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「絶対にしてはいけない質問の仕方」は?ビジネスを円滑にする聞き方・話し方

「絶対にしてはいけない質問の仕方」は?ビジネスを円滑にする聞き方・話し方
Photo: 印南敦史

どんなに話し方がうまくても、講演会ならまだしも、ビジネスや日常の場面で一方的に話しているだけの人などまずいません。また、聞くのがうまい人も、ずっと聴き続けてはいません。

つまり、「話す」と「聞く」の間には、必ずと言っていいくらいに、“質問”が入ります。質問をしないということは、ほかの人とコミュニケーションをとっていないということになります。

この質問の仕方によって、コミュニケーションや仕事がうまくいくかどうかが決まるのです。(「はじめに」より)

にもかかわらず、話し方、聞き方を意識している人はあまりいないと指摘するのは『仕事のできる人が絶対やらない質問の仕方』(松本幸夫著、日本実業出版社)の著者。

とくに、「絶対にしてはいけない質問の仕方」が注目されることは本当に少ないというのです。

そこで本書では、質問のスキルをシーン別にまとめているわけです。きょうはそのなかから、第3章「社内で『評価が上がる人』はこう質問している」に焦点を当ててみたいと思います。

前の人の発言を無視してはいけない

何十人もの参加者がいる会議などの場合は、発言ひとつするにも勇気がいるもの。

でも、そんな状況下で自分の印象を残しておきたい場合の策があるのだと著者は言います。

発言する際、会議の参加者中の偉い人のことばを引用するという方法。たとえば「○○課長の意見には賛成です」「社長のことばを引用しますが」などと言えば、必然的に発言を聞いてもらえるというのです。

たしかに耳にした当人は気恥ずかしさこそ多少はあったとしても、嫌な気分にはならないはず。そして、印象にも残りそうです。

自分を売り込みたいと考えたとき、「私はこう思います」「自分の意見では」などと、自分を売りこみがちです。ところが、これは逆効果になることが大半です。

あまりにも強調しすぎると、優れたアイデアであればあるほど、生意気だと思われたり、足を引っ張られたりすることになります。(93ページより)

社内には、政治家の派閥にも似た「見えない力学」が存在しているもの。そこで、影響力のある人の力を借りてしまおうという考え方です。

ただしそれは、「事前に根回しをしろ」という意味ではないと著者は記しています。

意識してすべきは、会議に出た際、実力者や直前の人がした発言を傾聴すること。ただ聞き逃すのではなく、引用するために耳を傾けることが重要だということです。

そしてその際には、キーワードをメモにとっておくことも忘れずに。ただしメモに集中しすぎると、中身を理解することがおろそかになってしまう危険性もあるので注意が必要。

実際の質問に必要となりそうなキーワードだけをメモしておけばOKだそうです。

ちなみにほかの人が発言しているとき、「自分はどのように話すか」「どう質問するか」に注意が行きすぎてしまうことにも注意が必要。

自分の発言にばかり意識を向けすぎていると、前の人の話を集中して聞けなくなり、結果として前の人がどんな発言をしていたのかわからなくなってしまう恐れがあるからです。

前の人の発言をよく聞いていなかったとすると、その人の発言の引用をすることも困難になります。

そういう意味でも、質問は短く、引用は正しく。これを両立して行うことが大切だということ。(92ページより)

自分の発言に注目してもらうには?


× NG 「では私の件を述べたいのですが、よろしいでしょうか?」会議では自分のコメントの許可を得る場合もあるでしょう。ただ、ほかの人の意見を引用したり、賛成する意思などを一言加えた上で、自分のコメントの許可を得ましょう。

○ OK 「本部長の御意見に賛成ですが、一言そこに意見を加えたいのですが、聞いていただけますか?」

偉い方の意見に賛成と言えば、「言わないでくれ」とはなりません。しかも、全く違う角度からの意見でも、ほかの参加者は聞かざるをえなくなります。(97ページより)

会議ではまず人の意見を無視しない

質問する場合、「なにを話すか」「なにを質問するか」というアウトプットばかりを考えてしまいがち。しかし本来、その前段階として「相手の話を聞く」という段階があるはずです。

だからこそ、他人の意見・主張・発言に集中する必要性が生じるわけです。

それがとくに顕著なのは、社内会議やミーティング。日時があらかじめ決められている定例会議や、顔合わせ的なミーティングにおいては、ルーティンに近いおきまりの発言があるもの。

ところがその一方、緊急に招集されたとか、日ごろは顔を合わせない部署の人間が参加するとか、上層部のメンバーが集まる場合などもあります。

ケースはさまざまだということですが、そこで習慣にすべきだと著者が主張しているのは、自分が発言する前に、人の話を聞いて、それをまとめること。

そしてその際には、意見をまとめる3大キーワードを使うといいそうです。

「要するに」

「結局」

「まとめますと」

(123ページより)

このうち自分が口にしやすいことばを、声のトーンを変えて大きく、はっきり、出席者がわかるように、数秒の間を空けてから「聞いた意見の総括」として述べるというのです。

ただし、ここで注意したいことがあるのだそうです。同じ中身であっても、肯定表現を用いるべきだということ。

予算が足りないのでムリです

予算が○○円準備できれば可能です

他部署の協力がないから難しい

他部署の協力があればできる

時期尚早で準備期間が足りない

準備期間があれば可能

(125ページより)

これらは、ムリ・難しい・足りないという表現を肯定的に言いなおしただけ。しかし、そこに意味があるということです。

なぜなら否定的な表現ばかりを用いると、発言者本人も否定的な人間だと思われてしまいがちだから。

しかし「火曜はムリ」のかわりに「金曜の午前でしたら間に合います。大丈夫です」と言ったとしたら、かなりニュアンスは変わってくるわけです。(122ページより)

周囲のコメントを無視していませんか?


× NG 会議では自分をアピールして印象を植えつける。だから人の意見を批判・否定すべき好戦的に会議に臨んで、もし勝つことができても一過性なものです。参加したメンバーは翌日からも出社しますし、あなたが気分よく仕事に励めないのは間違いないでしょう。

○ OK 会議では発言者の話をよく聞いて、短くポイントをまとめると評価される。むしろ人の名前を入れるくらいでよい


社内では孤立するのではなく、協力してもらう戦略で臨みましょう。他人のコメントを短くまとめることは、協力者を増やすことにもつながります。このことを意識して質問などの発言をしましょう。

(129ページより)


読みたいと思った章から読める構成になっているため、必要なところだけを抽出することが可能。

つまりは自分の好みや目的に応じて、さまざまな使い方ができる一冊だと言えそうです。

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印南敦史

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