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インスタで嘘をついたら犯罪?「法律」から世の中の仕組みを考える

インスタで嘘をついたら犯罪?「法律」から世の中の仕組みを考える
Photo: 印南敦史

僕らが生きているよのなかのしくみは「法」でわかる 〜13歳からの法学入門〜』(遠藤 研一郎 著、大和書房)の著者は、民事法学を専門とする中央大学法学部教授。

本書においては、中学2年生の女の子を主人公に見立てて法律の基礎の基礎を解説しています。

みなさん、「法」って、どんなイメージですか? もしかして、「私には関係ない」とか思っていたりしませんか?

でも、そうじゃないんです。気づかないかもしれませんが、みなさんの生活には、いつも「法」が溶けこんでいます。

安全に道路を歩くためにも、コンビニでチョコレートを買うためにも、夜静かに眠るためにも、「法」が役立っています。(「はじめに」より)

著者がここで訴えようとしているのは、「こんな出来事って、法とどのようにつながっているの?」「このルールって、なんのためにあるの?」というように疑問を持ち、学ぶことの大切さ

そして、もうひとつ見るべきポイントがあります。設定も文章も中学生向けになっているとはいえ、内容的には大人にも十分役立つということ。

身近な話題を通じて法を解説した「法入門」であり、専門的な立場から押さえるべきポイントが押さえられているため、「子ども向け」と軽視できないほど密度が濃いのです。

その例として、SCENE 3「法はみんなの大切なものを守る 『お互いを認める』ということ」のなかから、「表現の自由、名誉、プライバシー、肖像」についての話題を抜き出してみることにしましょう。

自由に表現するということ

現代社会においては、誰かに自分を知ってもらうためのツールがたくさんあります。言うまでもなく、その中心となるのがSNS。

そして13歳になると、自分でアカウントを持てるSNSが増えます。そのため、ここで著者は「表現の自由」に焦点を当てているのです。

簡単にいえば、みんな自由に表現活動をすることが認められていて、国家権力(国や地方公共団体)は表現の自由を侵害してはならないということ

条文

憲法21条1項

集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保証する。

この表現の自由は、基本的人権のなかでも極めて重要な権利。

まずは、表現の自由があることによって、いろいろな活動を通じ、自分自身を成長させることができるわけです。

好きな服を着て、好きな髪型をして、好きな歌を歌い、いろんな人と話して、ときには違う意見とぶつかり、自分を振り返って、多くのコミュニケーションをとり…と、さまざまな体験をすることによって毎日成長するということ。

しかも、何歳になっても成長することは可能で、それを「自己実現」といいます。つまり表現の自由は、自己実現のためにとても大切なものなのです。

それだけではありません。みなさんは、みなさんの社会がどのようなものであったらいいか、いろいろな場所でいろいろな人と自由に話し合うことができます。ときには、国を動かしている政治を批判することだってできます。

自分の意見を発信し、また、適切な情報を手に入れ、選挙を通じて、「政治的な意思決定」に参加することができます。これを「自治統治」といいます。(91ページより)

自治統治が認められることは、いま暮らしている「民主主義」の国にとっての生命線。

日本だけではなく、自由な国には、表現の自由が認められているわけです。

つまり、私たちにも友人にも、表現の自由はあるということ。身のまわりで起こった発見、自分の趣味、知ってもらいないなぁと思うことを自由に発信でき、同じく、友人の情報も自由に受け取ることができるのです。

だからこそ、それを国家が監視し、国家の都合で勝手に規制をするようなことはならないのです。(90ページより)

名誉って偉い人のもの?

情報を発信したり受け取ったりするためにSNSを使う際には、使い方に配慮する必要があります。表現の自由があるからといっても、他人を傷つけてはいけないということ。

私たちは誰でも、「名誉」というものを持っています

名誉とは、その人が社会から受けている評価のこと。つまり偉い人だけではなく、誰でも持っているものであるわけです。

Aさんがインスタに無責任な記事と写真をアップしたことで、Bさんが精神的に傷ついたり、Bさんを見る社会の目が批判的になってしまったとします。

そのように社会的評価が損なわれてしまうことが「名誉毀損」。

同級生の悪口を言うのも、匿名で、あることないこと、おもしろおかしく書き込むネットでのいじめも、場合によっては名誉既存になりうるのです。

条文

憲法230条1項

公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

「名誉毀損罪」は、まぎれもない犯罪行為。

それに加え、名誉を毀損した人は名誉を毀損された人に対し、「損害賠償(被害者にお金を支払うこと)」をしなければならないそうです。(92ページより)

「プライバシー」と「肖像」

名誉だけではなく、SNSを使う際には他人の「プライバシー」にも配慮することが必要

プライバシーとは、簡単にいえば、その人が他人に秘密にしておきたいことがらのことです。名誉のように、社会的評価が下がるかどうかは無関係。

誰にでも、他人に言いたくない、知られたくないことはあるものです。それが勝手に公開・公表されて、公開・公表された人が不快・不安を感じたら、「プライバシーの侵害」になるということ。

そして、人はそれぞれ「肖像権」というものも持っています。肖像権とは、勝手に撮影されたり、それを公開されたりしない権利。

たとえば同じ学校の生徒といえども、先生のことを勝手に撮影して公開してはいけないわけです。

SNSに他人のことを書くということは、プライバシーの観点からも十分な配慮が必要だということです。(93ページより)


ストーリーマンガを通じて、無理なく法を理解することが可能。冒頭でも触れたとおり、大人でも十分に学びを得ることができるでしょう。

自分で読むにも、子どもに与えるにも、親子で読むにも最適な一冊だといえそうです。

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Source: 大和書房

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