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「ものづくりベンチャー」が浜松市で創業するメリットとは?

Sponsored By 浜松市

「ものづくりベンチャー」が浜松市で創業するメリットとは?
左から)スズキ株式会社 熊瀧潤也氏/ヤマハ株式会社 畑紀行氏/株式会社リバネス 佐野卓郎氏
Photo: 木原基行

第4次ベンチャーブームともいわれる現在、起業しやすい環境が整ってきています。そんななか、ベンチャーキャピタルなどが特に注目しているのが「ものづくりベンチャー」です。

前編ではものづくりベンチャーの課題や現状を紹介。ものづくりベンチャーの支援を行う株式会社リバネスの佐野卓郎氏と、浜松市に本社を構える大企業であるヤマハ株式会社の畑紀行氏、スズキ株式会社の熊瀧潤也氏から、自社で行っているものづくりベンチャーとの協業などについてお伺いしました。

後編では、ものづくりベンチャーと浜松の相性について話が広がります。浜松の特徴や風土から、ものづくりベンチャーがこの地で起業するメリット、大企業や行政のバックアップまで、さまざまな話題で盛り上がりました。

浜松は大企業と町工場、両方が存在する珍しい場所

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株式会社リバネス 取締役 執行役員CLO 佐野卓郎氏
Photo: 木原基行

── 前編では、墨田区の町工場である浜野製作所とものづくりベンチャーの協業が話題に上がりました。浜松市も大企業の本社がある関係で、高い技術力を持つ町工場が多く存在します。

リバネス・佐野氏:日本はもともと、ものづくりの国。町工場が集まる都市は日本中にあります。東京都の大田区や墨田区、大阪府の東大阪市、福島県の福島市など、町工場が集積するエリアは珍しくありません。

浜松市も町工場が多いという理由だけでは、ベンチャー企業にとってメリットにはなりません。ただ、浜松市くらいの都市規模で、周辺に大企業の本社がいくつもあるのは珍しい。これは、恵まれた点だと思います。

── 町工場もあれば、大企業もある。その最大のメリットはなんでしょう。

リバネス・佐野氏:ベンチャーにとって、最も重要なものは「ビジョン」です。彼らは、社会課題をどのようにして解決するか、どうすれば世界が幸せになるかを考えて起業します。まずは、この熱い想いが必要です。

しかし、熱い想いがあっても、現実的には人手も足りないし、経営ノウハウもほとんどない。ものづくりの技術にも多くの課題があります。

そんなとき、技術面では町工場に助けてもらい、経営は大企業に学ぶ。そういった併走をしてくれるパートナーと組めるかどうかは、成功するためのポイントになります。

浜松は、町工場と大企業の両方があることで、その環境を作りやすい。実際、行政も積極的にバックアップしてくれています。

── 逆に、町工場側、大企業側にはどういったメリットがあるのでしょうか。

リバネス・佐野氏ビジョンの設定ではないでしょうか。町工場は技術を持っているけれど、大きなビジョンを描きにくい。

オーダーがあれば作れる技術力があるけれど、自分たちが率先して何かを作れと言われても、何を作ったらいいかわからないことが多いと思います。

しかし、ものづくりベンチャーと組むことで、世界を変え得る大きなビジョンを共有することができます。

大企業はもちろんビジョンを持っていますが、非常にマクロな視野で見ている。一方、ものづくりベンチャーは、ごく身近なニーズや課題を抽出することでより具体的なビジョンを掲げることが多いですよね。そこから学ぶことはあるでしょう。

ヤマハ・畑氏:確かに自分たちだけでは、新しいイノベーションを生み出すには限界があります。ものづくりベンチャーとつながることで、インスパイアされることはあると思います。そうすれば、浜松に本社を置く意義がより深まるはずです。

スズキ・熊瀧氏:会社は、大きくなればなるほど閉鎖された環境になりがちです。交流して刺激を受ける機会は、常に設けておきたいですね。そうしなければ、頭をフレッシュに保つことは難しいと思いますしね。

外部からの人材や技術を受け入れる風土

── 畑さんから「浜松に本社を置く意義」という発言がでました。大企業とものづくりベンチャーでは規模が違うので異なることも多いと思いますが、浜松で起業するメリットをどう考えますか。

リバネス・佐野氏:ものづくりベンチャーは実験のために研究室や試作品をつくる機械室が必要なので、ITベンチャーよりも広いスペースが必要です。そういった意味で、賃料の安さはメリットかもしれません。

また、町工場が多い場所にオフィスを構えれば、周囲でも工場が稼働しているので、機械の稼働音などを気にする必要もありません。

実際、東京でも町工場が集積した場所に事務所を構えるものづくりベンチャーがありますよ。

あとは、試作品をつくってもらう町工場と物理的な距離が近いこと。ものが大きくなれば試作品を送ってもらうより、実際に見に行ったほうがコストも安い。なにより、ちょっとしたことでも実物を見ながら相談できるメリットがあります。

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ヤマハ株式会社 ブランド戦略本部 マーケティング統括部 UX戦略部 UX企画グループ リーダー 畑紀行氏
Photo: 木原基行

ヤマハ・畑氏ワーク・ライフ・バランスがとりやすいのも良いところだと思います。心に余裕が生まれます。プライベートが充実していないと、いいものは作れないでしょう。私も休日はテニスを楽しんでいます。

東京に比べると、コートの使用料も安いですよ。あとは、浜名湖周辺のマリンスポーツも有名ですよね。他県から来る人も多い。

── ワーク・ライフ・バランスを求めて浜松で起業したというベンチャー起業家も多いようです。ベンチャー企業が利用する「浜松市舞阪サテライトオフィス」は浜名湖の目の前。休憩中にマリンスポーツを楽しむこともできるそうです。

スズキ・熊瀧氏:ワーク・ライフ・バランスという観点では、本当に優れた都市ですよね。弊社では昔、天竜川でアユ釣りを楽しんだ後に出社する社員もいました。

浜松は、人口約80万の政令市でありながら、海・湖・川・山と自然がすべて揃っていて、全国的にこのようなところは珍しいと思うんです。

重要なのが山と川ですね。弊社の祖業は綿を織る「織機」の製造ですが、これは天竜川を使って運ばれた良質な木で加工されました。弊社に限らず、ヤマハさんのピアノもそうだと思いますが、木材による手工業が浜松のものづくりの始まりです。

そして、東海道の要衝として東西の交流も活発でした。これが、色々なものを受け入れて、混ざり合う文化につながったのではないでしょうか。

ヤマハ・畑氏:確かに、多様性がある街ですね。工場の関係で、最近はブラジルやインドの方も多い。外部からの人材や技術を受け入れる風土があるんでしょうね。

── 浜松は開放的な気質で「進取の気性」に富んでいると言われていますね。ヤマハの創業者、山葉寅楠(やまは・とらくす)も元々は紀州藩(和歌山県)の出身で、スズキの第二創業者ともいわれる鈴木修会長も岐阜の出身です。

リバネス・佐野氏:この風土は、起業家にとって大きなメリットだと思います。つまり、街全体にベンチャーを受け入れる土壌がある

ベンチャーと大企業と町工場という異なる性質の三者が一体となって、ひとつの課題に向けて取り組む。それをつなげるのは風土だと思います。これは、生まれたてのベンチャーをインキュベートするためにはとても重要なファクターだと考えます。

そもそも、スズキさんもヤマハさんも今は大企業と呼ばれていますが、もともとはベンチャー。その歴史を知り、DNAを持った社員の方が、まだいらっしゃるんですよ。

だから、大企業もベンチャーに優しい。それは、浜松で「テックプランター」を開催してとても感じました。例えば、ヤマハさんは楽器・音響メーカーですよね。それでも、医療系のものづくりベンチャーの話に興味を持ってくださるんです。

分野の垣根を超えて融合していくのは、一番難しいこと。それでも、浜松なら実現できる気がしています。

さまざまな課題があるからこそ、ベンチャーにとってはチャンス

── 浜松市は湖・海・山・川とすべての自然があるというお話しがありました。これは、面積の広さも関係していると思います。

浜松市は、日本で2番目に広い市で、面積は伊豆半島以上。都心部から中山間地域、海まで網羅。国土縮図型都市とも称されており、日本の自治体が抱えるさまざまな課題が集約しています。

リバネス・佐野氏:そういった意味で、浜松市の現状からは、これからの日本、そして世界が直面する課題が見えてきます。日本は課題先進国と言われますが、さらにその先を行っているわけです。

スズキさんヤマハさんといった大企業は、この浜松で、世界の課題も見極めることができるかもしれません。

── 確かに、日常の足がない中山間地域での自動運転実験などは顕著な例かもしれません。林業や漁業にも課題はあるでしょう。

リバネス・佐野氏:その課題をどう解決するか。そこをものづくりベンチャーと一緒になって考え、ビジョンを掲げて事業を起こしていく。そしてやがて、産業に成長していく。

── 新産業創出のための足場づくりとして、浜松市は規制緩和を行い、さまざまな実証実験ができる特区として認めてもらえるように、国への働きかけを続けている最中です。

リバネス・佐野氏:山間部や沿岸部などで実証実験を行うには、自治体のバックアップは欠かせません。また、ベンチャーと大企業、町工場、そしてベンチャー同士が出会う場の創出も必要ですね。

大企業側も覚悟と責任を持って、ベンチャーと向き合う気構えが必要

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スズキ株式会社 経営企画室 コネクテッドセンター 本社担当 部長 熊瀧潤也氏
Photo: 木原基行

── 最後に、ものづくりベンチャーが成功するために、大企業はどういった後押しができるか、責任や協業についてお聞かせ下さい。

ヤマハ・畑氏:これまで、何回かオープンイノベーションをやってわかったことは、フワッとしたオープンイノベーションは上手く行かない。

例えば、大企業にとっては、「ちょっとやってみるか」という程度でも、資金や人手に余裕がないベンチャーにとっては、本当に大きな取り組みになります。そこに付き合わせるのは本当に失礼。

大企業側も覚悟と責任を持って、ベンチャーと真剣に向き合う気構えが必要です。そのためには、双方のキーマンが強いビジョンを持ち、そのビジョンが同じ方向を向いていること。

そのときに初めて、オープンイノベーションは成功すると思っています。

スズキ・熊瀧氏:自動車業界は100年に一度の変革期を迎えおり、弊社も「このままでは、良くない」という思いは当然あります。

まずは社内から変わる必要があると、本部長、部長を始めとして、70人近くをシリコンバレーへ派遣して研修を行っています。

部門長がノーと言わない雰囲気をつくり、部下のチャレンジを促す。徐々にですがイノベーティブな風土も生まれていると感じています。

スズキ本体としては、ヤマハさんのような公式のオープンイノベーション活動はまだ始まっていません。今後はそういった流れを作ることが目標です。




ものづくりベンチャーを支援するリバネスと、浜松を代表する大企業ヤマハとスズキ、それぞれの立場からものづくりベンチャーについて語っていただいた今回の鼎談。

浜松は大手メーカーと町工場の両方が存在するという、ものづくりには最適な環境でありながら、コスト面や暮らしやさという面でも優れており、ベンチャーにとっては大きなメリットがあります。

そのような環境に加え、「浜松バレー構想」を掲げる行政の手厚いバックアップを受けられるというのも心強いポイントです。

ものづくりベンチャーへの注目が集まっている昨今、起業の地として浜松は有力な選択肢となり得るのではないでしょうか。


Photo: 木原基行

Source: 浜松市, 株式会社リバネス, ヤマハ株式会社, スズキ株式会社

林田孝二

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