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「幸福な国」フィジーから学ぶ、子ども自身が幸せと感じられる育て方

「幸福な国」フィジーから学ぶ、子ども自身が幸せと感じられる育て方
Photo: 永崎裕麻

子育てにおける「親の最大の願い」は、「我が子に幸せになってもらいたい」ではないでしょうか。つまり、子育ての目的は「子ども自身が幸せだと感じられる人生を送れるようにする」とも言えるでしょう。

フィジーで暮らしている筆者は、その目的を世界でいちばん達成している国は「フィジー」かもしれないと感じています。

理由は、国民の主観的な幸福度が高いから。

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「WINギャラップ・インターナショナル」の幸福度調査(2017年度)で、「あなたは幸せですか?」という質問に対し、94%のフィジー人が幸せだと回答しているほど。ちなみに日本人の場合は58%。

つまり、大人になってからしっかりと幸せな人生を送っているということです。

では、フィジーの子育てにはどんな秘密があるのでしょうか。

フィジー人の家庭で20軒ほどホームステイをした経験を踏まえ、3つの特徴を挙げてみたいと思います。

1. 子どものまわりに人・人・人

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Photo: 永崎裕麻

とにかく、子どもたちの周囲に「人」が多いです。

まず、「血縁関係の人たち。

大家族のフィジーでは、一軒家に何世帯かで同居しているケースが多いほか、親族の集まりが頻繁にあります。出生率も2.52と日本の約1.8倍(日本は1.42)なので、家の中が常に人でごった返しています。

次に、「地縁関係の人たち。

ご近所付き合いも非常に盛んで、家族ぐるみでよく遊びます。血縁関係の人たちだけで家はすでにいっぱいですが、さらに近所の人たちがそこに飛び込んできて、「カオス」な状態に。

加えて、「教会縁」の人たちもいます。

敬虔なキリスト教徒であるフィジー人は、毎週日曜日に家族総出で教会に出かけます。信仰を同じくする人たちと、信頼性が高く、強固な人間関係が形成されます。

子どもたちがさらに「人」とのつながりを拡充していく場所として、教会は有効に機能しています。

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つまり、日本は「子どもの孤独」が社会問題であるのに対し、フィジーの子どもは孤独になりたくてもなれない環境に生きています。

仮に「学校」でうまく居場所を確保できなかったとしても、ほかの居場所(コミュニティー)が多数用意されているので安心です。

2. 共助感覚の強化

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Photo: 永崎裕麻

フィジーはまだまだ経済的には貧しい国。

お金や物の貸し借りをはじめとして、助け合わないとやっていけない社会です。子どもたちは「共助」する大人の背中を山ほど見ています。

だからこそ、「誰かを助けたり、誰かに助けられたりという関係が、自然なものとして子どもたちにインストールされます。感謝し、感謝される。どちらも幸福感を高めてくれます。

フィジーでいう「自立」とは「誰にも依存しないこと」ではなく、「なるべく多くの依存先を担保すること」。「自己責任」ではなく、「お互い様」を学びます。

誰かに依存することで「つながり」を強固にし、「共助感覚を高めることで「困っても必ず誰かが助けてくれる」という安心感を得ています。

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一方、日本の子どもたちを取り巻く環境は「共生よりも競争」の色が濃いのではないでしょうか。“お受験”にせよ、習いごとにせよ、自分と他人を比較する機会が多いように感じます。

幼稚園受験や小学校受験によって、幼少期でも合否(勝敗)がはっきりとつきます。習いごとも、たとえば柔道を習えば、帯の色でランクが「見える化」されます。スイミングスクールに行けば、ワッペンでお互いの泳力が一目瞭然です。

ほかにも、自分と他人を比べる指標がたくさんあります。

競争的な環境に身を置き続けると、「助け合う喜び」よりも「勝ったときの優越感」を求めるようになるのではないでしょうか。

負けたときは劣等感を感じます。勝ち負けという結果で感情がアップダウンする社会では、「ありのままの自分でいいんだ」という感覚が育ちにくいのではないでしょうか。

3. 大人が幸せでいる

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Photo: 永崎裕麻

冒頭にも書いたように、フィジーは多くの人が幸せだと感じている国です。

ただ、フィジー人の幸せは、「他人よりも幸せ」という比較するもの(相対的幸福)ではなく、「仕事があるから幸せ」という「条件付幸福」でもありません。

ありのままの自分で満足という無条件幸福」だからこそ、国民の主観的幸福度が94%という、驚異的な数字を弾き出せているように思います。

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ハーバード大学のクリスタキス博士の調査によれば、幸せは人から人へと伝染します。「近しい知人」が幸せだとすれば、自分の幸福度は約15%アップします。「知人の知人」が幸せだった場合では約10%アップ、「知人の知人の知人」でも約6%アップするそうです。

国民の94%が幸せな国での伝染効果たるや、すさまじそうですね。

幸せな人がまわりにあふれていれば、純粋な子どもたちは「幸せでいるのが自然な状態」(幸せは目指すものではなく標準装備されているものという価値観)になるのではないでしょうか。

最後に:フィジーでの子育てから息子に感じること

私には「4歳の息子」と「11カ月の娘」がおり、フィジーで子育てをしています。

以下は、息子がパンツを自分ではけるのに「はかせて」と頼ってきたときの会話です。

息子:「パパ、はかせてよ」

私:「自分ではけるでしょ。自分ではかない人はカッコわるいよ」

息子:「自分ではかなくてもカッコいいよ。自分ではいてもはかなくてもカッコいいんだよ」

私:「じゃあ、どんな人がカッコわるいの?」

息子:「(パンツをはくのを)手伝わない人」

息子の主張はこうです。

「自力でやろうがやるまいが、それは大した問題じゃない。ただ、人を助けないやつは最低だ」

フィジー人の「依存力」や「共助感覚」が身についてきているのでしょうか。

日本では、「人様に迷惑をかけちゃいけない」と教育されます。

確かに「自助」は大切です。

ただ、迷惑をかけ合うことを許容し一緒に解決していく楽しさを子ども時代にもっと多く経験することが共助感覚を養い、幸せな人生を送る鍵にもなり得るのではないでしょうか。

フィジーでは、子どもは常に多くの「人」に囲まれています。

そして、幸せを実感しつつ、助け合って絆を深めています。そんなフィジー社会で、もうしばらく育児を続けてみようと思います。

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fiji_happiness 11.jpg「旅・教育・自由・幸せ」を人生のキーワードとして生きる旅幸家。2年2カ月間の世界一周後、世界幸福度ランキング1位(2016/2017)のフィジー共和国へ2007年から移住し、現在12年目。在フィジー語学学校COLORS(カラーズ)校長。100カ国を旅した経験を活かし、内閣府国際交流事業「世界青年の船」「東南アジア青年の船」に日本ナショナル・リーダーや教育ファシリテーターとして参画したり、某企業のCHO(Chief Happiness Officer/最高幸福責任者)を務めたり、アフリカやフィジーで教育事業をしたりと、多拠点生活をエンジョイ中。 大阪府生まれ。神戸大学経営学部卒業。二児の父。著書に「世界でいちばん幸せな国フィジーの世界でいちばん非常識な幸福論」(いろは出版)。

Photo: 永崎裕麻

Reference: Amazon.co.jp

永崎裕麻

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