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バンクシーも活用する「ラテラルシンキング」の始め方|違いを生み出す思考術

バンクシーも活用する「ラテラルシンキング」の始め方|違いを生み出す思考術
Image: Radachynskyi Serhii/Shutterstock.com

筋道を立てて一貫して考え、分類・細分化を重視する「ロジカルシンキング」(論理的思考)が全盛です。

この言葉に聞き覚えのない人でも、「MECE」や「フレームワーク」はご存知かもしれません。実はこの概念は、ロジカルシンキングから出発したものです。

ラテラルシンキング(水平思考)とは?

非常にポピュラーなロジカルシンキングですが、この考え方には限界があると指摘するのは、(株)創客営業研究所の代表取締役、木村尚義さんです。

木村さんは、ロジカルシンキング一辺倒が、過当競争や企業不正を生む素地になっているとし、著書の『NOロジック思考』(ベストセラーズ)で、その対極にある「ラテラルシンキング」を推奨しています。

ラテラルシンキングは、1960年代に心理学者のE・デボノが提唱した思考法で、日本では「水平思考」と訳され、決して新しい概念ではありません。しかし、時代の代わり目のたびに見直されて脚光を浴びるため、今回初めて聞いた人も多いでしょう。

木村さんは、多方面で変革を求められている今の時代も、大きな節目であるとし、本書でラテラルシンキングの積極活用をすすめています。

では、ラテラルシンキングとはどのような考え方であり、どう活用すべきなのでしょうか?

本書を下敷きに、ポイントを幾つか紹介しましょう。

そもそもラテラルシンキングとは?

ラテラルシンキングとは、「前提を疑い抽象化し、セレンディピティを利用する考え方」だと木村さんは述べます。

これをもう少しわかりやすく言うと、

  • 前提を疑う:前提は、常識と言い換えてもいいかもしれません。「世間では前提(常識)とされている、そのやり方は正しいのか。今は正しくとも将来もそうなのか」と、疑問に思うことです。
  • 抽象化する:具体的な事物を見て、「何をするものなのか。そもそもどうなっていればいいのか」と抽象化し、本質は何かを突き詰めます。
  • セレンディピティを利用する:ひょんな偶然を、単なる偶然だと無視せず、「何か使えないか、チャンスに転化できないか」と、自分の抱える課題と関連させられないかを問うことです。

ラテラルシンキングを活用した例として、木村さんは、「マリーナベイサンズ」や「変なホテル」を挙げます。

ラグジュアリーホテルとは「豪華なもの」という前提があると、豪華さ競争が始まり、きりがなくなります。

同じ豪華さ競争でもラテラルシンキングなら、一味違うホテルが出来上がります。

シンガポールのホテル、マリーナベイサンズに至っては、3棟ある高層タワーの屋上に橋をかけるようにして全長150mにわたるプールを設置してあります。

似たり寄ったりのホテルの中でも、ランドマークとして認識されれば、ひときわ目を引きオンリーワンになります。こうした発想がラテラルシンキングです。

競争から外れたホテルをもう一例、紹介しましょう。

恐竜が受付スタッフを務めるホテルがあります。恐竜といっても、本物ではなくロボット恐竜です。変なホテルですね。そうなんです。名前もズバリ「変なホテル」

トラベル会社のHISが展開するホテルです。

(中略)変なホテルとは、単に他と変わっているというだけではなく常識を超えて「変わり続けることを約束するホテル」というコンセプトです。ラテラルシンキングを体現していますね。

(本書89~91pより)

本書では、これ以外にトヨタのレクサスやバンクシーの芸術活動が、ラテラルシンキングを活用した事例として紹介されています。

ラテラルシンキングの4つの段取り・手順

ラテラルシンキングは、なにも一流企業や天才の専売特許ではなく、慣れれば「無意識に幾通りもの可能性を導き出します」と、木村さんは述べています。

でも、それに慣れていない大多数の人は、どうすればよいでしょうか?

木村さんがすすめるのが、「4つの段取り」の習慣化。つまり、

  1. 不満に気付く
  2. なぜ?
  3. ならば…
  4. どうやって?

をクセにすることです。

具体的な例として木村さんは、コンタクトレンズの洗浄液のキャップを挙げます。

1. 不満に気がつく

洗浄液のキャップを落として、洗面台の排水口に落としてしまうという、よくある不満。これを不満だと気付いて、「落とさないようにするには?」を考えるのが、第一歩。

2. 「なぜ?」と疑問を投げかける

「なぜ、排水口にキャップが落ちるのか?」などと、疑問を口に出すことで、「なぜ」が明確になり、「なぜ排水口があるのだろうと、なぜキャップがあるのだろうという2つの要因」に思い至ることになるわけです。

3. 「ならば…」と考える

これは、「理想の状況を明確にする言葉」だと、木村さんは説明します。「ならば、排水口がなければいい」とか「ならば、キャップが分離しなければいい」というふうに。

4. 「どうやって」と解決策を探す

ここで、存分に発想を広げてゆき、「あらかじめ排水口にフタをしてから作業する」、「排水口のないところに行く」などと、解決策を出していきます。

ラテラルシンキングは、解決策がひとまず出た時点で終わりではありません。

今しがた考えついた疑問やアイデアの前提を疑うことが大事だそうです。

つまり、また最初の段取りに戻って、「2周目をスタート」させるのです。これを少なくとも5周繰り返して、「いくつ方法を見つけられるか」が、ラテラルシンキングの特徴です。

ラテラルシンキングの鍛え方

ラテラルシンキングが身に付く方法 本書では、ラテラルシンキングの能力を高める方法も幾つか載っています。それらは各々、「前提を疑う」「抽象化する」「セレンディピティを利用する」のいずれかの力を鍛えるものです。

たとえば、抽象化能力の土台となる「大量に発想する」コツを会得するのに、「電車広告、無理やりストーリー」という練習法があります。

この練習では、電車の広告をつなげて物語を想像します。

(中略)今日の広告は…ホテルバイキング、旅行、予備校、女性専門大きめな靴とあります。

バイキングで偶然に昔の友人と出会った。意気投合して旅行に行きたくなったから、予備校時代の同級生も誘う話になった。

そういえば彼女は足が大きいから…という具合につなげて、あらすじを作ります。

(本書196pより)


木村さんは、ロジカルシンキングを完全に捨て去る必要はなく、1割だけのラテラルシンキング導入で「人生は変わる」と言います。

仕事でも私生活でも、筋道を立てて解決策を考えているのに堂々巡りで名案が思い浮かばないときは、ラテラルシンキングを活用してはいかがでしょうか。

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Image: Radachynskyi Serhii/Shutterstock.com

Source: Amazon.co.jp

鈴木拓也

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