58時間以内の断食は、代謝アップ・アンチエイジングにつながるかも
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糖尿病、ガン、心臓病の予防や免疫システムの活性化、認知機能の向上…といった断食(ファスティング)の効用が注目されています。
老化を遅らせる現象についても確認されていて、マウスだけでなくヒトでの研究も行なわれてきています。ただ、そのメカニズムについてはよくわかっていませんでした。
一説には、断食で細胞が保護モードに入り成長を遅らせる…との見方もありましたが、断食では著しく代謝が活性化され、さまざまな健康上の恩恵をもたらすようだという新しい研究結果が発表されていました。
断食は、抗酸化物質を増やす
この研究を行った沖縄科学技術大学院大学と京都大学の研究グループは、メタボロミクスという最新技術を用いて断食をした4人の被験者の血液を分析しています。
被験者の数は4人と少ないものの、代謝の際に合成される物質「代謝産物」の変化レベルを調べたところ、絶食の58時間以内に、これまで知られてなかった30個を含む44個の代謝産物(じつに代謝産物全体の1/4以上!)が1.5~60倍の範囲で増加していました。
身体は、即席エネルギー源である炭水化物が枯渇すると、「代替エネルギー貯蔵庫」から燃料を持ってきます。
このエネルギー補給のプロセスで出る代謝産物(ケトン体、カルニチン、分岐鎖アミノ酸)が断食で増加することはわかっていましたが、今回の研究ではエネルギー補給以外にも以下のような現象が確認されたようです。
- 抗酸化物質(エルゴチオネイン、カルノシン)が著しく増加
- 細胞の生死を決めるミトコンドリアの活性化
- 遺伝子発現やタンパク質合成で重要なシグナル伝達に関わる代謝産物(プリン、ピリミジン)の増加
- 老化とともに減少する代謝産物(ロイシン、イソロイシン、オクタム酸)の増加
特に抗酸化物質の著しい増加は、代謝中に生成される活性酸素・フリーラジカルから細胞を保護するのに役立ちます。
このように断食は、細胞を保護するとともに損傷した細胞を取り除き、新しい細胞を再生する”飢餓モード”に身体を変換するためのメソッドなのかもしれません。
無理のない断食の方法は?
ところで断食でのポイントは、短期的にローカロリー状態をつくりだすこと。
月に2日間ほど水だけで過ごすというようなストイックな方法から、より継続しやすい方法として、以下のようなものもありますので参考にしてみてください。
- 1週間のうち2日間だけ、500~600kcal/日で過ごす(5:2ダイエット)
- 1日おきに、500~600kcalを摂る(隔日断食)
- 1日のうちの食事時間を6~8時間に集中させる
断食をガイドしてくれるお助けアプリもあり、たとえば「Zero - fasting Tracker」というiOSアプリでは、断食期間をトラッキングしてくれるほか、食事をしてもよい時間と制限する時間を教えてくれます。
断食は、健康上のリスクもある
もちろん、極端にカロリーを減らしたり、食生活を変えることは心理的・身体的な負担もあります。
とりわけ高齢の方や持病のある方にとっては、健康に悪影響をおよぼす可能性もありますので十分な注意が必要です。
Medical News Todayによれば、断続的な断食では以下のような健康上のリスクが伴うとのこと。
・ストレスレベルの高まりやこれに伴う睡眠障害
・胃酸の減少による殺菌機能の低下や胸焼け
・強迫観念が生じて摂食障害を誘発
健康を目的とする断食で不健康になっては本末転倒。その道のプロや、場合によっては医師に相談しながら無理なくすすめるのが良いでしょう。
特に、はじめて断食を行うときには、まず専門家が開催する断食道場などに参加してみることをおすすめします。
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Source: 沖縄科学技術大学院大学, 京都大学, ScienceDaily, MedicalNewsToday
Image: Gettyimages
山田洋路
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