特集
カテゴリー
タグ
メディア

マネー特集─MONEY SHIFT 2019

中古マンションをお得に探せ。マイホームの価値観は、どう変わったのか?

中古マンションをお得に探せ。マイホームの価値観は、どう変わったのか?
LIFULL HOME'S 総研所長 島原万丈さん

いつかはマイホーム。そんな価値観は、もう変わってしまったのかもしれない。

2018年の東京都区部の新築マンションの平均価格は、7142万!(※1

2020年東京オリンピック特需での建築資材の高騰、人手不足、土地の高騰などが相まって、いわゆる普通のビジネスパーソン世帯には、まず手が届かない価格になっています。

一方、少し郊外や交通の便が不便なところに目を向ければ、それこそ3000万円台からと手が届きそうな価格。

でも、そこから毎日通勤できる? 週5日通勤ラッシュに我慢できる? 本当は、Noだけど、でも…

夢のマイホームは、手に入る?

窓辺で本を読む親子
Image: Gettyimages

都内の利便性の良いところにマイホームを手に入れるのは、もう難しくなってしまったのでしょうか?

一戸建てなら買える? さらに、オリンピック明けに価格が暴落するかもという噂の真相は?

住まいの自由と住まいの未来を考えるLIFULL HOME'S 総研所長 島原万丈さんに話を聞きました。

やっぱりマイホームは欲しい?

ダイニングに集まる家族
Image: Gettyimages

「いまどき、家買うなんて。家族の形態や住みたい場所に合わせて賃貸で住み替えればいいのに…」という意見や、アドレスホッパー定額制コリビングなんて話も聞きます。

けれど、まだまだ革新派であり、ごく一部の人たち限定の志向なのかもしれません。

それこそ、今は超低金利(住宅ローンの変動金利は、0.5%前後、固定金利でも35年で1.3%程度/2019年4月現在)だから、頭金(貯金)が少なくても、マンションが高くても、場所を選べば買えないこともないから、結婚や妊娠・出産を機にマイホームを買うカップルは多いと感じています。

筆者(30代後半)の周りを見渡すと…

都内や近郊に暮らす友人カップルの8割が、新築を購入。そのうち9割がマンション、1割が建売一戸建て(もしくは注文住宅)の購入者といった割合。

そう、買いそうな人は、みんなすでに買っているのです。夢のマイホームはやっぱり欲しい?

「マイホームへの価値観」は大きく変わった

東京の都会の景観タワーマンション
Image: Gettyimages

昭和の時代には、20代シングル時代は東京で過ごし、結婚して子どもができたら、妻は専業主婦になり、郊外に一戸建てを買うという流れが一般的でした。

しかし今、東京ではフルタイム勤務の共働き世帯が増え、夫婦の形も家族の形も変わっていく中で、住まいへ求めるものが大きく変わったのだと言います。

「郊外のような広くてゆったりできる空間より、圧倒的に利便性と駅近を追求する傾向になりました」

これは、バブル崩壊後から都心回帰が進み、武蔵小杉や湾岸エリアなどこれまで住宅地ではなかった利便性の良いところに、マンションが大量に供給されたことも影響しているよう。

そして、バリバリ働くDINKSや小さな子どもを抱える時間のない共働き世帯がこぞって『職住近接』を目指しているのも大きな要因のひとつ。

「人口減少の影響で、多くの地域で土地の価値が下がることを知っているから、『資産価値』も意識せざるをえなくなりますよね。

湾岸のタワーマンションがいい例です。

オフィスのある都心と近いという時間価値があるから、多少割高と感じてもみんなこぞって買う。みんなが欲しいものは値段が下がらない。

東京オリンピックが終わったら暴落するのでは?と言っている人もいますが、今のところそれはないでしょうね」

35年ローンで買うのは、もう古い?

ベッドルームに自転車
Image: Gettyimages

高い家賃を払い続けるなら、買った方がお得だというのは、よく聞く話。

でも、この不透明な時代に長期ローンを組んで、マイホームを買うのは、もはやナンセンスなの?

「都心では、買うのも高いが賃貸マンションの家賃も高い。

だったら手元に資産として残るものをと考えるのは自然な考えで、 超低金利の今、買うのは悪くない選択肢だと思います。

収入の範囲で払える金額のものを買うのはもちろんですが、頭金は少なくできるだけ長く借りて、繰り上げ返済を考えるくらいなら、その分、他に投資をして、資産を増やすことを考えてもいいのでは?」

お得に住むには、ズラす!

「働き方や住まい方の選択肢が広がったのに、マイホームを買うことで、縛って人生の選択肢を狭めてはいけない。

買うなら資産価値の下がりにくいものを買うべきです。しかし、だからと言って無理に高いものを買って、月々の返済で生活が苦しくなってしまったら、元も子もありません」

快適な暮らしのために買ったのに、ローンに縛られ、転職もできない、引っ越しもできないと自由を失ってはいけない…

では、どうやって家を探せばいいのでしょう。

みんなが選ぶものから、ズラしてみるとかなりお得になります。

たとえば、人気が集中している首都圏は、価格が高騰しているけれど、 それに対して、地方都市は、今不動産がすごく安くなっています。

だから、拠点を移すのもあり。

交通の便が良い地方都市で、タダ同然まで安くなった中古住宅に住み、普段はリモートワーク。必要な時は出張する。泊まる必要があるなら、手軽な民泊。忙しい時期だけ都内にシェアハウスを借りて住むのもいいのでは?」

東京近郊に住みたいなら、中古物件を探せ

とはいえ、リモートワークは、現実的じゃなく、都内近郊に住む必要があるなら。

「中古マンションを探して、リノベーションをして住めばいいんです!

新築が高くて見つからないなら、築年数が古いものに視点をズラせば選択肢は広がります。

中古マンションは、新築に比べると割安ですし(一部ヴィンテージマンションなど例外あり)、駅近でロケーションの良い物件なら資産価値も落ちにくい。

管理メンテナンスさえ適切にしていれば、築30年なんて全く問題ありません。100年は持つと言われています」

中古マンションの注意点、中古リノベってどうなの?

フローリングを張り替える男性
Image: Gettyimages

新築マンションでは手に入らない、注文住宅のようなオーダーメイドの家づくりも、中古リノベでは叶います

中古物件を選ぶ際に、特に気をつけたいポイントは、

数ある中古マンションからより良いものを選ぶポイント

・新耐震基準対応(※2

・立地(利便性・地盤・周辺環境)

・管理組合がきちんと機能し、適切に長期修繕されているか

「新耐震基準になってからのものを選べば、今の新築マンションと同じ耐震基準(タワーマンションの免震構造などの新技術を除く)なので、耐震性はまず問題はないはず。

新築に比べるとリスクは高くなりますが、旧耐震基準が絶対だめとは考えていません。

直下型の阪神淡路大震災の時、旧耐震基準のマンションで中破・大破した割合は6.5%です。その数字を高いとみるか低いとみるかは、各自の判断になります。

・地盤のよい地域にあること

・1階がピロティーになっていない

・建物が複雑な形をしていない

などに注意すれば、リスクを下げることができます。

室内の設備は、古くなっていても、作り変えることは可能です。

建て替えがあるのでは? と気にされる方もいますが、現実問題としてマンションの建て替えはほぼ不可能と考えて問題ありません。

気にするべきは、リフォームで変えられないサッシの高さ、柱や梁が許せるか、そして、マンションの共有部の管理状態や適切にメンテナンスされているか、などが重要ですね」

3LDKはもう古い? 間取りの価値観は変わる

小上がりのあるリビング
Image: Gettyimages

リノベを選ぶ人が増えている中で、これまでの部屋の間取りのあり方も変わってきているそう。

これまで、くつろいで眠るためだけだった家が、仕事場にも、人を呼ぶ場所にもなる今、働き方や暮らし方に合わせてニーズが変わってきているのです。

以前なら、<住む人数-1=理想の部屋数>と言われていました。

たとえば、4人家族で住むなら3LDKがいい。3人なら2LDKがいいね、といった具合。しかし、これは不動産業者がその時の暮らし方に間取りを当てはめたものでした。

「3LDKという間取りが好まれた、均質なファミリー世帯が同一性の高い暮らし方をしていた時代とは違うのだから、本当に自分のあった住まいとは? どんな風に暮らしたいか?をもっと考えてみるとおのずと正解が見えてくるかもしれません」

部屋の間仕切りをなくして広いワンルームのように作ったり、マンションの室内に土間や小上がりを作ったり、暮らし方に合わせて空間作りをする人も増えています。

「家族で一緒のテレビを観る時間は減っているので、リビングの広さを重視するよりも、人が集まる場所としては、キッチンとダイニングを重視する方がいいかもしれません。

今は、まだ部屋数で探すのが一般的ですが、間取りはもっと自由になってもいいはず。

従来の部屋のカルチャーはどんどん変わっています。

そうすれば、『家族は4人になる予定だから、3LDKの新築マンションを探そう』という、固定観念にとらわれず、理想の家探しができるようになるかもしれません」

リノベをすると、中古で売りづらくなる?

部屋の壁にペンキを塗るカップル
Image: Gettyimages

もっと自由に!と言いつつも、 個性的に作りこむと、中古で売りにくいという現実があるのも事実。

リノベするなら、ある程度は妥協も必要になるのでしょうか。

中古マンションの価格は、築年数と共に下がり、おおよそ20年を超えるとそれ以上は下がりにくくなります。

既に価格が安定している中古マンションなら、市況に応じて上下はしても、大きく下がることもないはず。

たとえば、築30年の中古マンションを4000万円で購入し、1000万円かけてリノベし10年住む。その後、購入価格と同額で売れたら、その10年間にかかった費用は1000万。

つまり、年100万円(月額8.3万円)で、賃貸物件や新築マンションでは実現できないような自分好みの空間に住めたということ!」

マンションか一戸建てか?

住宅地の俯瞰写真
Image: Gettyimages

「マンションは、立地や条件にもより、中古になっても売りやすいものもありますが、流動性という面では、戸建て住宅は厳しくなりそう」と島原さん。

今、都心近郊では、狭小3階建て100平米程度の戸建て物件が、多く売り出されており、マンションと比べ価格が手頃だと人気もあるのだそう。

戸建ては、マンションのように、毎月の管理費や修繕費がかからないこともメリットです。

「将来の売却を考えるとき、忘れてはいけないのは、

現在の不動産市場で、木造住宅は築年数が25年にもなれば、建物自体の価格はほぼゼロで査定されるということです。

日本の世帯構成は、すでに単身世帯が最多のボリュームを占め、ファミリー世帯はむしろ少数派になるので、一戸建ての需要は減っていくと考えられます。

また、一般に戸建て住宅は駅から遠い物件が多いので、今の市場トレンドでは不利です。

長く住むつもりなら、建物の管理や修繕が必要になるのは言うまでもありません。自分で計画的に資金をプールしておく必要があります。

さらに、年齢を重ねて階段の上がり降りをする、3階建てはどうだろう? というところまで想像して、どのように暮らしたいのか考えることも必要です」

「一生同じ家に住むことはない」と考えて選ぶ

引っ越し準備中のダンボール
Image: Gettyimages

以前は、一度マイホームを買ったら、死ぬまでそこに住むというのが一般的でした。

けれど、今は家族構成や働き方に合わせて、住み替えることも難しくありません。

「一緒に暮らす人数が一番多いところに合わせて、部屋数の多い、広い家を買うのが当たり前」だったけれど、

たとえば、

  1. 利便性の良いところに小さめのマンションを買う
  2. 家族が増えて手狭になったら貸し、郊外や実家の近くなどで賃貸に住む
  3. 子どもが独立したら、またマンションに戻る

そんな暮らし方だって、想像できるのです。

「一生住まない(可能性がある)からこそ、資産価値を気にしつつ、自分や家族にとって、本当に価値のあるものを選ぶ必要があるんです」

マイホームは、「長く住むからこそ価値のあるもの」から、「今のニーズを叶えてくれる価値のあるもの」に変わってきているようです。

家を買いたいと思ったら、単純に価格や間取り、広さだけではない、本質に目を向けてみる。

今本当に住みたい家ってどんな家なのか?

実現したい暮らしってなんだろう?

はたまた幸せなマイホームとはどんなもの?

と、まずは自問自答を、そして改めて家族やパートナーと考えてみることからはじめてはいかがでしょうか。

島原万丈さんプロフィール

株式会社LIFULL/LIFULL HOME'S 総研所長

1989年株式会社リクルート入社。2005年よりリクルート住宅総研。2013年3月リクルートを退社、同年7月株式会社ネクストでHOME'S総研所長に就任。他に一般社団法人リノベーション住宅推進協議会設立発起人、国交省「中古住宅・リフォームトータルプラン」検討委員など。 [LIFULL HOME'S 総研]

※1:不動産経済研究所 マンション価格推移

※2:[新耐震基準]1981(昭和56)年6月1日以降の建築確認において適用されている基準。震度6強~7程度の揺れでも倒壊しないような構造基準として設定されている。

あわせて読みたい

家を買う or 賃貸、自分に合っているのはどっち? 損をしないために判断となるポイントとは

社会に出たら「婚活」より先に「家活」をすべき理由とは?


Photo: ライフハッカー編集部(島原さん)

Image: Gettyimages

ライフハッカー[日本版]編集部 丸山

swiper-button-prev
swiper-button-next