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日本の伝統品を世界へ。グローバル企業を渡り歩いたドイツ人経営者の挑戦

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日本の伝統品を世界へ。グローバル企業を渡り歩いたドイツ人経営者の挑戦
Image: Mugendai(無限大)

その繊細さや質の高さで世界でも人気が高い、日本の伝統品。しかし職人の高齢化による後継者不足などで、多くの製品の存続が危ぶまれています。

そんな危機を救おうと、老舗の梅干し屋さんが立ち上がりました。そしてその仕掛け人は、数々の国際企業を渡り歩いてきたドイツの方だというのです。

IBMが運営するWebメディアMugendai(無限大)にて、日本の伝統産業の可能性と課題が語られていました。

世界を渡り歩いたビジネスマン。日本の伝統品に見いだした「商機」とは

ロングインタビューに登場していたのは、日本の伝統品が並ぶECサイト「NIHON ICHIBAN(日本一番)」を運営する、小田原市の老舗梅干し店、株式会社ちん里う本店常務取締役のニコラ・ゾェルゲルさん。ソニーやダイソンといった有名メーカーに勤めた経験をお持ちです。

そんなインターナショナルなビジネスマンであったニコラさんが日本にやってきたのは、2001年のこと。世界的な製薬会社の日本法人などで活躍していましたが、日本人の妻が実家を継いだことをきっかけに、その経営に携わることになったそうです。

当初は、自社製品を海外で販売することを目的につくられたNIHON ICHIBANでしたが、徐々に取扱商品を拡大。山形鉄器、江戸風鈴、竹細工風鈴など、今では約3000種もの商品が揃っています。

小田原の梅干し屋さんが、日本の伝統品を世界に発信する。大きな成功物語に聞こえますが、ニコラさんいわく、これは必然ともいえる流れだったとのこと。当時を振り返り、以下のように語っています。

「ちん里う本店」は、梅干しを通信販売してきました。事務所もありますし、倉庫もある。発送部もあり流通もできる。注文を受けて発送するというビジネス・インフラは、すでに持っていました。そのインフラを使えば、自社製品に加えて日本の伝統工芸品や老舗の味などを世界中に販売できるのではと考え、ECサイト「NIHON ICHIBAN」を開設しました。

商品の可能性を見抜き、すぐにビジネスとして拡大させる手腕は、さすが敏腕ビジネスマンといったところでしょうか。

商品の「ストーリーを伝える」ことの重要性

日本の伝統品を世界へ。グローバル企業を渡り歩いたドイツ人経営者の挑戦
Image: Mugendai(無限大)

NIHON ICHIBANのユーザーは、当然ながらほとんどが海外の方々です。商品を手に取ることもできず知識も少ない中で、その魅力を伝えるのは至難の業といえます。

ニコラさんはこれに対し、日本の伝統品が長い歴史で培ってきたものを外国人にも分かりやすく説明することこそが重要で、それを「ストーリーを伝えること」と表現します。

そのための行動も惜しみません。例えば、自社で新商品を取り扱う際は、必ず作り手である職人さんの元に出向くそう。質問すると「なぜそんな当たり前のことを聞くのか?」と反応されることもあるそうですが、ニコラさんいわく「職人さんが当たり前と思っていることが多くの人には驚きであり、特に外国人にとっては異文化発見」だといいます。

日本の伝統品が抱える課題と、ニコラさんが目指す「老舗ホールディングス」

インタビューの中では、日本の伝統品が抱える問題点についても語られています。その最たるものが、後継者不足。職人さんの高齢化は日に日に進み、このままでは途絶えてしまう伝統品は数多くあるそうです。

もう一つの問題点が、マーケティング。ニコラさんは日本の伝統品を「素晴らしい」と認めつつ、「自分たちの伝統や技を当たり前と思ってしまい、そのすごさを上手に伝えられていない」と指摘します。

日本の伝統品は、品質はとても良いですが、値段が高いです。それだけでは売れません。しかし、そこには長い歴史を生き抜いてきたストーリーがあります。それを上手にパッケージにして、お客様にお届けする必要があります。

日本の伝統品を世界へ。グローバル企業を渡り歩いたドイツ人経営者の挑戦
Image: Mugendai(無限大)

そんなニコラさんが現在目指しているのは、伝統産業を守る仕組みである「老舗ホールディング」をつくること。これは、職人さんにはモノづくりに集中してもらい、財務やECサイトの運営、マーケティングや経営といった面をサポートする仕組みだそうです。

実は、ドイツではそのような中小企業を支援するファンドが大きな成果を出しているそうで、その日本版をつくりたいとニコラさんはいいます。

身近なところにあるビジネスのヒント、モノの価値を見抜く眼力など、ビジネスマン以外も役立つ示唆に富んだインタビューは、Mugendai(無限大)よりぜひ続きをお楽しみください。


Image: Mugendai(無限大)

Source: Mugendai(無限大)

渡邊徹則

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