
こんにちは。「5分会議」(R)で人と組織を育成する専門家の沖本るり子です。
4月から新しい職場になったり、環境が変わったりした人も、そろそろ環境や仕事に慣れたころかもしれません。
そこで、相手の個性に合わせて上手に対応することで、コミュニケーションを加速し、人間関係の向上につなげるためのタイプ別の分類と応対方法についてお話ししましょう。
まず、相手の個性を知ろう

当たり前ですが、私たちは、皆一人一人タイプが違うのです。
褒められて伸びる人、けなされて伸びる人など人それぞれ、世の中の全員を褒めればよいというものではありません。その場に応じて個性を発揮しています。
さらに、自分の立場によっても、人のタイプや行動は変わります。
例えば、社長の前では、おとなしく自分の意見を言わないのに、自分の部下との会議では言いたい放題の人、いますよね。それが悪いわけではなく、その場に応じて対応をしている人だと思えばよいのです。
同じ職場で数カ月か過ごしていると、この人はこういうタイプの人だなと感じてくるでしょう。
そんな時は、相手の個性をうまく活用したコミュニケーション術でうまく応対してみましょう。
「伝え方」からわかる性格4タイプ

職場での良いコミュニケーションにすぐ活用できる「伝え方」を軸に性格タイプを考えてみましょう。
自分の意見が主張的であるか、それとも自分には強く主張できるほどの意見を持っていないかという軸。もう1つは、伝え方が攻撃的か非攻撃的かという軸です。
この2つの軸で、下記の4つのタイプに分けることができます。
⑴自己中心型:自分の意見を攻撃的に主張する
⑵ケチつけ型:自分の意見はないけれど、人の意見にけちばかりつける
⑶お任せ型 :自分の思っている意見は言わず、相手の意見を認め黙っている
⑷建設的型 :自分の意見をしっかり持ち、人の意見も認め、論理立てて話す
説明したように、集まるメンバーやその場での立場によって、人のタイプは変わります。
常にこういう人だと決めつけず、今この人はどのタイプかな? と考えつつ参考にしてみてください。
4つのタイプの特徴は?

(1)自己中心型の特徴
- 自分の意見がたくさんありすぎて、他人の意見には耳を傾けない。
- 人の話をすぐ、割って入り横取りする。
- 俺が俺がと食いつき、おしゃべりでうるさい。
- 思いつきで話をするため、よく脱線する。
- 話が長く、内容はまとまっていない。
- 沈黙を嫌う。
- 気持ちだけが先走って言葉がついていかない傾向がある。
- 周囲から否定されてもそれを素直に受け入れない。
- ひるむことなくまた別のアイデアを出す。
- 質問をされると、聞かれてもいないことまで話してしまう。
聞いている側が「だから何が言いたいんだろう」と感じる状況が、しばしば発生するタイプです。
(2)ケチつけ型の特徴
- あら探しをさせたら右にでるものはいない。
- 自分のアイデアは、持たず、人の意見にはケチばかりつける。
- 否定非難批評が大好きだが、自分では気づいていない。
- 「え?そんなことまで?」と思うほど視点が多角。
- 人の話にケチをつけたいので、話をよく聞いている。
ケチをつければ、その場は、にぎやかに活性化しています。しかし、ケチをつけられて気分がマイナスになり非活性化する人もいることに気づいてはいないようです。
(3)お任せ型の特徴
- 人の話の邪魔をせず、よく話を聞く。
- ケチをつけることなくやたら同調・賛成する。
- 常に、だまっている。
- アイデアがある場合でも、自ら話さないが、聞き出すと答える。
まるで、自分からは発信しないと決めているかのようですが、考えていないわけではなさそうです。
(4)建設的型の特徴
- 模範生のように相手の意見もしっかり聞いて受け止める。
- 自分の意見もしっかり伝える。
- 周囲が納得できるよう論理的に伝える。
- 周囲をよく気遣い、話していない人への気配りで話しかけることもできる。
発信と受身どちらもできるバランスのとれたタイプ。
このような傾向がわかれば、タイプに応じて相手との関わり方を変えていく必要があります。
それぞれの個性を活かしたコミュニケーション方法に対応の仕方を変えてみましょう。
タイプ別:個性を活かしたコミュニケーション活用例

(1)自己中心型
話しかけられたとき、時間を意識するようにしましょう。
最初に「2分しかないので手短にお願いします」と時間ルールを必ず言っておく。
あるいは「今、急ぎの仕事で時間がないのでメールにして送ってもらえる?」などとお願いするとよいでしょう。
相手はあれこれと思いつくことを話してきます。雑談が大好きですから、時間がいくらあっても足りません。話が脱線しているなと思ったら、まず止めてください。止められてもあまり気にしないタイプなので大丈夫です。
なお、相手以上にしゃべり倒せるのであれば、相手の上手で対応してみるのも◎。
逆に、沈黙が続いている場の雰囲気を変えたいなら、自己中心型の人に話をふって聞き出すのが良いでしょう。
どんどん喋ってくれるので、状況の打破には適役です。いろんなアイデアを考えてくれるので聞き出しましょう。
「自己中心型タイプ」の個性を生かして、場をうまく活用してみましょう。
(2)ケチつけ型
人の話をよく聞いているので、実はありがたい人です。
リスク管理や危機管理をするために、マイナス面には特に気づいてくれるので、参考意見として聞き出すよう対応しましょう。マイナス面を指摘されたら、「気づいてくれてありがとう」と感謝すると喜ばれます。
否定ばかりされて気分がどうしてもマイナスに動き、相手にだまってもらいたいときは「それで、あなたのアイデアは?」と聞き返すとよいでしょう。
多くは、アイデアを持っていないので、だまってくれるはずです。
(3)お任せ型
自らの考えをいう人ではないので、質問を投げかけ、喋ってもらうように促します。
「お任せ型タイプ」は、人の意見に同調し、最後まで話を聞いてくれるので、いるだけで場が和むというメリットも。
複数人でいるときは、順番に話してもらうようにすると黙ってしまうこともなく場も適度に盛り上がります。
(4)建設的型
常に冷静で周囲への気遣いをしつつ、自分の意見を論理的に言うので、仕切ってもらいたいときにお願いするとよいでしょう。
「建設的型タイプ」の人の真似をして、コミュニケーションスキルを磨けばよいのです。
このように、会話の場で相手のタイプがわかれば、その人の特性を活かせます。
相手とうまく関わるとお互いの人間関係もより良くなります。
職場でのコミュニケーションをさらに向上させる手段の1つとして、『伝え方』のタイプ分けを活用してみてはいかがでしょうか?
沖本るり子(おきもと・るりこ)

株式会社CHEERFUL 代表。1分トークコンサルタント。「5分会議」®で、人と組織を育てる専門家。江崎グリコなどを経て、聞き手が「内容をつかみやすい」「行動に移しやすい」伝え方を研究。現在、企業向けコンサルタントや研修講師を務めている。明治大学履修証明プログラムでも登壇中。著書に『会議の鉄則』(マガジンハウス)、『生産性アップ!短時間で成果が上がる「ミーティング」と「会議」』(明日香出版社)、『期待以上に人を動かす伝え方』(かんき出版)などがある。
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Image: Shutterstock.com
沖本るり子
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