
消費税10%への増税まで、あと約2カ月です。今よりも2%の増税は、私たちの暮らしにどのような影響を及ぼすのでしょうか。
実は、あまり慌てることはありません。慌てて動いて損をする前に、増税後も落ち着いた暮らしをするために今から何ができるか、どうするとよいのかを考えてみましょう。
実は慌てることはない「消費税増税」

消費税の増税が目前。この消費増税は、実に3度目になります。
税負担が多くなるたびに慌てて買いだめや、近々購入する予定はなかった高額商品、たとえばマイホームなどを購入していた人がいたことを思い出します。
「増税対策」と称した取材も多くなります。メディアの方は「こうしたほうがいい」という指南を欲しがるのですが、実は何事も慌てる必要はありません。
今までも、増税後は店が客離れを警戒し、増税前以上に商品を安くするという傾向がありました。消耗品も、マイホームもそうです。そして、その状況を知った消費者は「増税前に慌てて買う必要がなかった」と感じるのです。
買いだめした消耗品などは、せっかく安く買ったはずなのに量があるからと使うスピードが増してしまい、結局節約になったのかどうか判断しにくい状況となります。
家計の負担はどのくらい増えるのか?
別な角度から見てみましょう。家計の負担としてはどうなると思いますか?
私たちがお金を払っているものには、消費税がかかっているものとかからないものがあります。支出を振り分けてみると通常の場合、1カ月の生活費の中で消費税がかからない支出は全体の1/3ほど。
つまり、1カ月の生活費の2/3程が、増税の影響を受け、生活費が30万円かかる人の場合は、20万円に消費税の影響があります。
2%の増税ですから、金額にして4000円。軽減税率やポイント還元などもありますので、多少の変動はあると思いますが、少しやりくりすると何とかできそうな金額です。
家計の見直しで増税分を節約する
増税に向けてできることは、「家計の見直し」が一番の対策となります。
家計の中には、意外と無駄支出が隠れているもの。全く無駄をしてはいけないというわけではないのですが、削れる部分は多少削りたいもの。
一度支出を洗いだし、削れる部分を具体的に見つけてみましょう。
固定費を削減する
まずは固定費から取り掛かることをおすすめします。
一度削減するとその効果が持続しますし、契約変更などが伴う場合は3カ月前の今から取り組んでおくと、増税前に効果がある環境に整えられます。
たとえば、通信費。
大手キャリアも安いプランを始めているので、契約内容の見直し、もしくは格安スマホへの変更、どちらでもよいでしょう。金額が下がる可能性が高い部分です。
また、消費税の影響は受けませんが、支出の削減という意味で生命保険の見直し、住居費の見直しもありです。
時間がかかる大変な部分だからこそ、今から取り組んでみるとよいでしょう。
変動費も削減できる
変動費も安定して下げられる方法はないか探してみます。
たとえば、水道光熱費。
自分たちの使い方そもそもから見直し、電気ガス自由化を活用して契約する事業者を変更してもよいでしょう。
事業者の見直しは、家族構成や使い方で効果がある場合、ない場合がありますから、シミュレーションサイトなどを使って一度試算してみては。
そのほか、食費のかけ方や洋服代、交際費など、全体的に見直してみましょう。全部合わせると、簡単に増税分程度の支出は下げられそうです。
軽減税率、ポイント還元。増税の影響を少なくできる制度も

今回の消費税増税は今までと違い、軽減税率制度、ポイント還元制度という税負担が軽くなる制度が設けられています。
軽減税率
軽減税率では、酒や外食を除いた飲食料品や、週2回以上発行される定期購読契約のある新聞代は8%のまま、据え置きに。
外食の中でも、デリバリーやテイクアウトなど、調理された食品を自宅で食べるような形のものは8%のまま。今までお店で外食をすることが多い人の場合はテイクアウトやデリバリーにシフトしていくなどで、税負担増を少なくすることもできるはずです。
キャッシュレス支払いでのポイント還元
ポイント還元制度は、中小企業の店舗などでキャッシュレス支払いをすると5%(フランチャイズ店は2%)のポイント還元がされるというもの。
キャッシュレス決済にはクレジットカード払い、スマホのQRコード払い、電子マネーなどが対象となります。まだあまり使っていない、慣れていないという人は、今から慣れておくことも、良さそうです。
やみくもに何かを買いだめするより、自分の暮らし方において、どうすれば少し税負担が減るのかを調べ、この2カ月を考えて準備するための期間にするのはどうでしょう。
横山光昭(よこやま・みつあき)

家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表。お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムで、これまで1万人以上の赤字家計を再生。書籍・雑誌への執筆、講演も多数。著書は60万部を超える『はじめての人のための3000円投資生活』や『年収200万円からの貯金生活宣言』を代表作とし、著作は累計330万部となる。
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