連載
特集
カテゴリー
タグ
メディア

「幸せ」の敵は? 味方は? 幸せであり続けるための方法『僕らの時代の幸福論』Vol.6

「幸せ」の敵は? 味方は? 幸せであり続けるための方法『僕らの時代の幸福論』Vol.6
Image: GettyImages

Vol.5』では「幸せ」の反対語から「幸せ」のヒントを探しました。

では、「幸せの天敵は何でしょうか?

それは「慣れ」です。

たとえば、宝クジで1億円当たったとします。

その瞬間、とてつもない幸せを感じることでしょう。でも、その幸せは一生続くことはありません。1年も経たないうちに慣れて、「当たり前」となってしまいます。

では、宝クジの当選ではなく、「理想の容姿」になれたら?『 Vol.2』のお題にあったように、たとえば「北川景子さんの容姿」に変身できたらどうでしょう?

でも、そんな奇跡も、やはり1年も経たないうちに慣れてしまうことでしょう。

「幸せ」の天敵は「慣れ」です

心理学では、これを『ヘドニック・トレッドミル』といいます。

訳すと「快楽のランニングマシン」です。つまり、人は幸せに向かって走り続けるが永遠にゴールにたどり着くことはないということ。

20190221_runningmachine
Image: GettyImages

幸せの天敵の天敵=幸せの味方は何か

では、どうすれば慣れに負けない持続可能な幸せを作れるのでしょうか

「幸せ」の天敵は「慣れ」。

であれば、「慣れの天敵は何でしょうか?

慣れの天敵は変化です

変化し続けていると、慣れることができませんから。

「敵の敵は味方」なので、「幸せ」の味方は「変化」ということになります。「変化」をうまく活用すると、持続可能な幸せを実現できるのではないでしょうか。

幸福感が下がることを避けるための2つの秘訣

実際に「持続可能な幸せ」を研究した人がいます。ミズーリ大学(米国)のシェルドン教授です。その研究成果である『快楽適応防止モデル』によれば、「幸せに慣れて幸福感が下がることを避ける」ための秘訣は2つです。

1つは、「すでにあるものに感謝し、多くを求めない」。これは、『Vol.13』で詳しく書いた内容です。そして、もう1つは、「新しい経験≒変化)」です。これは、『Vol.45』で少し触れている内容です。

感謝変化

この2つが幸せのキーワードです。これらを両輪として、うまくバランスを取りながら駆動させることができれば、継続的に幸せでいることができます。

20190221_car_drive
Image: GettyImages

幸せを持続するための具体的なワーク

そのための具体的なワークを考えてみました。それは、「当たり前ロス」です。

やり方は簡単です。

  1. 普段、「当たり前」だと思っていることを箇条書きにする
  2. 「当たり前」を失ってみる(変化)
  3. ワークを振り返り、気づきを得る(感謝)

1:普段、「当たり前」だと思っていることを箇条書きにする

まずは、「当たり前リストを作成していきます。

たとえば、私のリストはこんな感じです。

  • スマホを常時もっている
  • 移動は自家用車
  • 寝床はベッド
  • ホットシャワーが出る
  • 蛇口をひねれば水が出る
  • スイッチをONにすれば電気がつく
  • 1日3食
  • 奥さんと家事/育児を分担する
  • 会社に部下がいる
  • 目が見える
  • 1日=24時間

2:「当たり前」を失ってみる

次に、以下のように、「当たり前を一時的に失ってみます

  • スマホを常時もっている → スマホを1日手放す
  • 移動は自家用車 → 移動は徒歩か自転車
  • 寝床はベッド → 寝床はフローリング
  • ホットシャワーが出る → 水シャワーのみ
  • 蛇口をひねれば水が出る → 家の水は使用禁止
  • スイッチをONにすれば電気が点く → 家の電気は使用禁止
  • 1日3食 → 1日断食
  • 奥さんと家事/育児を分担する → ワンオペでやる(シングルファザー体験)
  • 会社に部下がいる → 部下に特別有給休暇1日を贈呈し、一人で全タスクをやる
  • 目が見える → 3時間、目隠しして活動する(補助は必要)
  • 1日=24時間 → 時計を3倍速にして、1日=8時間にしてみる

3:ワークを振り返り、気づきを得る

最後は、実施したワークを振り返ってみます

たとえば、「3時間、目隠しして活動」(=変化)をしてみると、私たちがいかに目に依存しているか理解できます。普段は当たり前に活用している目の機能にとてつもない価値を感じ、目に「感謝」したくなります。

20190221_blind
Image: GettyImages

また、「移動は徒歩か自転車」(=変化)をしてみると、「雨じゃなければ徒歩移動のほうが気持ちいい」や、「自転車移動のほうが渋滞に巻き込まれずに意外と早く目的地に着ける」など、新しい発見が生まれることがあります。

いままで当たり前に活用依存していたものに対して必要性を感じなくなり、「当たり前リスト」がアップデート(=変化)されることもあるでしょう。

パターン1:失ってみて、初めてその価値に気づく

パターン2:失ってみて、初めて必要ないと気づく

パターン1は「感謝」を促し、パターン2は「変化」を促します。

「当たり前ロス」というワークは、「一時的に失ってみるという変化を通じて、「感謝変化を創出していきます。

「幸せ」を持続可能にしていくために、月に1回くらいやってみてもいいかもしれません。

適度な不便を生活に取り入れると人生は豊かになる

「当たり前」を失うと、「感動」が生まれることもあります。

「快適」な環境にずっといれば、「感動」はなかなか生まれてきません。

感動するには適度な不快・不便・不自由が必要なのではないでしょうか。

昨年末、ソフトバンクが通信障害を起こしたことは記憶に新しいかと思います。たった4時間ですが、スマホで連絡が取りあえないなど、日本中で多くの混乱を生みました。

でもいっぽうで、いろいろな不便はあったものの、逆に貴重な経験だったという声も多くあがっていました。いつもは「ただの待ち合わせ」のはずが、通信障害中は「会えただけ感動!」というように。感動のバーゲンセール期間でした。

20190221_meet
Image: GettyImages

私の住むフィジーでは、停電や断水がよく起こります。

町に電気が復旧した瞬間、近隣各所からワーっという歓声が沸き起こります。「不便が適度に生活の中に組み込まれていると感動体験が増えて、人生はより豊かに感じられるのではないでしょうか。

上述した「当たり前ロス」ですが、ゲーム感覚で、ぜひやってみてください。「アホらしい」「面倒くさい」とやらない人が99%だろうと思いますが、「自分の意見に固執しないほうが幸せを感じられる」という研究結果もあるそうです。

なので、たまには人の意見に流されてみてくださいね。きっと新しい発見がありますから。

『幸福論』続き

私たちが「執着」してしまっている、イライラのもとは何か?『僕らの時代の幸福論』Vol.7

永崎 裕麻(ながさき・ゆうま)Facebook

fiji_happiness 11.jpg「旅・教育・自由・幸せ」を人生のキーワードとして生きる旅幸家。2年2カ月間の世界一周後、世界幸福度ランキング1位(2016/2017)のフィジー共和国へ2007年から移住し、現在12年目。在フィジー語学学校COLORS(カラーズ)校長。100カ国を旅した経験を活かし、内閣府国際交流事業「世界青年の船」「東南アジア青年の船」に日本ナショナル・リーダーや教育ファシリテーターとして参画したり、某企業のCHO(Chief Happiness Officer/最高幸福責任者)を務めたり、アフリカやフィジーで教育事業をしたりと、多拠点生活をエンジョイ中。 大阪府生まれ。神戸大学経営学部卒業。二児の父。著書に「世界でいちばん幸せな国フィジーの世界でいちばん非常識な幸福論」(いろは出版)。

Image: GettyImages

Reference: NCBI, Amazon.com

永崎裕麻

swiper-button-prev
swiper-button-next