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弱点は先に伝える。「引っぱらないリーダー」のあり方とは?

弱点は先に伝える。「引っぱらないリーダー」のあり方とは?
Photo: 印南敦史

引っぱらないリーダーが強いチームをつくる』(中村伸一、三浦花子、中山マコト著、現代書林)は、それぞれ異なるキャリアを持つ3人による共著です。

全員を引き合わせたという中山マコト氏は、多くの国内外の有力企業をクライアントに持つマーケター・コピーライター、中村伸一氏は、旅行業界の異端児として活躍する「地球探検隊隊長」、そしてもとグローバルダイニングの腕利き店長という肩書を持つ三浦花子氏は、フリーのスタッフトレーナー。

三者三様の立場から、新たなリーダーのあり方を論じているわけです。

その根底にあるのは、リーダーに求められる姿、リーダーのあり方が変わってきているのではないかという思い。リーダーがメンバーを引っぱり、リーダーの意思をチームに届けるという時代ではないというのです。

きょうはそんな本書のPart 4「引っぱらないリーダー15のルール」のなかから、3つのポイントを引き出してみたいと思います。

リーダー風を吹かせない

リーダーのあり方について3人の著者に共通する考え方は、「リーダー風を吹かせない」ことだそうです。

問題が起きたとき、リーダーが率先して解決に動いてしまうと、結局はメンバーの自発的な意識や積極性を削ってしまうことになるということ。

よほどの場合を除き、これからのリーダーは、リーダー風をふかせず、見守り役=管制塔に徹するのです。

メンバーの成長を第一に考え、メンバーの成長する機会、活躍の場をつくること。(146ページより)

大切なのは、メンバーの成長を第一義に考える「育成の精神」。

メンバーが成長すれば、万事が円滑にまわり始めるわけです。そして最終的にはそれが、お客さんのためにも、彼ら自身のためにも、リーダーのためにもなるということ。

個人の能力の総和がチームの力となるため、逆にリーダーの独断専行は、メンバーの成長の妨げになるといいます。

そのため積極的に、「メンバーの活躍の機会」「持ち味を発揮できる舞台」を用意することが大切

そして指示をせず、ひとりひとりが自分の意思で自発的に動く、「自動型スタッフ」の育成を目指すべきだということ。

自ら考え、自ら動く自動型の部下やスタッフが増えれば、部署やチームの力は格段に増すことになります。その自主性を高めるためにも、リーダーはできるだけ見ているようにすることが重要。

そして必要なときだけ、必要な動きをする

そうすることによって、依存心の少ない自動型スタッフが育っていくわけです。(146ページより)

ほめすぎない

ほめることは大事ですが、過度になると「ほめられなければ動かない」ホメ待ちスタッフが増えてしまうというのが著者の考え方。

そんなこともあり、リーダーはほめるだけでなく、常に適正な評価を下す癖をつける必要があるといいます。

行動や言動は、どんなものでも諸刃の剣の意味合いを持ちます。 誰かをほめれば誰かがひがむ。誰かを叱れば、誰かがほくそ笑む。 そんな二律背反の世界です。 (149ページより)

そこで、いつもバランスを考え、「自分の行動や言動がどう働くのか?」というメカニズムを知っていないといけないそう。

また、そのメカニズムを動かす源は、平等ではなく「公正」だといいます。「平等」とは、いつも全員に同じだけのことばをかけ、同じだけの気持ちを注ぐこと。

しかし現実問題としてそれは無理なことで、いずれ破綻することになります。だからこそ、「こんな考えでやっている」と先制して伝えることが大切だというのです。

要は、理由をわからせることで、メンバーがそれぞれ自覚を持つということです。 それにより、「私へのリーダーの接し方はこれなんだ!」「このやり方が私に向いてるんだ!」「○○さんと私は違うんだ!」といった自覚が生まれてくる。(150ページより)

そこがポイントだそうです。(148ページより)

弱点は先に伝える

新しいリーダー像である「引っぱらないリーダー」のポイントは、横や後ろにいて全体に目を配りつつ、バランスよくチームを動かしていくこと。

そういう意味では、弱い部分、人間くさい部分をみせてもよい、それどころか、「見せないとダメ」だと著者は言います。

その人間臭い部分の最たるものが、自己開示であり、弱みを見せるということですね。

強がらず、偉そうに見せようとせず、足りない部分は足りないと最初に言っておく。弱いところは弱いとあらかじめ言っておく。 これをやると、メンバーとの距離が接近します。 (150~151ページより)

同じ弱みを伝えるのでも、隠しておいて、あとからバレてしまうのと、最初から言ってしまうのとでは雲泥の差

たとえば英語が話せないのだとしたら、「実は英語、あまり話せないんだよ」と最初に開示してしまえば、メンバーが積極的にリカバーしてくれることになるということ。

「英語がうまくない」「実は悩みを抱えている」といった弱い部分をあらかじめ、早めに伝えておくからこそ、メンバーのなかに自発性が生まれるというのです。

ところが後出しじゃんけんだと、嫌われるだけでなく大きな不信感を生んでしまうことにもなるわけです。(150ページより)


いつの時代も、リーダーは部下の動かし方について悩むもの。

しかしリーダーのあり方自体が変わろうとしているのであれば、なおさら考え方を変えてみる必要があるのかもしれません。

部下との関係がうまくいかないというリーダーは、本書を参考にして見てはいかがでしょうか。

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Photo: 印南敦史

Source: 現代書林

印南敦史

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