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「がん」と診断されたときのお金問題。ビジネスパーソンはこう対処する

「がん」と診断されたときのお金問題。ビジネスパーソンはこう対処する
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国立がん研究センターの統計では、毎年100万人近くが罹患し、生涯に2人は1人がかかるという「がん」。

医学の進歩で、高齢でなければ回復の可能性が高い病気になりつつありますが、厳然としてあるのがお金の問題です。復帰までの期間が読みにくく、働き盛りのビジネスパーソンががんにかかると、しばしば深刻な状況に見舞われます。

その場合にまず必要なのは、適切な情報を知り、適切に対処することです。

今回は、がん患者の家計相談を行うFPの黒田ちはるさんの著書『がんになったら知っておきたいお金の話』(日経メディカル開発、 2019 年)から、「妻が専業主婦の男性会社員」や「共働きの妻」が、がんに罹った場合のお金の対策を抜粋・紹介します。

「傷病手当金」を活用する

がんに罹ったときのお金の対策で真っ先に目が向くのは、民間の医療・がん保険となるでしょう。

しかし、こうした保険は、通常は入院費・手術費を保障するのみ(特約によっては診断給付金などが一時的に出ますが)。会社の有給休暇を使い切り、無給となる休職期間中の給料を補填するには足りません。

そこで、正社員の場合、傷病手当金が助けになります。これは、業務外の病気・けがで療養しており、給与の支払いがない時に毎月支払われるものです。

傷病手当金は、給料の2/3が支給されます。ですが、健康保険料や社会保険料は、ここからも引かれるため、「“思ってたよりも、もらえなかった”とおっしゃる患者さんは少なくはありません」と、著者の黒田さんは注意します。例えば、額面給与30万円で手取りが約23万円の場合、傷病手当金は15万円程度。確かにこれだけでは厳しいでしょう。

傷病手当金はもちろん活用すべきですが、これだけでは大黒柱として一家を支えられない場合、どうすべきでしょうか?

専業主婦の妻が、働きに出ることはすすめられていません。なぜなら、「家事、育児に加え、病院の付き添いや療養のサポートと妻も行うべきことが増える」からと、幼い子どもを外に預けるコストがかかってしまうからです。

そこで、黒田さんは、以下のように家計の固定費にメスを入れることを推奨しています

家計の固定費を見直す

黒田さんは、家計の中でも定期的に決まった額が出ていく固定費を見直すことが、収入の不足を補う有効策だと述べています。

固定費には例えば、自動車保険、スマホ料金、インターネット接続料金、クレジットカード年会費、習い事の月謝があります。格安スマホに乗り換えるなどして、「月々8万円近くが調整できた」ケースもあるそうで、細かい積み重ねはバカにできません。

さらに、持ち家のある人については、固定費でも大きな割合を占める住宅ローンがかなりの負担になるはずです。そこで、金融機関と相談して一時的な返済額を減額する「リスケジュール」が必要になってきます。

リスケジュールにあたっては、事前に金融機関に電話して「住宅ローンの返済方法の相談をしたい」と伝え、以下の資料を持参すると、スムーズに運びやすくなるそうです。

  • 住宅ローン返済予定表
  • 疾患名のわかるもの
  • 仕事復帰した後の業務内容や給料、支出の試算

リスケジュールで注意したいのは、今後見込まれる治療期間が1年以上になる場合。返済総額が増えてしまう可能性が出るため、別の手段を考慮すべきだと黒田さんは述べています(別の手段として「セール&リースバック」などあり、本書で詳述)。

共働きの妻はまず家事分担を

今度は、夫婦がどちらも働いていて、子育てもしている時に、妻ががんに罹った場合を見てみましょう。

第一にすべきは、「家事・子育て・家計の分担の書き出し」となります。それに基づき夫と相談し、「治療中の体力低下している時に継続してこなせる家事・育児内容なのか、または夫が引き継げるのかを一つ一つ2人で話し合ってみましょう」と、黒田さんはアドバイスしています。

これは、2人で全部決めてしまうのではなく、医師、看護師、薬剤師、医療ソーシャルワーカーとも相談し、力になってくれる親族がいるか確認することも大事。子どもが幼ければ、シッターの利用も視野に入れます。

それがひと区切りついたら、以下のように仕事面について熟慮していきます。

非正規雇用でも制度のフル活用を

正社員であれば、上記の男性会社員と同様、傷病手当金などの制度が使えるか確認します。

体調面などからフルタイムの勤務が難しいという場合、時短・在宅勤務あるいはパートタイム勤務に切り替えられるか、職場に相談します。

もともと非正規雇用であっても、派遣・契約社員は国の健康保険・雇用保険に加入しています。黒田さんは、「高額療養費や傷病手当金、退職した場合の失業給付も一定の要件を満たすことで受給できます」と述べています。

パート・アルバイトで所定労働時間・日数が少ない方でも、「企業規模など要件を満たしている場合、社会保険の適用拡大により加入している」可能性があるので、確認しておきます。

また、傷病手当金などの制度が利用できない時に、黒田さんが選択肢として挙げているのが、「夫の扶養に入る」。扶養に入ることで健康保険料はかからなくなるメリットがあるので、検討する価値があります。


本書には、他に自営業・フリーランス、60代前半、一人暮らしなど、ほぼすべてのワークスタイル・ライフステージに応じた、お金対策について解説があります。

共通するのは、第一に制度の徹底活用、第二に家計のやりくり。この2つのポイントを押さえておくことで、「お金の困った」を良い方向へ舵取りできます。万が一のことが起きたら、本書を参考に対策をとってみましょう。

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Image: shutterstock.com

Source: 『がんになったら知っておきたいお金の話』(日経メディカル開発),国立がん研究センター がん情報サービス

鈴木拓也

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