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会社に行きたくない? それ、職場の「幸福度」が足りてないのでは

会社に行きたくない? それ、職場の「幸福度」が足りてないのでは
Photo: 印南敦史

「幸福学」とは、幸せに生きるための考え方や行動を「科学的に」検証し、実戦に活かすための学問。

そして『幸せな職場の経営学』(前野隆司 著、小学館)の著者は、大学で「幸福」について研究しているという人物です。

私はこれまで、書籍や講演などを通して、幸せになるための方法を紹介してきました。

本書では、「幸せな職場で人々はどう変わるのか」に焦点を当て、「職場における幸せ」や「幸せなチームのあり方」について述べたいと思います。(「はじめに」より)

幸福度が高い従業員は、そうでない従業員よりも創造性が3倍高く、生産性は31%高くなるという研究結果があるのだとか(心理学者のソニア・リュボミアスキー、ローラ・キング、エド・ディーナーらの研究)。

幸福度が高い従業員は、欠勤率や離職率が低いという研究結果もあるのだそうです。

そんなこともあって現在、組織に「幸せ」という観点を取り入れる試みが世界の多くの企業で導入されているというのです。

そこで本書において著者は、幸福学の最新研究を踏まえつつ、働く人たちの幸福度を高める企業の仕組みづくり、職場の環境づくりについて解説しているわけです。

しかし職場の幸福度を上げるためには、職場における課題や悩みを把握しておきたいところ。

そこで数々の悩みが紹介されている第4章「職場の悩みQ&A すべいぇの組織は幸せになれる!」内の「やる気とモチベーションについての悩み」のなかから、いくつかの悩みと回答をピックアップしてみたいと思います。

部下がいつも受け身

「約50名の部下を抱えているが、部下たちのやる気が感じられず、常に受け身の姿勢であることが気になっている。こちらが言ったことに対しては正確にこなすが、できれば、そこからさらに一歩踏み込んでほしい。

ただ、どのように部下に伝えたらよいか迷ってしまい、何もできずにいるのが現状だ」【50代・メーカー・部長】

「指示待ち人間」に悩む上司やリーダーの話に関連して、著者はあることを指摘しています。こうした悩みを持つ管理職世代自身が、実は「指示待ち人間世代」なのではないかということ。

なぜなら彼らは、管理教育を受けた世代だから。そう考えると、他人の悪く見えるところは自分の鏡だということになるというのです。

高度成長期以来、明確に決められた業務を遂行するというやり方が徹底された結果、基本に忠実な人が増え、浸透したのが現代の日本社会なのです。

この種の課題の解決策の一つは、指示待ちの人間には明確な指示を与えるということです。主体的に考えてもらいたいときには、「これは上からの指示を待たずに、君が主体的に考えて、取り組んでほしい」という指示をすればいい。

上司の指示にこそ創造性が試されているとも言えます。言い換えれば、想像的な指示を与えられない上司が、自分の責任を若者に転化しているとも言えます。(142~143ページより)

さらに、主体的に考える文化をチームに醸成するためには、まず相手を信頼し、適切な量と質の権限を委譲することだと著者は述べています。

1. メンバーに、ある程度の仕事を任せてみる

2. 難しそうであれば、対話を通して、相手のやりたいことをじっくり聞く

3. 2の「やりたいこと」を実現するためにどうしたら良いかを考えるように促す

(143ページより)

チームメンバーや部下との対話をベースにしながら「施行法やイノベーションに関する本を活用して学んでみたら?」と、部下自らが学ぶことを提案してみるのも有効な手段だといいます。(141ページより)

会議などでメンバーが積極的に発言しない

「社内会議のファシリテーター(進行役/促進者)をする機会が多いが、毎回、沈黙が続き、強いストレスを感じている。

上司はもちろん、部下からも積極的な意見が出ず、いつも会議自体が消化不良のまま終了している。会議自体を活性化するためにどうしたら良いか、いつも頭を悩ませている」【40代・製造業・課長】

Google社が2012年から約4年かけて「プロジェクトアリストテレス」という大規模労働改革プロジェクトを実施し、実施後の研究成果報告においては「サイコロジカルセーフティ(心理的安全性)」という心理学用語が注目を浴びたそうです。

このプロジェクトの本来の目的は、いかに組織で生産性を向上させるかを多面的に調査・分析し、より効率的な働き方を提案すること。

そしてこのとき明らかになったのは、チームメンバー一人ひとりがチームに対して気兼ねなく発言でき、安心して本来の自分をさらけ出せると感じることのできる「場」の重要性。

つまり安心や安全を感じられる状態や雰囲気をつくることこそが、チーム全体の生産性を向上させ、チームを成功に導くということです。

人事主導でこうした制度を制定し、実践することもひとつの解決策ではあるでしょう。

ただし、まずはチームメンバー各人が対話を重ねることによってお互いを信じ合え、許しあえる関係性や場をつくることが大切だといいます。

オープンでフラットな人間関係が実現すると、制度がなくとも、自然と誰もが言いたいことを言える職場へと変化していきます。

これは組織のみならず、家庭生活や地域活動においても言えることですが、日々挨拶をしたり、些細なことでも感謝の気持ちを伝えたり、お互いを労うことが大切です。小さな積み重ねが信頼醸成へとつながるのです。(145ページより)

同じようにチームリーダーもメンバーに気を配り、一人ひとりの意見にしっかり耳を傾け、各人の強みに注目するなど細やかな配慮をすることが必要だというわけです。

さらに、職場の心理的安全性を高めるために著者が勧めているのは、職場の「人のよい面を見る」こと。しかも、とくに「上司のよい面を見る」ことが大切だというのです。

どんなに役職が上の人であっても、心から褒められたら純粋に嬉しいものです。

役職が上がれば上がるほど重責となり、心を許せる人間関係は狭窄し、やって当たり前、できて当然だと思われがちですから。(146ページより)

そこで部下の側も「上司のよい面を見てみよう」という意識を持ち、普段と見方を少し変えて見るべきだということ。

人には必ずよい面があるはずだと信じ、まずはお互いに相手のよい面に目を向け合うことが大切だという考え方です。(144ページより)


「幸せな職場」の実践例から、いますぐ実践できる「幸せのレッスン」の方法まで、組織の幸福度を高めるための情報満載。

現在のオフィスをより幸せなものにするために、活用してみてはいかがでしょうか?

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Photo: 印南敦史

Source: 小学館

印南敦史

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