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「1日200円しか稼げなかったら」に対するビル・ゲイツの答えは?

「1日200円しか稼げなかったら」に対するビル・ゲイツの答えは?
Photo: 印南敦史

ビル・ゲイツの幸せになる質問 もしも1日200円しか使えなかったら?』(中谷昌文 著、日本実業出版社)の冒頭では、アメリカを代表する事業家であるビル・ゲイツからの質問が紹介されています。

「もし、あなたが発展途上国に住んでいて、1日に200円しかお金を稼げなかったら、どうしますか?」(中略) ビル・ゲイツ自身の答えは、「200円を貯めて、オスとメスのニワトリを買う」です。

ニワトリを買ってきて育てれば、やがてタマゴを産んでくれます。 そして、タマゴからはまたニワトリが生まれます。

そんなふうにニワトリがどんどん増え続けていったら、どうなるでしょうか? 貧しい家にお金が入ってくるようになります。

増えたニワトリを、また別の貧しい人にあげることもできるでしょう。 (「プロローグ ビル・ゲイツの幸せになる質問」より)

つまりこの質問は、たとえ1日200円の収入であっても、どんな境遇に置かれていても、一文無しであっても、「富を生み続けて、人に分け与える方法はある」ということを教えてくれるわけです。

また、「どんなに貧しい生活をしていても、未来に望みはある」という答えにたどり着くことも可能でしょう。

こうした考え方を強調する著者は、「社会貢献家」として、さまざまな社会貢献活動を行ってきたという人物。

その活動に興味を示したビル・ゲイツから食事に誘われるも、先約があったためお断りしたのだとか。

「先約があった場合、あとからのオファーは断る」という自分なりのルールがあったからだといいますが、「日本人で僕の誘いを断ったのは、キミが初めてだ」と驚かれたそうです。

しかし、そんなことがあったからこそ、同じ社会貢献家として、自分で得た財産を人々のために惜しげもなく注ぐビル・ゲイツには深く共感しているのだといいます。

そこで本書では、上記の「ビル・ゲイツへの質問」を手がかりに、「人は、いつでも、誰でも、どこにいても幸せになれる」ということを伝えようとしているのです。

きょうは第7章「あなたの『命』の使い方」のなかから、いくつかの要点を抜き出してみましょう。

ビル・ゲイツの質問の答えは?

冒頭で触れた「もし、あなたが発展途上国に住んでいて、1日に200円しかお金を稼げなかったら、どうしますか?」という質問で、ビル・ゲイツは2つのことを伝えたかったのではないかと著者は考えているそうです。

ひとつ目は、「世界の人を幸せにするためにはどうすればよいか?」ということ。つまり、この質問を受け取った人自身の生き方を問いかけているわけです。

ふたつ目は、「世の中はたったひとつのアイデアで、大きく変えることができる」ということ。事実、彼はWindowsというソフト(=アイデア)を世に広め、世界を一変させています。

そうでなくとも昔から、「ビル・ゲイツの質問」はユニークだということで知られていました。

たとえばマイクロソフトの社長を務めていたときには、会社の採用面接で次のような質問をしています。

「世界中に、ピアノの調教師は何人いるのか」

「ビル・ゲイツの浴室を設計するとしたらどうするか」

(187ページより)

どちらも、知識だけで解くことは不可能。柔軟な発想力と、諦めずに考え抜く精神力、物事の本質を見抜く洞察力が必要とされるわけです。

事実、ビル・ゲイツ自身が「質問の正解はひとつではない」とブログに書いているといいます。

世界中の人々がそれぞれを答えを出し、自分の人生の時間を使って、なにが正しいのかを実際に確かめる。それこそ、ビル・ゲイツが望んでいる答えだということです。(186ページより)

一流の人から一流の知恵を学ぶ

世界のさまざまな問題を解決し、多くの人々を幸せにするためにはどうすればよいのか

その問題を解決するためのヒントは、ビル・ゲイツのこれまでの足跡にあると著者は言います。

著者によれば、マイクロソフト社には全世界から毎月1万3000人から入社を希望する書類が届くのだそう。そして、そのなかから選び抜かれた5名に対してマイクロソフト本社への飛行機チケットが送付され、ビル・ゲイツの面接を受けていたというのです。

その結果、彼に気に入られた人材は、その場で1億円の小切手を渡され、マイクロソフト社に入社できるという流れ。

選ばれた人々は、コンピュータ以外の分野についても、一流の知識・経験を持つ人材ばかりだったといいます。

ビル・ゲイツはいつも多様な人と直に交わり、知恵を出し合うことに努めていました。彼は会社から引退するときにも、社員向けのスピーチでこう語ったといいます。

「インターネットがこれほど発達した時代だからこそ、直接、人と会うことの価値が増す。なぜなら、インターネット上の情報は、すでに何百万人もの目に触れたものだ。しかし、直接誰かに会って聞いた話は、限られた貴重な情報となる」(189ページより)

著者も被災地の支援を通じ、本当の人脈や情報、価値のあるアイデアは、現地で関係者にあってみなければ得られないということを実感してきたそうです。

「問題の解決に取り組むときには、ビル・ゲイツの教えてくれた『現場に行き、直に人と交流する』ということを心がけるべきだと主張しているのも、そんな経験があるからなのです。(188ページより)

世界一のお金持ちでも世界は救えない

『フォーブス』が2018年に行った調査によれば、ビル・ゲイツの資産は921億ドル(およそ10兆円)。

そして慈善活動に関する報道・調査を行なっているアメリカの雑誌『クロニクル・オブ・フィランソロピー』によると、2017年にビル・ゲイツは自分の財産から48億ドル(5200億円)を寄付したのだそうです。

今、世界は、とても深刻な問題が山積みです。 貧困、格差社会、核問題、テロ、地域紛争、森林伐採、地球温暖化、海洋汚染、オゾン層の破壊、人口爆発、食糧危機……。 世界一のお金持ちなら、お金ですべてを解決できるのでしょうか?

おそらく彼は、それが不可能であることを知っていますなぜなら、地球環境に関わる問題は、世界中の人たちが取り組まなければ、けっして解決しないからです。(190~191ページより)

同じように、貧困問題を解決するために大切なのはお金を配ることではありません。本当に必要なのは、持続可能な救済活動。

つまり、世界を救う方法は、みんなが力をあわせるということだというわけです。(190ページより)


著者は本書の最後に、自身がもっとも大切だと考える4つのキーワードを挙げています。

それは、ビル・ゲイツの「知恵」、マイケル・ジョーダンの「諦めない心」、『パパラギ』の「助け合い精神」、そしてマザー・テレサの「無償の愛」。

必ず人生を切り開くカギになるはずだというこれらのキーワードを意識しつつ、本書に目を通してみてはいかがでしょうか?

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Source: 日本実業出版社


印南敦史

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