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「心の知能指数=EQ」を高めれば、人間関係の管理力も向上できる

「心の知能指数=EQ」を高めれば、人間関係の管理力も向上できる
Photo: 印南敦史

人生の成功のカギは教育でも経験でも、知識でも知力でもない。成功と失敗を分けるのは、この社会ではあまり気にされていないなにか。

EQ 2.0 「心の知能指数」を高める66のテクニック』(トラヴィス・ブラッドベリー&ジーン・グリーブス 著、関 美和 訳、サンガ)の著者は、そう主張しています。

たしかに、頭がよくて高い教育を受けたはずの人がなかなかうまくいかなかったり、逆にスキルや才能面で劣る人が大成功を納めたりすることがあるものです。

でも、なぜそういうことが起こるのでしょうか?

答えはかならずと言っていいほど、「心の知能指数(Emotional Intelligence)」、すなわち「EQ(Emotional Intelligence Quotient)に関係がある

。IQや経験と比べて、心の知能指数はわかりにくいし、測りにくい。もちろん、履歴書を見てもわからない。しかし、その力は否定できない。

今では、「心の知能指数」や「EQ」という言葉を知らない人も少なくなった。EQについては以前から話題になっている。しかし、EQ力を養えている人は少ないようだ。(「まえがき」より)

EQというコンセプト自体はそれなりに浸透しているにもかかわらず、生活のなかでそれが実践されていないのも事実。著者によれば、理由は2つあるのだそうです。

まずひとつは、EQへの理解不足。そしてもうひとつは、EQが育つものだとは考えられていないこと。つまりEQは、生まれながらの気質だと思われているということです。

そこで本書では、「EQとはなんなのか」「人生のなかでEQをどのように管理したらいいのか」について解説しているわけです。

EQとは自分自身と他者の心の動きに気づき、それを理解する力である。また、その気づきを使って自分の行動や人間関係を上手にマネジメントする力でもある。

EQはどんな人の中にもあるが、目に見えにくい。EQの力が、行動をコントロールできるか、複雑な社会の中をうまく進めるか、賢い判断によって前向きな効果を出せるかを左右する。(30ページより)

きょうは、コミュニケーションについての考え方が紹介される第8章「人間関係管理力を高めるためのテクニック」に焦点を当ててみたいと思います。

心を開いて好奇心を持つ

人間関係を築き、維持することは仕事の一部。たとえ同僚がひとりしかいなかったとしても、その相手とうまくやっていくことも重要な仕事だということ。

もちろんそれは、職務内容に明記されていないことでもあるでしょう。しかし、もし仕事で成功したいのであれば、心を開いて好奇心を持つことが重要だということです。

でも、「心を開く」とはどういうことなのでしょうか?

心を開くとは、あなた自身について他者に打ち明けることだ。

(中略)心を開くことにはメリットがある。周囲の人があなたのことを理解していれば、誤解される可能性は減る。(199ページより)

もちろん、心を開いたとしても、それだけで人間関係がすべてうまくいくわけではないでしょう。しかしそれでも、他の人の話に興味と関心を持つことが大切だということ。

いってみれば、好奇心が必要とされるわけです。

なぜなら、他者に興味を示し、他者から学べば学ぶほど、その人のニーズに応じることができるようになり、相手を誤解することも少なくなるから。

なにかを訊ねるときには、社会的認識スキルを使い、ちょうどいいときと場所を選ぶのがいいそうです。

ちなみに、このことについて著者は、「サンタクロースが子どもに『クリスマスになにがほしいか』を聞くように、相手に寄り添って欲しい」と記しています。

そして、批判的なトーンにならないように配慮することも重要。

こちらの質問に対して相手が心を開いてくれたら、その人についてなにかを知り、人間関係に役立てることが可能になります。また相手も、興味を示してもらえたことに感謝してくれるはず。

だからこそ、新しい人間関係をはじめる場合も、すでに築いた関係でも、関係が壊れそうになっていたとしても、1日のなかで数分を割くことが重要。

そして「どの人間関係に注意を払ったほうがいいか」を考え、その相手に心を開いて好奇心を持ち、相手のことを知る努力をすべきだということです。(199ページより)

相手を混乱させない

わたしたちは、いつも交差点で信号を見て安全を確かめる。信号が壊れて、点滅したりまったく信号が灯らなくなれば、交差点にはルールがなくなる。誰もが混乱する。

道を渡ろうと思ったら、用心に用心を重ねて周りを見回してから、やっと足を踏み出すことになる。信号がきちんと動いていることで、わたしたちは交通システムを信頼できる。

赤なら止まり、青なら安心して進む。人間関係の中でわたしたちが送る信号も、同じ役目を果たしている。(204ページより)

感情は、反応や仕草を通じて表に現れるもの。ことばで取り繕っていても、仕草で現れるのが本音だということです。

たとえば「いい仕事をした」とスタッフをほめても、しかめ面で抑えた声のトーンだったとしたら、相手は「信じていいのだろうか」と困惑することになるでしょう。

いうまでもなく、ことばと仕草がちぐはぐな状態だからです。人は聞いてことより、見たものを信じるわけです。

ことばと仕草がちぐはぐだと、相手は混乱してイライラすることになるかもしれません。そして、それが重なるとコミュニケーションの問題が高じ、人間関係にも影響することになるでしょう。

そのため、自分の感情を認識し、「どの感情をどのように表すか」を意識的に決めるといいと著者は言います。

とはいえ、ことばと仕草がちぐはぐでいい場合もあります。たとえば会議中に腹を立てたとしても、その場では本音の感情を出すべきではないという場合もあるわけです。

つまり、怒りを出すタイミングは選んだほうがいいということ。そして怒りが前向きな結果につながるときに、表に出すべきだという考え方なのです。

もし強い気持ちが湧き出てきて抑えられない場合には、「そのときに、なにが起きているか」を説明するべきす(たとえば、「いま、私の気が散っているように見えたとしたら、今朝心配な電話があって、そのことを考え続けているからなんです」など)。

そこで著者は、ことばと仕草を合わせることに注意を向けてみようと提案しています。

もしも誰かに「問題ない」と言いながら、仕草では別の信号を送っていたとしたら、そのことに気づいてほしいとも。

その結果、自分がちぐはぐな信号を送っていることに気づいたら、ことばと仕草をもう一度合わせるか、「なぜそうなったのか」を説明したほうがいいといいうわけです。(204ページより)


たとえばこのように、EQを高め、活用することは決して難しいことではないようです。だからこそ、自身の日常に取り入れるだけの価値はあるはず。

なお本書には、大きな特徴があります。巻末にある本書の巻末にあるパスコードを使えば、オンラインテストにアクセスすることが可能なのです。

そこでテストを受けると、自分のEQスコアと、「自己認識力」「自己管理力」「社会的認識力」「人間関係管理力」という4つのコアスキルが理解できるようになっているわけです。

つまりテストの結果を参考にしながら伸ばしたいスキルを選び、訓練することでEQを向上させることができるということ。

自身のEQを把握し、向上させたいという意思があるなら、ぜひとも本書を活用したいところです。

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Photo: 印南敦史

Source: サンガ

印南敦史

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