「最高のゴールをイメージする」ということに関連して著者がここでクローズアップしているのは、Google社のMoon Shoot

「月というゴールに向かって打つような仕事」を意味し、「×20」という表現によって「現在の20倍の成果を上げる仕事」と表現されることもあるといいます。

数%アップや10%アップ程度の成果では、Moon Shootとは言えないわけです。

また、近年話題になっているOKR(Objectives and Key Results)も同じような発想。以前、『本気でゴールを達成したい人とチームのためのOKR』(奥田和広著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)をご紹介したこともありますから、記憶に残っているかたもいらっしゃるかと思います。

これは目標(Objectives)と達成率の指標(Key Results)をリンクさせ、組織や個人が向かうべき方向とやるべきことを明確にする育成手法

設定する目標がすべて達成できるようなものであれば、その目標設定は低いと判断されるわけです。

求められるのは、7割くらいの達成率の目標設定。そのため、人事評価には使わないということが大前提になるといいます。(64ページより)

高い目標設定が仕事の前提条件を変える

私自身も事業開発を担当している時に、上司のN専務から、売上を10倍以上にすることを求められました。

その瞬間は、「何を言っているのか?」と意味が分かりませんでした。正直なところ、「何を無茶な要望をするのだ」と憤ったのを覚えています。

ところが、結果的には、その高い目標設定が制約条件を外して考えるきっかけになりました。

その一方、N専務はとても懐が深い人で、できるかどうか分からない状態で、私に対してコミットメントは求めませんでした。(65~66ページより)

10倍以上の規模をゴールに設定すると、さまざまな前提条件が変わることになります。必要な人の規模も、質も、社内外の協力も大きく変わるわけです。

著者が関わった上記の事業も同じで、担当している時期に30倍、そして現在では当時の100倍以上の規模になったのだそうです。

そんな状況について著者は、もし10倍以上という高い目標設定がなかったとしたら、いまだに事業開発の域を超えなかったかもしれないと記しています。

そんなことからも、どうせやるならMoon Shootレベルのゴール設定にすべきだということがわかるのではないでしょうか。(65ページより)


こうした基本的な考え方に基づき、以後は逆算思考についてより具体的な解説がなされていきます。

効率よく課題を解決できるようになりたいというかたは、参考にしてみるといいかもしれません。

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Source: 秀和システム

印南敦史

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