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外国人の部下とうまくコミュニケーションをとるコツ

author 鈴木拓也
外国人の部下とうまくコミュニケーションをとるコツ
Shutterstock.com

日本国内の外国人労働者数は、ここ5年で倍以上に増え、150万人に届きそうな勢いです。

空前の人手不足と改正入管法の影響で、外国人労働者の数はこれからも増加するでしょう。

最近は、今まで日本人だけであった業種・職種にも、外国人部下が入社しています。

ところが、期待とは裏腹に日本人マネージャーの多くは彼らに対し、「指示通りにやってくれず、期限も守らない」 といった不満を抱いています。

どうして、このような不満が生じるのでしょうか?

問題はむしろ日本人上司にあった

問題の原因は、外国人ビジネスパーソンの側でなく、日本人上司の側にあることが多い。

こう指摘するのは、一般社団法人キャリアマネジメント研究所の代表理事を務める千葉祐大さんです。

千葉さんは、著書の『異文化理解の問題地図』(技術評論社)で、外国人部下が指示に従わないのではなく、上司からの指示の伝え方に問題があると指摘します。

問題のある伝え方とは、「伝わりにくい言葉を多用する」「伝わりにくい話し方をする」「言わなくてもわかると思っている」の3パターンに集約されるそうです。

ここを治さないと、外国人部下とのコミュニケーションの溝は深まるばかりだと述べています。

以下、具体的に何が問題なのか、パターン別にちょっと見ていきましょう。

伝わりにくい言葉を多用する

千葉さんが言う、「伝わりにくい言葉」とは。あいまい言葉、カタカナ言葉、専門的すぎる言葉の3種類だそうです。

あいまい言葉とは、例えば「例の報告書」「できるだけ早く」「キリのいいところで」といった、日本人ビジネスパーソンなら特に問題と感じない表現。

外国人視点だと、「どの報告書なのか?」「何日、何時までになのか?」「どの時点で、なのか?」と、クエスチョンマークが頭の中でいくつも並んでしまうのだそうです。

カタカナ言葉も、問題を生みやすいものだそうです。例えば「タイトなスケジュール」。英語圏の外国人ならわかるはずと思って多用すると、落とし穴にはまります。

千葉さんは、カタカナ言葉については、次のように指摘をしています。

カタカナ言葉は、日本人でも本当の意味を理解していない人が多いといいます。

そもそもカタカナ言葉は、うまく日本語に置き換えられないからカタカナで表現するのです。

この時点で、すぐにはぱっと理解できないと言っているようなもの。日本人が「生煮え」で使っている言葉を、外国人が正しく理解できるはずがありません。

(本書21pより)

「意外とカタカナ言葉は伝わらない」―この点は肝に銘じた方がよさそうです。

そして、専門的すぎる言葉。本書で一例として挙げられているのは、「サッカー」。職場はコンビニエンスストアです。

ここでサッカーと言えば、「商品の袋詰め作業」を指します。

日本のコンビニで働くことになった留学生が、店長から「サッカーのやり方を教えるから」と言われて驚いたそうですが、別業界にいれば日本人でもわからない専門用語の連発はNGです。

伝わりにくい話し方をする

千葉さんによれば、「無表情」「ボソボソと話す」「滑舌が悪い」が、伝わりにくい話し方の三悪となります。

これには明確な理由があって、それは、来日前に外国人部下が使っていた日本語のリスニング学習教材は、例外なく「とてもきれいで聞き取りやすい日本語」であったから。

そのため、抑揚なくボソボソと滑舌悪く繰り出させる上司の指示は、うまく聞き取れません。

また、日本語の聞き取りをマスターしていないことに配慮して、ゆっくり話すのはあまり効果的ではないとも。滑舌さえよければ、普通のスピードで話してOKだそうです。

言わなくてもわかると思っている

日本人同士の会話では、1を聞いて10を知ることが、当然のごとく求められます。しかし、この話術が通用するのは、世界広しといえども日本くらいのもの。

本書には、日本在住12年になる中国人の言葉として「日本人とうまくコミュニケーションするには“テレパシー”が必要だ」というのがあります。

ここは文化の違いなどと言って、のんびり構えず、しっかり対処する必要がありますね。


問題のある伝え方が把握できたところで、では、どのような対策を取ればよいのでしょうか?

これについても、本書では詳しくアドバイスがなされています。

重要なことは最低3回繰り返す

国際的に見て、日本人の1日あたりの会話量は少なく、中国人やアメリカ人の約半分だそうです。

この一因として、指示を繰り返さず、おまけによく端折る言い方をする、というのがあります。

日本人の同僚はともかく、外国人部下相手にこのやり方は問題ありです。

千葉さんは、「重要な内容であれば、最低3回」は繰り返すのが基本だと言います。

全く同じ内容とするのはさすがに不自然なので、工夫して言い換えながら1日3回。例えば、以下のように。

1回目「グエンさん、いまはクリーンオフィス運動期間ですから、明日までに机の上を整理してください」

2回目「これは大切な仕事です。明日までに机の上の書類をすべて引き出しの中に入れて、ゴミも捨ててください」

3回目「いいですか、明日の終業時間までですよ。必ず机の上に何もない状態にしてください」

(本書33pより)

日本人の部下に言ったら相当煙たがられそうですが、外国人の場合は、これくらいくどい言い方をしても、まったく問題ないそうです。

言葉の量は5割増しで

千葉さんは、指示内容のボリュームとしては、日本人相手に「5割増しくらい」がちょうどよいとアドバイスします。これについても、例が載っています。

悪い例「張さん、例の報告書、できるだけ早くまとめといて。先週打ち合わせしたやつね。今度の部長会議で急遽私がプレゼンすることになったんだ。スケジュール的にちょっとタイトなんだよ」

良い例「張さん、新製品の消費者調査の報告書を明日までにまとめてください。先週の金曜日に打ち合わせをした件です。ほかの仕事は後回しでいいので、これを最優先でやるようお願いします。

その際には、調査の信頼性を上げるために、北村先生のコメントと補足アンケートの結果も報告書の中に入れておいてください」

(本書14p、34pより)

また、仕事内容の理由と目的も告げ、イエスとノーをはっきりさせるのも重要。

これもしっかり盛り込まないと、外国人部下に仕事を放置されるリスクが出てしまいます。

口角2割アップを心がける

外国人部下と接するときは、作り笑いでよいので、常に笑顔でいることが大事だと、千葉さんは力説します。

コツは、口角2割アップ、目じり2割下げ、少しだけ歯を見せる、です。

この話し方には、滑舌も改善されるという副次効果もあるそうです。笑顔がどうしても苦手な人は、「発言の最後に“無言のイ”をつける」、「ボールペンや割り箸を1日30秒くわえる」トレーニングが良いそうです。


「上司からの指示の伝え方」の紹介だけで長くなりましたが、これでも『異文化理解の問題地図』のほんの1章のテーマに過ぎません。

このほかにも、「主張だらけ」、「チームワーク不全」、「すぐに辞める」など、外国人部下のマネジメントに不慣れな上司が、対策をとっておくべきテーマが山盛りにあります。

今いる外国人部下に困っている人も、部署に新たに外国人部下がやってくるという人も、コミュニケーション改善に役立つ1冊として本書はおすすめです。


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Image: Shutterstock.com

Source: 『異文化理解の問題地図

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