特集
カテゴリー
タグ
メディア

HOW I WORK

音楽を耳で分類するプロ。音楽配信サービスPandoraのアナリスト、ハンナさんの仕事術

音楽を耳で分類するプロ。音楽配信サービスPandoraのアナリスト、ハンナさんの仕事術

敏腕クリエイターやビジネスパーソンに学ぶ仕事術「HOW I WORK」シリーズ。今回は音楽配信サービスPandoraの音楽アナリストを務めるハンナ・グラス(Hannah Glass)さんの仕事術です。

Pandoraは、リスナーの好みに合わせて自動選曲する音楽キュレーション機能を持つパーソナルなネットラジオです。

Spotify、Google、Apple、YouTubeといった強豪居並ぶ中で、Pandoraが勝ち続ける秘訣は、プロの音楽アナリストがPandoraで再生する楽曲を1曲ずつ、ジャンルやテンポ、楽器などの属性により細かく分類してデータベース化する「ミュージック・ゲノム・プロジェクト」にあります。

これほど膨大な情報量を人間の耳で分析しているなんて、驚きですね。

ハンナ・グラスさんは、Pandoraのシニア音楽アナリストとして、まさにその分析プロセスと自動選曲される曲の選定に携わっています。演奏家としても活動しているハンナさんは、どのような経歴の持ち主で、Pandoraではどのような仕事術を駆使しているのでしょうか。

居住地:カリフォルニア州オークランド

現在の職業:シニア音楽アナリスト

現在のPC: MacBook Air

現在の携帯端末:iPhone 5C

仕事の仕方を一言で言うと:臨機応変

── まず、略歴と現在の仕事に至るまでの経緯を教えていただけますか?

兄と私は、母はピアノの先生、父はベース奏者という音楽家の家庭で育ったので、さまざまなジャンルの音楽を聴きながら成長し、クラシック音楽のレッスンを受けました。

私は、カリフォルニア大学バークレー校でも、音楽と修辞学を勉強しましました。大学時代は、アカペラの演奏、手配、演出に携わり、KALXという学生運営のFMラジオ局でボランティアとしてバロックバイオリンの演奏をしました。

卒業後、キャンパスから近いテレグラフ通りにあるラスプーチン・ミュージックに就職しました。

こうした経験のすべてが、Pandoraの音楽アナリストの仕事をするとき役立っています。子供時代に多様なスタイルの音楽を聴きながら育ち、大人になってからは、実践的な経験をしたことで、私の耳はずいぶん鍛えられたと思います。

キーボードの前で微笑む少女
Image: Lifehacker US

──最近の1日の流れを教えてください

午前中

起床してスマホでブラウジング。コーヒーを作り、植物に水をやり、クロスワードパズルをします。たいていは自宅勤務しているので、身支度も通勤もしないですみます。

耳にするもの:アラーム(Siaのクラウド)、ミームビデオ、お湯が沸く音、小鳥のさえずり、犬の鳴き声、初期のジャズ。

午後

「ミュージック・ゲノム・プロジェクト」のインターフェースを使って、曲を分析してカテゴリー分けします。私はキュレーションはしません。

ハーモニー分析やその他の重要なリスニングスキルを使ってデータを入力するだけです。どの曲にもその曲ならではの特徴があるので、私はそれをマッピングしているような感じです。

耳にするもの:メールの着信通知、ラップとヒップホップの新曲(15-20分間)。たいていは、電子トラップビートに合わせてラップしている男性ラッパーのものを聴きますが、たまに、伝統的なケルト音楽を聴いて、気分転換します。休憩したいときは、ピアノに向かい、ロマンチックな曲やクラシックを初見で弾きます。

私の場合、リハーサルや演奏があることが多いので、仕事の遅れを取り戻し、翌日の準備をして、夕食を食べると、遅い時間に帰宅することになります。

多様な音楽に興味を持っていたいので、月曜日は12人でアカペラの練習、火曜日はスタジアムポップロックバンド、水曜日はロックトリオ、木曜日はブルーグラス・ストリングバンド、土曜日は弦楽四重奏、日曜日はアルゼンチンのミロンガ・アンサンブルという具合です。寝る前にもちょっと曲の分析をします。

耳にするもの:Pandoraのアプリ(リハーサル会場に移動する運転中に聴いています)。

自宅に戻ると、2、3時間曲の分析。寛ぐときはLoFiヒップホップを聞きます。ろうそくの燃える音。最後は沈黙。

── 「これがないと生きられない」というアプリ・ソフト・ツールは?

仕事では、Wi-Fi接続が絶対必要! あと、Lyftなしでは生きていけません。メトロノームはいつでも役に立ちます(私はスマホの無料アプリを使っています)。

バイオリンを弾く女性
Image: Lifehacker US

── 仕事場はどんな感じですか?

私は、ラップトップ、孤独になれる快適な折り畳み式ヘッドフォン、トラベルサイズのテンキーボードがあれば、どこにいても仕事ができるので、わざわざ仕事場と言えるものは存在しないと言えます。

パリのカフェや高速道路を走るツアーバスの中で仕事をすることもありますが、自宅の台所にあるテーブルで仕事することが一番多いです。オークランドの自宅の庭で、太陽の光を浴びながら仕事をするのは大好きです。

── 音楽を聴く習慣について教えてください。仕事からの影響はありますか?

私が音楽を聴くときの習慣はたびたび変わりますが、耳をリセットするためにときどき沈黙が欲しくなります。

音楽を分析して生計を立てるようになってからも、音楽に飽きることはありません。かなり長い時間ラップ音楽を聴いていますが、それはあくまでも仕事で聴いているだけです。

何年も仕事で分析的に音楽を聴いてきたので、音楽を仕事で聴くときと個人的に聴くときの切り替え方はわかっています。

── お気に入りの時間節約術やライフハックは何ですか?

カバンにスナックを常備しておくことです。

ミュージシャンをしていると、特に夕方は、時間に追われながら移動することが多いので、夕食を食べる暇がないことがあります。ですから、いつもカバンにスナックをたっぷり入れてあります。

曲分析の入力画面
Image: Lifehacker US

──仕事場で採用しているプロセスで、興味深いもの、珍しいもの、こだわりがあるものがあれば教えてください

私の仕事で最もおもしろく感じるのは、Pandoraのアナリストが「ミュージック・ゲノム・プロジェクト」のさまざまな「遺伝子」について議論する、月例グループミーティングに参加することです。

ラップとヒップホップのミーティングでは、歌詞や音楽的矛盾について話しあいます。職場で開くのははばかられるよう素材が多いので、楽しいミーティングです。

他に、やりがいを感じる点としては、「ミュージック・ゲノム・プロジェクト」は、議論や改訂を完全にオープンに受け入れることです。

音楽アナリストをしている同僚は音楽に対してしっかりした意見を持っている人ばかりで、中にはロックスターや本物の音楽オタクもいます。

こういうメンバー全員がSkypeを使ったセッションに参加して、曲のハーモニー、インストラメンタト、リリカルな要素の解釈に関して白熱した議論を展開させるのは、素晴らしいことです。

── どんな人たちからどのように仕事を助けてもらっていますか?

私の仕事は10分ごとに新しい曲を聴くことなので、マネージャーの助けがあってこそ、クオリティの高い分析ができていますし、燃え尽き症候群にならずにいられます。6時間以上分析していると、頭に負担がかかり過ぎます。

hannah5
Image: Lifehacker US

──ToDoはどうやってトラッキングしていますか?

どこででも手軽に買えるスケジュール帳と蛍光ペンを使っています。

hannah6
Image: Lifehacker US

──どのように充電したり休憩していますか?

アナリストの中にはまとまった時間を取って分析する人もいれば、いろいろな仕事の合間に分析する人もいます。私の場合は、2、3時間分析すると、ピアノを弾くか、太陽の下で寝転ぶか、スナックを食べます。

──仕事の合間に何をするのが好きですか?

いろいろな楽器の演奏です。

──今、何を読んでいますか? おすすめの本はありますか?

今はRay Bradbury著『The Day it Rained Forever』を読んでいます。短編小説集ですね。Jonathan Lethemの書いたフィクションもおすすめです。すごくおもしろいですよ。

──今日あなたがされたのと同じ質問をしてみたい相手はいますか?

私の両親です。それから、『American Beauty』、『Finding Nemo』、『Wall-E』、『Skyfall』などの映画音楽を作曲家したThomas Newmanさんですね。

──これまでにもらったアドバイスの中でベストなものを教えてください

自分と他人を比較しないこと。他人と競争せず、自分のやり方を信じること。

ソングライターとしては、覚えておきたいことです。世の中には星の数ほどアーティストがいますが、成功しているのはそのうちのごく一部です。でも、人それぞれに歩むべき道があります。人生は他人との競争ではありません。

──挑戦中の課題はありますか?

時間管理と優先順位付けです。小学生のころから、あらゆる課外活動を両立させることに挑戦してきました。でも、今は自分がなりたい人間になるための時間を意識的に作るようにしています。一歩引いてじっくり考えて、何を達成すべきか明確にすることが大切だと気づいたからです。

あわせて読みたい

常に騒ぎを起こし続けろ! Behanceの創設者でAdobeのCPO、スコット・ベルスキーさんの仕事術

上司は言い訳をせず責任をとれ。レノボ・ジャパンCEO デビット・ベネットさんの仕事術


Image: Lifehacker US

Source: Pandora, Amazon.com, Wikipedia

Nick Douglas – Lifehacker US[原文

訳:春野ユリ

swiper-button-prev
swiper-button-next