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ストレス・不安も軽減。「直感脳」を活性化してくれる朝のウォーキング

ストレス・不安も軽減。「直感脳」を活性化してくれる朝のウォーキング
Photo: 印南敦史

脳科学者が教える やっかいな脳のクセをリセットする 朝5分の呼吸法』(有田秀穂 著、総合法令出版)の著者は脳生理学者/医師であり、各界から注目を集める「セロトニン研究」の第一人者。

現在は代表を務める「セロトニンDojo」において、セロトニン不足がさまざまな精神不安定状態を引き起こすことを説いているのだそうです。

本書では、主要な脳内物質として、セロトニン、オキシトシン、ドーパミン、ノルアドレナリンを取り上げています。古代ギリシャ時代には、「精神精気」と呼ばれて、脳機能の主役と位置づけられてきたものです。

これらの脳内物質は、人間における、元気、幸福感、愛情、ストレス(苦)とその解消、意欲、貪り、恐怖、不安、爽やかな気分、クールな覚醒状態などを演出し、調整しています。(「はじめに」より)

まず著者が強調しているのは、デジタル機器にはない人間の脳機能。直感やひらめきという人間の能力は、現時点でデジタル機器には実行できないということです。

なぜならそれは「知力」によって実行されるわけではなく、大脳の最先端にある「直感脳」が担うものだから。

直感とひらめきこそがイノベーションを生み出し、時代を動かしてきたというわけです。

そこで本書においては、「直感脳」を活性化させ、人間ならではの脳の力をフル活用した生活習慣を紹介しているのです。

きょうは第2章「セロトニンの力を引き出す暮らしのコツ」の中から「ウォーキング」に関する記述に焦点を当ててみたいと思います。

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ウォーキングでセロトニン活性

セロトニン神経を活性化させるリズム性の運動として著者が勧めているのは「歩行リズム運動」

といっても難しいことではなく、ウォーキング、ジョギング、スクワット、自転車こぎなどのことであるようです。

セロトニン神経は、「朝に活性化させること」「一定時間(5~30分)しっかり集中して行うこと」が大原則。

そういう意味で、朝のウォーキングは最適だというのです。人通りも少ない朝は、ただひたすら歩くことに集中できます。一日を、心も身体も気持ちよくスタートさせられるわけです。

ただし、通勤中は不向き。人であふれた街や駅の構内は雑音も多く、いろいろなものが目に入ってくるため、歩くことに集中できないというのがその理由です。

また、「のんびり散歩」や犬を連れての散歩も「ながら的」になってしまうのでおすすめできないのだといいます。(61ページより)

セロトニン活性にもっとも向くウォーキング環境は?

では、どのような環境が歩行リズム運動に向いているのでしょうか? 著者はこの点について、おもしろいフィールドワークを実施したことがあるのだそうです。

海浜公園でノリのいい音楽を聴きながら30分間のウォーキングを行い、その前後で採血してセロトニンを測定するというもの。

日本の代表的なサルサ・グループとして有名な、「オルケスタ・デル・ソル」のパーカッショニストであるペッカーさんが作曲と演奏を担当。そして被験者になったのは、健康・癒し系CDの製作会社の営業スタッフ男女5人。

その結果、全員の脳内セロトニンが増えたというのです。

なお、この結果からわかった「歩行リズムにもっとも向く環境」は次のようなものだそう。

・ 自然の中

・ 人通りが少ない

・ ノリの良いリズムが聞こえる

(64ページより)

とはいえ音楽を聴かなかったとしても、しっかり集中していれば問題はないのだといいます。(63ページより)

健康のためのウォーキングとは違う

ウォーキングは50年以上の歴史がある健康法なので、実践されているかたも多いはず。

しかし、だからといって「ふだんウォーキングをしているからセロトニンもいっぱい分泌しているに違いない」と考えるのは早計なのだとか。

通勤や健康のためのウォーキングは、有酸素運動(エアロビクス)の医学理論に基づいているものだというのがその理由です。

その場合は、どのような状況でどこを歩いたとしても、エネルギー代謝さえ上がればOKだということになりますが、それでは脳内セロトニンは増えないというのです。

なぜなら、「リズム運動に集中しているか否か」がカギとなるから。セロトニン活性のためには、あくまで「歩くために歩く」ことが重要だというのです。(65ページより)

「1日30分」を目標にしよう

ところでリズム運動を継続するほどセロトニン神経が鍛えられるということを証明してくれたのは、幼稚園の子どもたちだったのだそうです。

著者が幼稚園で毎朝行っている運動プログラムの前後で子どもたち(3~6歳)のセロトニンを測定した結果、体育プログラムのあとでセロトニンが確実に増えていたことがわかったというのです。

しかもデータをよく観察すると、年少よりも年中、年中よりも年長の増加率が高くなっていることも明らかに。

こうした結果を踏まえ、「ほぼ毎日実施しているプログラムなので、長く行っている子どもほど、セロトニンが多く分泌される脳に変容していると考えられる」と著者は結論づけています。

リズム運動は長く続けるほど、セロトニン神経が強くなるということ。1日30分のウォーキングを生活に取り入れたいという考えかたの根拠は、そこにあるわけです。(66ページより)

ウォーキングと呼吸法を組み合わせると効果倍増

歩行リズムと呼吸リズムを合わせると、セロトニン活性度はとても高まるそうです。そこでウォーキングをしながら呼吸法を行う際には、「三呼一吸」に挑戦してみることを著者は勧めています。

これは、歩くリズムに合わせて、「ハッハッハッス~、ハッハッハッス~」と、「3回吐いて1回吸う」というものです。

その際、しっかりと声を出しながらやると、脳から雑念を追い払い、ウォーキングに集中できます。(68ページより)

なおウォーキングをしていると、次第に呼吸が活発になってくるもの。その際は、「2回吐いて、2回吸う」のがよいそうです。これは、脳内セロトニンを増やすための簡単で確実なメソッドだというのです。(68ページより)


他にも日常生活のなかで応用できるアイデアが多数紹介されているため、実用性は抜群。

脳をスッキリとした状態にキープするため、参考にしてみる価値はありそうです。

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Source: 総合法令出版

印南敦史

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