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営業マンから「国境なき医師団」に。病院も攻撃される今必要な「日本人的」リーダー像

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営業マンから「国境なき医師団」に。病院も攻撃される今必要な「日本人的」リーダー像
Image: Mugendai(無限大)

日本のような治安の良い国にいると気づきにくいですが、世界にはまだ多くの紛争地帯があります。その状況は改善するどころかますます悪化しており、近年では病院や医療機関までもが攻撃の対象となっている現実をご存じでしょうか。

IBMが運営するWebメディアMugendai無限大では、「国境なき医師団」のリーダーを経験した日本人が登場。紛争地の現状や医師団の活動、それに海外で働く際のリーダーシップのあり方など、多くの話題が語られていました。

異色に思える営業マンからの転身

ロングインタビューに登場していたのは、国境なき医師団 (Médecins Sans Frontières、以下MSF) の村田慎二郎さん。世界中からさまざまな人が集まる同組織において、日本人としては数少ないリーダーのポジションを経験された方です。

そんな村田さんですが、実は医師でもジャーナリストでもなく、前職はIT企業の営業マンという意外な経歴の持ち主。3年勤めた後、自分の本当にやりたいことを自問自答しているうちに国境なき医師団の存在を知り、この世界に飛び込んだそうです。

紛争地のリアル。人道支援へのリスペクトが消えてしまった

病院が攻撃される現実。「国境なき医師団」の日本人リーダーが語る、世界の現状とリーダー論
Image: Mugendai(無限大)

ニュースなどでよく耳にする「国境なき医師団」という組織。記事によれば、「独立・中立・公平」を基本理念に掲げ、最も助けを必要とする場所に「国境を越えて」赴き、医療・人道援助活動を行う組織とのこと。活動資金の約96%は民間からの寄付でまかなわれており、中立性を保つため、国家や政府からはあえて距離を置いているそうです。

しかし今、冒頭でご紹介したとおり、現場では急激な変化が起こっているそう。村田さんは、インタビューの中で以下のように語っています。

WHO(世界保健機関)によると、2018年の1年間に19ヵ国で388回の“医療”への攻撃があり、747人の死傷者が出ています

イエメンを例に挙げると、2015年くらいからMSFが支援している病院が、サウジアラビアとアラブ首長国連邦主導の連合軍から攻撃されるようになってきました。(中略)それまでにも同じような事態は起きていましたが、この数年間はとりわけ顕著に増加傾向にあると感じます。

世界から注目されつつある「日本型のリーダー像」とは

世界中から、多種多様な人々が集まる国境なき医師団。その中でリーダーを務めるからには、さぞかし強いリーダーシップが必要に思えます。しかし村田さんご自身は、相手や周囲の空気を尊重する、典型的な「日本型のリーダーだといいます。

実は今、相手を思いやる気持ちや礼儀正しさといった日本人らしい特徴が、長所として好意的に受け止められているとのこと。村田さんは以下のように語っています。

MSF内でも、自己主張を強くする欧米系スタッフの考えるリーダーシップとは異なる、日本人のリーダーシップにも優れている点があるという理解ができつつあります。

もちろん、日本人スタッフがもっと主張していくことも必要ですが、MSFが70カ国以上で活動をする中、異なる文化や価値観を持つ人々と関係作りをするために、多様性の中でうまくやれるリーダーシップが重要性を増しています。

そして村田さんは、初めて訪れた土地では必ず「われわれは、あなたのコミュニティのために活動している」と伝え、「医療援助を届けるためであり、紛争自体には興味がない」とはっきりと伝えることで、現地の信頼を得ているといいます。

現場にいるからこそわかる問題を積極的に提起していきたい

国境なき医師団として紛争地に赴き、世界中の人々を相手にリーダーとして活躍してきた村田さん。

これまでの経験から感じたことを「パブリックに対する使命感が変わった」と表現し、現在は「病院を撃つな!」と題されたキャンペーンで署名を集めたり、アメリカのハーバード・ケネディスクールで、実社会でリーダーとして活躍している人たちと政治についてともに学んだりと、積極的に活動しているそうです。

今後は、医療・人道援助の最前線にいる自分たちだからこそのメッセージを発信し、政治に変化を促す政策提言戦略の構築に携わりたいと、その意欲を語っています。

世界を経験したリーダーが語る、偏見を排除する考え方

病院が攻撃される現実。「国境なき医師団」の日本人リーダーが語る、世界の現状とリーダー論
Image: Mugendai(無限大)

日本国内でも、「ダイバーシティ」といった言葉が日常的に聞かれるようになった昨今。村田さんはインタビューの最後に、以下のように語っています。

どの国に行っても、生まれてくる子どもたちに変わりはありません。各地で暮らす人々の家族を思う気持ち、幸せになりたい気持ちもどの国へ行っても同じです。(中略)インターネットを介したコミュニケーションでもいいし、旅行に行くでもいい。多くの人と交わり、人間に違いなんかないことを体験すれば、排除やヘイトはなくなるのだと思います。

国境なき医師団の活動、村田さんのリーダーシップについての詳細は、Mugendai無限大よりぜひお楽しみください。


Image: Mugendai(無限大)

Source: Mugendai(無限大)

渡邊徹則

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