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コミュニケーションの要「たとえる力」を鍛えることで得られるもの

コミュニケーションの要「たとえる力」を鍛えることで得られるもの
Photo: 印南敦史

たとえる力で人生は変わる』(井上大輔著、宣伝会議)の著者によれば、「たとえる」とは「身近ではないものをより身近なものに置き換えて考える」こと。

なんだか難しそうにも感じますが、必ずしも教養は必要ないのだとか。

もちろん教養はあるにこしたことはないとはいえ、場合によっては邪魔になることすらあるというのです。

そして注目すべきポイントは、「たとえる力」は鍛えることができるということ。たとえセンスを持ち合わせていなかったとしても、あとから鍛えられるものだというのです。

それは著者が、外資系企業での約10年にわたる経験を軸としたマーケターとして導き出した結論。

また、「たとえる力」を通じて、以前から鍛えたいと思っていた「うまく伝える力」や、それ以外のさまざまな力も身についたのだといいます。

しかし「たとえる力」とは、具体的にどのようなものなのでしょうか?

「たとえる力」をものにするためには、まずはその基本を抑えておいたほうがよさそうです。

そこで一章「『たとえる力』とは何か?」に焦点をあて、基本的な考え方を確認してみたいと思います。

自転車に乗れる人はバイクにも乗れる

たとえ話とは、「身近ではないものをより身近なものに置き換えて考える」こと。

難しい言い方をすれば、「類推(るいすい)」の仲間だということになると著者は主張しています。

だとすれば気になるのは、類推とはなんなのかということ。

たとえば私は自転車が大好きですが、オートバイ(バイク)の免許は持っていません。ただ、なんとなくですが、バイクを運転できるイメージはあります。

想像するに、バイクがまったく動いていない間は、その上でバランスをとるのは難しそうです。

でも少し動き出すと安定して、高速で動いている間はバランスの心配をする必要はなさそうです。

バイクの重さがバランスにどう影響するかも、なんとなくですが、想像がつきます。それらすべてを、私は過去に色々な自転車に乗った経験から「類推」しているのです。(16~17ページより)

つまり、

● AとBは大きなくくりでは一緒みたいだぞ。

● AとBの、こことここは共通してそうだぞ。

● AとBの、こことここはどうも違ってそうだ。ただそれは小さなことなので気にしなくても良さそうだぞ。

(19ページより)

というようなことを一瞬のうちに判断する力を、人間は誰にも教えられることなく身につけているということ。

そして「たとえ話」とは、言葉を使った「類推」だといいます。たとえば、「憲法は国の設計図のようなもの」というたとえ話があったとしましょう。

こう聞けば、憲法のことがよくわからない人でも、より身近な家などの「設計図」を思い浮かべ、そこから「類推」することによって“それがどういうものか”をだいたいイメージすることができるわけです。

そして細かく見ていくと、この場合の「憲法」と「設計図」には類似点があると著者は指摘しています。

憲法

● この国はこういう国ですよ、という決まりごと

● 国を運営する人(官僚や政治家や裁判官)はこれを守らないといけない

● 細かい法律が変わっても憲法はほとんど変わらない

(21~22ページより)


設計図

● この建物はこういう建物ですよ、という決まりごと

● 建物を建てる人(大工さんや電気屋さんや左官屋さん)はこれを守らないといけない

● 現場の細かいルールが変わっても設計図はほとんど変わらない

(22ページより)

とはいえ、このたとえ話を聞いた人は、こうして細かく説明されなくても、「類推」する力を使い、憲法と家の設計図の共通点をつかんでしまえるもの。

いわば、誰かに教わったわけでもないのに、普通に伝えたのではうまく伝わらないようなことを伝える裏ワザが、たとえ話だということです。

個人差があるとはいえ、人間には2つのものを見て、その間に「類推関係」を見つける力があるのだと著者は言います。

しかし、伝えたいことが1つあり、もう1つより身近なことを「自分で」見つけていかなければならないのが「たとえ話」。そこには、ちょっとしたコツが必要なのだそうです。(16ページより)

わかる・伝える・ひらめく

著者によれば、「たとえる力」は

わかる

伝える

ひらめく

の3つにつながっているのだそうです。

「伝わる」は、たとえば「憲法とはなにか」などという難しいことを説明するときに有効。たとえ話が上手な人は、伝え上手であったりもします。

では、「わかる」はどうでしょう?

上記で触れたように、「類推」は、人がなにか新しいことを理解しようとするときに力を貸してくれるもの。

自転車にしか乗ったことがない人がバイクに乗るときの話が、それにあたるわけです。

そして同じように、たとえ話を考えることは、それを人に披露するチャンスがなかったとしても、自分自身の理解をより深めることに役立ちます。

そして、「ひらめく」です。

クラレ社の「マジックテープ」が有名な「面ファスナー」ですが、元祖である「ベルクロ」を発明したジョルジュ・デ・メストラルは、犬の散歩をしているときに愛犬についた「植物の実」を見てアイデアを思いついたそうです。

また、化学の授業で出てきた「周期表」を思い出してください。スイヘーリーベ、と覚えるアレです。

アレを考えたロシアの科学者ドミトリー・メンデレーエフは、トランプの「ソリテア」のカードの並びを見て、元素もこういう風に並べられるかもしれない、と思いついたそうです。

(27~28ページより)

この2つの話が使っているのは、「たとえる力」の「ひらめく」の部分

ジョルジュ・デ・メストラルもドミトリー・メンデレーエフも、“なにかすでにあるもの”を別のより身近なものに置き換えているだけでなく、ひとつの身近なものから目には見えない「骨格」を抜き出し、「類推」を使ってそこから別の新しいものをつくっているわけです。

これはかなり高度な技ですが、根っこは「たとえる力」と同じなのだと著者は記しています。

「たとえる力」と「ひらめく力」というのはお互いに関係しています。つまり、「たとえる力」が高い人は「ひらめく力」も高い、ということです。

(30ページより)

「たとえる力」は、「似ているものを見つけてくる力」でもあるそうです。

ここでいう「似ている」とは、自転車とバイクのように、見た目が似ている場合もあるものの、「憲法」と「家の設計図」のように、外観はまったく別のものであることもあるもの。

では、外観が別なものである場合、なにが似ているのかといえば、それは裏側にある「構造」。それは物語でいうと、「登場人物同士の関係」のようなものだといいます。

たとえば、1950年代のニューヨークを舞台にした「ウエスト・サイド物語」という作品があります。

ポーランド系アメリカ人とプエルトリコ系アメリカ人のギャング集団がいさかいを起こし、その間に挟まれたカップルが悲劇に見舞われるというストーリー。

しかし、これはシェイクスピアの戯曲「ロミオとジュリエット」が下敷きになったものです。

● 対立する2つのグループ

● その間で愛し合う二人

● やがて引き裂かれる悲劇

(31~32ページより)

という構造、すなわち「登場人物同士の関係」がよく似ているわけです。

「たとえる力」を鍛えていくと、こうした目には見えない「似たもの同士」の「構造」が目にとまるようになってくるということ。

そればかりではありません。さらにもう一歩進むと、上記の「面ファスナー」のように、見たものを一度「構造」に落とし込んでから、次はその「構造」を使ってまったく新しいものを考えるということもできるようになるというのです。(25ページより)


こうしたことを確認してみると、「たとえる力」はコミュニケーションに欠かすことのできないヒントになりうるということがわかります。

特にビジネス環境において、その力を持っていることは大きな力になるはず。

著者のノウハウを応用して「たとえる力」を身につけ、ご自身のビジネスに生かしてみてはいかがでしょうか?

著者を交えたイベントを開催します

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3月12日(火)19:00〜21:00 、ライフハッカー[日本版]では『たとえる力で人生は変わる』の著者である井上大輔さんをゲストに迎え、ビジネスパーソンにとって、「たとえる力」はどうして大切か?をテーマにトークイベントを実施します。

自分の頭の中にあるイメージや概念を明確に相手に伝えるのは難しいものです。さらに、伝えたいことが相手の知識やバックボーンと異なるものであると、なおさらです。

井上さんはこれらを解決するものは「たとえる力」だと言います。どんな人でもわかる「たとえ話」を使うことで、誰でも相手に「わかる・伝える」ことができるようになります。

書籍のなかでも書かれていますが、社内や社外でのコミュニケーションに悩んでいる人にはぴったりの内容です。

また、本の中でも実際に考えてみるパートがありましたが、イベントでも「たとえる力」を身につけるためのワークショップも開催します。

  • 自部署・他部署の人とのコミュニケーションに悩んでいる方
  • 取引先にうまく提案内容が伝わらずに悩んでいる方
  • プライベートでのコミュニケーションに悩んでいる方

上記のような方はぜひご参加ください。

【開催概要】
たとえる力でコミュニケーションが劇的に変わる!/井上大輔(マーケター)✕松葉信彦(ライフハッカー[日本版]編集長)

【開催日】
2019年3月12日(火)19:00〜21:00

【場所】
BOOK LAB TOKYO
東京都渋谷区道玄坂2-10-7 新大宗ビル1号館2F

【料金】
・一般参加(書籍付き) ¥2,000
・早割(先着10名のみ) ¥1,000
・一般参加 ¥1,500※前日・当日のキャンセルは承っておりません。あらかじめご了承ください。

【スケジュール】
19:00- 開場
19:30- トークショー
20:00- ワークショップ
21:00- 終了

【登壇者プロフィール】
井上大輔(いのうえ・だいすけ)
マーケター。アウディ、ユニリーバ、ニュージーランド航空などでデジタル&マスマーケティングのマネージャーを歴任。週刊東洋経済にて「マーケティング神話の崩壊」連載中。著書に「デジタルマーケティングの実務ガイド」「たとえる力で人生は変わる」@pianonoki https://note.mu/pianonoki

松葉信彦(まつば・のぶひこ)/ライフハッカー[日本版]編集長
株式会社メディアジーン ライフハッカー[日本版]編集長
1980年、千葉県生まれ。早稲田大学卒業。ライフハッカー[日本版]編集長。編集プロダクションで情報誌や広報誌、書籍の編集を手がけたのち、2011年8月にメディアジーンに入社し、ギズモード・ジャパン編集部に加入。数多くの企業タイアップコンテンツの企画立案・編集・進行に携わる。2012年5月からギズモード・ジャパン副編集長、2015年9月からギズモード・ジャパン編集長を経て、2017年7月にライフハッカー[日本版]編集長に就任。元来、ガジェットやプロダクト、テクノロジーが好きな人間だが、プライベートでは2人の娘が生まれて、徐々にワークライフバランスなど考えるように。

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チケットのお申し込みは下記URLにてお願いします。
https://tatoeru-chikara-booklabtokyo.peatix.com/
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※諸注意※
イベントの様子を撮影し、当店のHPやSNSに掲載する場合がございます。
お客様が映り込む場合がございます。あらかじめご了承ください。
(映り込みたくないという方は遠慮なく仰ってください)

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印南敦史

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